アルバイト、一般社員、会社役員、さらには自営業…様々な職種の「一人当たりの」平均所得
所得水準を精査する際に公的な数字として良く用いられるのは世帯収入。しかしこの値は世帯の有業者の数や就業状況によって違いを見せる。そこで厚生労働省が2015年7月に発表した「国民生活基礎調査の概況」などのデータを元に、就業状態別の、有業者単位での所得の平均値を確認していく。
次に示すのは15歳以上における有業者の、就業状態別の平均年間所得。属する世帯全体では無く、働き手本人の所得で、世帯構成や人数で変化は生じない。要は各属性における平均年収。なお「国民生活基礎調査の概況」では所得は給与・賃金以外に賞与も該当し、税金や社会保険料も含んでいる。現物支給の場合は時価で見積もった額に換算して含めている。ただし事業所得(自営業など)では収入から仕入れ原価・必要経費(税金・社会保険料は該当せず)を差し引いた金額となる。
調査対象母集団全体では325.7万円。会社などの役員となるとほぼ倍のの634.6万円。正社員では427.9万円だが、非正規では172.0万円と半分にも満たない。ただしこれはパートやアルバイトが混じっているのが主要因で、派遣社員や契約社員・嘱託では268.4万円となる。
自営業者は321.3万円。ただ職種により大きく額は異なるため、あくまでも今調査の対象となった人の平均としての参考値程度に見るのが無難。むしろ内職などの場合、147.8万円との具体的な値が確認できたのは注目すべき。
これを男女別に見たのが次のグラフ。
女性は男性の大よそ半分程度の金額に留まっている。これは不思議なことにどのような就業状況でも変わらない。役員の立場ですら、女性は393.0万円で、男性の正社員の平均に手が届かない。
最後に経年変化。今回は非正規の詳細区分として、「パート・アルバイト」と「派遣社員、契約社員、嘱託など」について、男女別の動向を確認する。
意外にも取り扱われている期間内ではパート・アルバイトも契約社員なども、所得に変化はほとんどない。むしろ女性に限ればこの10年あまりの間にわずかながら上昇する動きすら見受けられる。雇用市場の変化に伴い、ここ数年は非正規でも時給が上昇していることは他の各調査でも確認できることもあり、2014年以降は小さからぬ動きもみられるかもしれない。
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