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「いい出だし。これからも頑張れる」オリックスから移籍の近藤、新天地ヤクルトで記した第一歩

菊田康彦フリーランスライター
近藤はヤクルトの本拠地・神宮球場で移籍後初登板(写真:アフロ)

オリックス・バファローズから交換トレードで東京ヤクルトスワローズに移籍した近藤一樹投手(33歳)が、8月5日の阪神タイガース戦(神宮)に2番手として登板。新天地でのデビューを、1イニング無失点で飾った。

4日にファームで先発予定も、急きょ中継ぎ要員で一軍へ

近藤は7月17日に成立した八木亮祐投手(25歳)との交換トレードにより、ヤクルト入り。20日の入団会見を経て、28日のイースタン・リーグ、横浜ベイスターズ戦(戸田)に先発し、4回を1安打、無失点に抑えていた。8月4日にはファームで2度目の先発マウンドに上がる予定だったが、前日の3日になって中継ぎ要員として一軍に昇格することが決定。4日の広島東洋カープ戦(神宮)から合流し、「チャンスをいただけているっていうところと、必要とされているのかなっていうところは実感できる。中継ぎはほとんどやったことがないですけど、初心者のつもりで頑張っていくだけです」などと抱負を語っていた。

合流初日はブルペンで待機したものの試合での登板機会はなかったが、翌5日の阪神戦では3点ビハインドの6回表に、先発カイル・デイビーズに代わる2番手として出番が巡ってきた。

センターの守備位置に向かうオリックス時代の盟友・坂口智隆とタッチを交わし、入念に足場をならしてから上がる、新天地のマウンド。投球練習を終えたところで、球審からポケットに入れていたお守りを取り出すように指示される一幕もあったが、先頭の四番・原口文仁をカウント1-2から内角のストレートで詰まらせ、まずはセカンドゴロに打ち取った。

その後は連打で一、三塁のピンチを招くも、七番・江越大賀をセカンドゴロに抑えると、八番・北條史也を敬遠気味の四球で歩かせた後、九番・藤浪晋太郎をカウント1-2からスライダーで空振り三振。新天地での初マウンドを無失点で終えた。

「オリックスの二軍で中継ぎの練習をしたのが生かされたかな」

ヤクルトは後続が失点を重ねて0対8と大敗したものの、近藤は試合後「変な違和感もなく、普通に(試合に)入れたなと思います。キレイに終われれば良かったんですけど、どんな形でも0点で粘るっていうのが僕の中の課題でもあるんで。そういう意味ではあそこで粘れたっていうところは、今後につながるなと思います。力ではねじ伏せれないんで、のらりくらりでもどうにか無失点で、0点で帰って来れたっていうところは良かったと思います」などと、ヤクルトでの“デビュー戦”を振り返った。

オリックス時代の2008年にはほぼ先発に専念して10勝を挙げるなど、キャリアの大半を先発として過ごしてきた近藤にとって、一軍で救援として投げるのは昨年7月2日の北海道日本ハムファイターズ戦(札幌ドーム)以来のこと。それでも、今季もオリックスのファームではリリーフを経験しており、「リリーフの難しさっていうのは、自分の足場じゃないっていうところが一番の難しさなんですけど、そういう意味で早く思い通りの自分のリズムになるようにはできたかなと思います。ここに来る前に、オリックスの二軍で中継ぎの練習をしたのが生かされたかなと思いますね。そういう意味ではいい出だしになったし、これからも頑張れるなっていうところは自分でも実感できたなと思います」などと手ごたえを口にしていた。

フリーランスライター

静岡県出身。小学4年生の時にTVで観たヤクルト対巨人戦がきっかけで、ほとんど興味のなかった野球にハマり、翌年秋にワールドシリーズをTV観戦したのを機にメジャーリーグの虜に。大学卒業後、地方公務員、英会話講師などを経てフリーライターに転身した。07年からスポーツナビに不定期でMLBなどのコラムを寄稿。04~08年は『スカパーMLBライブ』、16~17年は『スポナビライブMLB』に出演した。著書に『燕軍戦記 スワローズ、14年ぶり優勝への軌跡』(カンゼン)。編集協力に『石川雅規のピッチングバイブル』(ベースボール・マガジン社)、『東京ヤクルトスワローズ語録集 燕之書』(セブン&アイ出版)。

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