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ヤンキースはパドレスからソトを手に入れるのか。左のスラッガーなら大谷やベリンジャーがFAになるが

宇根夏樹ベースボール・ライター
ホアン・ソト(サンディエゴ・パドレス)Sep 18, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 来シーズン、アーロン・ジャッジ(ニューヨーク・ヤンキース)とホアン・ソト(サンディエゴ・パドレス)は、同じラインナップに並び、ともに外野を守るかもしれない。SNY(スポーツネット・ニューヨーク)のアンディ・マルティノは、ソトのトレードについて、ヤンキースとパドレスが予備的な話し合いを行った、と報じている。

 今シーズン、ヤンキースで最も多くのホームランを打った左打者は、12本塁打のアンソニー・リゾーだった。リゾーは、2022年の32本塁打を含め、シーズン30本塁打以上を5度記録しているが、すでに34歳だ。今シーズンの出塁率.328とOPS.706は、ここ10年で最も低かった。

 一方、同じ左打者のソトは、25歳になったばかり。今シーズンは、出塁率.410と35本塁打を記録した。2018年のメジャーデビュー以来、シーズン出塁率は.400を下回ったことがない。本拠地がペトコ・パークからヤンキー・スタジアムに変われば、ホームランはさらに増える可能性もある。スタットキャストのパーク・ファクターによると、左打者のホームラン指数(2021~23年)は、ペトコ・パークの84に対し、ヤンキー・スタジアムは123だ。

 今オフのFA市場には、こちらも左のスラッガーである2人、大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)とコディ・ベリンジャー(シカゴ・カブス)が出る。ベリンジャーは、年俸2500万ドル(解約金500万ドル)の相互オプションを破棄するだろう。大谷は29歳、ベリンジャーは28歳だ。

 ただ、ヤンキースのDHには、ジャンカルロ・スタントンがいる。ここ2シーズンとも出場110試合以下にとどまったように、故障が少なくない上、来月で34歳とはいえ、凄まじいパワーは健在だ。また、スタントンの契約は、来シーズン以降、4年1億2800万ドルが残っている。

 大谷と違い、ベリンジャーなら、ポジションは問題にならない。外野と一塁を守ることができる。けれども、2021~22年は大不振に見舞われた。コンスタントなパフォーマンスという点からすると、ソトには及ばない。

 ソトは、来シーズン終了後にFAとなる。ヤンキースがソトを手に入れるシナリオには、今オフあるいは来シーズン中の延長契約も含まれていると思われる。

 パドレスがソトを手放すかどうかは、まだわからないものの、マルティノの記事には、パドレスとヤンキースの両球団以外のエグゼクティブが「正当な取り引き」ならあり得ると語った、と書いてある。先月下旬には、サンディエゴ・ユニオン-トリビューンのケビン・エイシーが、パドレスは年俸総額を減らすつもりでいる、と報じており、ソトを放出する可能性があることを窺わせる。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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