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Legendの引退

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
久保裕也と競り合うブラッドリー(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 アメリカ代表チームのキャプテンを務めたMF、マイケル・ブラッドリー(36)が今季限りでの引退を発表した。19年間のキャリアにピリオドを打ったのだ。

 ブラッドリーは、2004年にMLSのニューヨーク/ニュージャージー・メトロスターズ(現在ニューヨーク・レッドブルズ)にドラフトされてプロ入り。すぐにヨーロッパ市場にリストアップされ、2006年にオランダのSCヘーレンフェーンに入団した。その後、ドイツのボルシア・メンヒェングラートバッハ、イングランドのアストン・ヴィラ、イタリアのACキエーヴォ・ヴェローナとASローマでキャリアを重ねながら、代表チームの主力となる。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 ワールドカップは、2010年南アフリカ大会と2014年ブラジル大会に出場。2010年のグループステージで2-2引き分けに終わったスロベニア戦では得点を挙げた。後に代表チームのキャプテンを任される。

 2014年ワールドカップ前、ブラッドリーはMLSのトロントFCに移籍した。2007年のMLS初シーズン以来、最下位争いをするしかないクラブと囁かれていたチームの再建を託されたのだ。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 ブラッドリーは当時の記者会見を振り返る。

 「2014年1月13日、私は記者会見に出席し、『これまでのキャリアの中で、これほど興奮し、決意が固まり、意欲的に挑戦したことはない』と語った。一語一語本気で言葉にした」 

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 そして現在の心境を述べた。

 「過去10年間、私はトロントFCを最高の集団にしようと血と汗と涙を流してきた。信じ難い日がいくつもあった。生涯忘れられない経験だよ。苦しい日も沢山あった。でも私は、チームに自分の持っているすべてを捧げることを止めはしなかった。

 チームメイト、コーチ、そしてクラブ関係者全員に感謝する。BMOフィールドで忘れられない夜を過ごしてくれたファンにも心からお礼を言う。この街とクラブはこれからもホームだ」 

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 アメリカ代表チームの背番号4は、コビ・ジョーンズとランドン・ドノバンに次ぐ151試合に出場し、ゴールドカップのタイトルを2回獲得した。そして、2017年にトロントのキャプテンとしてカナダチャンピオンシップ、サポーターズシールド、MLSカップの3タイトルを獲得。

 彼らは国内3冠を達成した最初のMLSチームとなり、ブラッドリーはビクトル・バスケス、セバスチャン・ジョビンコ、​​ジョジー・アルティドールが攻撃を提供する一方で、ボランチとしてチームを牽引した。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 トロントのファンは、ブラッドリーの闘志溢れるプレーをいつまでも忘れないだろう。

 そして、アメリカ代表の元キャプテンは、そう遠くない日に、指導者としてピッチに戻ってくるに違いない。次の人生でも花を咲かせてほしい。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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