レーシングカーの祭典「グッドウッド」始まる。GP2ドライバーの松下信治もホンダF1をドライブ。
6月23日(木)からイギリスのグッドウッド(ウエストサセックス)で毎年開催されているモータースポーツの祭典『グッドウッドフェスティバル・オブ・スピード2016』(以下、グッドウッドフェスティバル)が始まった。26日(日)までの4日間の会期でヒルクライムのタイムアタック競技が行われる。1993年以来24回目の開催となり、今年は20万人以上の来場者を見込んでいる。
歴史的価値の高いマシンが一堂に
「グッドウッドフェスティバル」の最大の特徴はモータースポーツの歴史を彩ってきたレーシングマシンを会場に展示し、ヒルクライム競技を通じて実際に走る姿を楽しめるところだ。数多くの名レーシングカーが集うことから、すでにイギリス国内はもちろん、世界的にもクラシックマシンのイベントとして認知されている。
今年のテーマは「フルスロットル〜パワーの終わりなき追求」。そして、ホスト役を務める自動車メーカーは誕生から100年を迎えた「BMW」だ。古くから積極的にモータースポーツに参加してきているBMWのレーシングカーが数多くパドックに集い、BMWと共にF1で輝かしい歴史を築いてきたかつてのF1チーム「ブラバム」のマシンをはじめ、ツーリングカー、ルマンプロトタイプカーなどマニアの心をくすぐるマシンが多数パドックに展示。次から次へと走行を行っていった。
また、日本でもヒット作となった映画『RUSH〜プライドと友情』でも描かれた1976年の「F1世界選手権」でチャンピオンを獲得したジェームス・ハントの王座獲得から40年を記念し、映画にも登場する「ヘスケス」や「マクラーレン」のマシンがタイムアタックに参加。
イギリス人のワールドチャンピオンであり、引退後はBBCのF1解説者を務め、今も多くの人に愛されるジェームス・ハント。その苦闘と栄光の歴史を彩ったマシンは、彼を敬愛してやまない個人オーナーによって動態保存され、フルスロットルでグッドウッドのコースを駆け抜けている。
ホンダのF1マシンが走行。ドライバーは松下信治。
日本からはホンダが1960年代の第1期F1活動のマシン「RA300」(1967年)を日本から空輸し「グッドウッドフェスティバル」に参加。そのドライバーには将来ホンダF1ドライバー誕生の期待がかかる若手、松下信治(まつした・のぶはる)が起用された。
マクラーレン・ホンダのテストドライバーとして「マクラーレン」のファクトリーで仕事をこなしてから「グッドウッド」入りをした松下。GP2ではモナコGPの前座レースで優勝。日本人として初めての快挙を成し遂げた松下は自身初めてのF1ドライブとなったが臆することなく堂々とアクセル全開の走りを披露した。「ホンダのRA300はもちろん僕が生まれる前のクルマで50歳くらい。とても新鮮でしたね。すごいパワーを感じるんで、ドライブできて幸せでした」と松下。
また、松下は日本のF1ブーム全盛期となった1991年のチャンピオンマシン「マクラーレン・ホンダMP4/6」(第2期F1活動)もドライブ。「MP4/6は扱いやすいマシンです。コースが狭いので攻められなかったですけど、乗っていて楽しかったです。昨日も夕食の時に第2期活動に携わった方々とご一緒したんですが、僕が生まれる前にF1で活躍されていた方と一緒にマシンを走らせることができて、その雰囲気が楽しかったですね。久しぶりに日本人にも会いましたし(笑)」と喜びを語った。1993年生まれの松下にとっては「マクラーレン・ホンダMP4/6」でさえも当然リアルタイムで知らない時代のマシン。ホンダの次期F1ドライバーの座に最も近いと目される松下にとって、ホンダF1の歴史を体で感じる貴重な機会となったようだ。
今年の「グッドウッドフェスティバル」にはニコ・ロズベルグ、ジェンソン・バトンら多数の現役F1ドライバーの来場も予定されている。