『君の膵臓をたべたい』が開幕作に!!韓国でますます高まる日本アニメの存在感
8月23日から韓国では「第22回ソウル国際漫画アニメーションフェスティバル」(以下、SICAF)が開催されている。
8月26日まで行われるこのフェスティバルはSICAF組織委員会とソウル市が主催し、行政機関である文化体育観光部が後援するもので、毎年、設定されたテーマに合ったアニメ映画の上映やイベント、特別展などが行われる。
昨年は日本でも一部マニアたちの間で人気が高いガールズグループ“宇宙少女”などがオープニング式典に参加して話題になったのでご存じのファンもいることだろう。
実写映画も韓国で好調だった
今年は歴代最多となる2703作品の出品があり、そのうち27カ国の72作品が上映される予定だが、もっとも注目が集まる開幕作に、9月公開予定の劇場アニメ『君の膵臓をたべたい』が選ばれている。
小説家・住野よるの同名小説が原作の『君の膵臓をたべたい』は、昨年公開された実写映画が興行収入35.2億円の大ヒットを記録した。韓国では昨年の第22回釜山国際映画祭で初公開され、10月には一般公開された。
最終的に累計観客動員数46万4575人を記録し、2017年に韓国で公開された日本映画の中で興行ランキング4位となっている。
(参考記事:『君の名は。』に続き、あの恋愛作品が“異例の再々上映”…韓国の日本映画2017総決算)
実写版がヒットしたこともあって、韓国では劇場アニメに対する期待も高い。まして今回は日本公開に先立つ“アジア初公開”ということもあって、プレミア感満載だ。
先月に韓国で公開された予告編は約89万回の再生数を記録。「劇場アニメを待っていた」というコメントが続出したという。
今回のSICAFでは、作品を手がけた牛嶋新一郎監督が出席し、舞台挨拶やサイン会なども行なった。うまく口コミが広がれば、日本と同じく秋に控えた一般公開でもヒットを狙えそうな勢いである。
アニメにコスプレなど日本のサブカルが韓国で…
それにしても改めて感じるのは、韓国で高まりつつある日本アニメの存在感だ。
韓国はここ数年、ウェブトゥーン(Webtoon)市場が急成長し、ウェブトゥーン及び漫画の実写映像化が増えるなど、いわゆる“サブカルチャー”に対する認識がポジティブに変わりつつあるが、日本のサブカルが脚光を浴びることも増え、時には社会現象を巻き起こしているからすごい。
(参考記事:日本アニメのコスプレが韓国でも人気。日韓関係を好転させる可能性秘めた“オドック”とは?)
例えば2016年の第21回釜山国際映画祭のガラプレゼンテーション部門に出品された新海誠監督の『君の名は。』は、チケットが販売開始から1分で全席完売という異例の事態が起きた。
また、劇場公開後はこれまで韓国国内で公開された日本映画のうち最多観客動員数(367万人)を記録。「ムスビ」といった劇中のキーワードが流行語になるほど大ヒットしている。
『君の名は。』に引き続き、『聲の形』、『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』、最近では『さよならの朝に約束の花をかざろう』も韓国の日本アニメ好きの間では話題だった。
『名探偵コナン』や『新世紀エヴァンゲリオン』、ジブリ作品以外にも、どちらかというとマニア層向けする日本アニメ映画も、韓国でも支持される時代になったのである。
(参考記事:韓国の映画ファンが評価するスタジオジブリ作品のベスト10とワースト1位は?)
大企業も注目するニッチな日本コンテンツ
しかも、最近は韓国のオタク層向けのマーケティングも活発だ。韓国3大シネコンの一つ「MEGABOX」は、劇場版『エヴァンゲリオン』の独占上映をはじめ、『ラブライブ!』のライブビューイングや、観客が『君の名は。』の挿入歌を一緒に歌える「合唱上映」などのオタク・マーケティングを展開してきた。
先日紹介した韓国版ドン・キホーテのように大企業がニッチな分野にも乗り出している現状は興味深い。
SICAFのような漫画・アニメフェスティバルが大きく盛り上がり、『君の名は。』のような大ヒット作が生まれ続ければ、韓国でも日本のサブカルの存在感がますます高まるだろう。