朝活派? それとも夜活派? グローバル美食都市メルボルンを遊びつくす【オーストラリア】
こちら でお伝えしたように、決められたフォーマットがないからこそ、多彩な オーストラリア料理 が百花繚乱なメルボルンのファインダイニングシーン。オーストラリアきっての美食都市はまた、世界有数の カフェ&バーの街 としても有名です。
多種多様な人びとを受け入れ、共に暮らしながら発展してきた街は、さまざまなライフスタイルを受け止める街でもあり。メルボルンっ子なら誰でも行きつけのカフェやバーを サードプレイス として大切にしているとか。そんなメルボルンの人たちにならい、フードライターの勘および ここぞとばかりに駆使 したネットワークで見つけた私好みのサードプレイス、モーニングコーヒー&深夜のカクテルを楽しめるとっておきのスポットを紹介します。
まずは 朝活 からどうぞ。
“都会のオアシス”をテーマに緑に包まれる朝時間 abacus bar & Kitchen
中心部から少し離れた高級住宅街サウスヤラ地区のオールデイダイニング。デザイナーやアーティスト、レストランオーナーなどスモールビジネスを営む、健康や環境への 意識が高い ゲストが多いこともあり、地元の野菜を使ったヘルシーでパワフルなメニューを朝7時から提供しています。毎日のように通う常連のために、手をかけすぎず 食べ飽きない料理 を心がけているそう。店内のいたるところに観葉植物を置き、大きな窓や扉を開け放って光と風を取り込むなど、内外をシームレスに繋ぐことでリラックスした雰囲気を演出。パソコンを持ち込み、テラスのパラソルの下で フラットホワイト を飲みながらオンラインミーティングをしている人も。料理は全体的に食べ応えのあるボリュームで、ブランチにもよさそうです。
時代の最先端をキャッチした料理と世界レベルのコーヒーを Higher Ground
2000軒以上あるといわれるメルボルンのカフェを大きくジャンルで区分すると、カフェスタイルの料理(=メルボルン版カフェめし?)がおいしい オールデイダイニング、有名なバリスタがいるなどコーヒーに特化した スペシャリティコーヒー店、テイクアウトも気軽にできる街角の小さな コーヒースタンド、の3つに分けられるそう。そのなかでカフェ風メニューのセンスのよさと、世界レベルのバリスタが提供するコーヒーの両ジャンルのクオリティが高く、メルボルンの カフェ界の王者 のような存在がこちら。ペルー原産のパワーフード キヌア や中東のスパイス デュカ などトレンドをさりげなく取り入れた料理をカジュアルに提供しています。コーヒーは、初めての訪問なら「バリスタが五感を刺激するように淹れた」という3種類のテイスティングセット(トップ画像)がおすすめ。
続いては 夜活 を。
メルボルンでナイトライフを楽しむうちに、意外にも 日本のバーシーン が注目されていることを知りました。ジャパニーズウィスキー の人気はいまや世界的ではありますが、メルボルンの夜のリーダーたちの知識と経験はそれより一歩深く、日本発の焼酎やクラフトジンといったプロダクツ、日本のバー や バーテンダー を知る人も多い。
とりわけ知名度が高いのが、メルボルンでゲストシフトを行ったこともある Bar BenFiddich (東京・新宿/Asia’s 50 Best Bars 2024 5位、The World’s 50 Best Bars 2023 37位)の 鹿山博康 さんです。
「オーストラリアはアルコールに対する 法的 な規制があまり厳しくなく、ダイバーシティなメルボルンには、さまざまな 文化的背景 を持つバーテンダーが集まっています。先日も友人のバーテンダーが、夢を叶えるために香港からメルボルンへ移住しました。また、オーストラリアには 固有の植物 が多いため、それらをインフューズするなど、創作カクテル などをつくりやすいのです」と鹿山さんは言います。
日本人バーテンダーも修業するメルボルンのバー界のスター Above Board
私見ですが、メルボルンには 個性的なバーテンダー が多いと思います。なかでもバーテンダー仲間から カリスマ 的な人気を誇るのが、Above Boardを率いるHayden Lambert さん。他店舗を通り抜けるかストリートアートがびっしり描かれた裏道から2階に上がるという、なかなか見つけづらい 隠れ家感満載 の扉を開けると、ターブルドットのようなカウンターを囲むソリッドでミニマルな空間が待ち受けています。クラシックカクテルもすばらしいのですが、メニューがカクテルと Bad Banter(ふざけた会話、のようなニュアンス)だけあって、おすすめは断然シグネチャーカクテル。ユニークなネーミングのカクテルには、味噌や梅干しのエッセンスを使ったものも。ハイデンさんに会いに通い詰めたくなるバーです。
音楽とカクテルと夜のvibesを楽しむ街のカルチャー発信地 Caretaker’s Cottage
ネイティブを含め ビクトリア州 やオーストラリアの植物と世界のスパイスを絶妙に組み合わせるなど、今っぽいレシピ を毎月生み出すカクテル担当。ジャズやロックをはじめジャンルを超えたレコードのコレクションを誇り、DJとしても活躍 する音楽担当。そしてバックオフィス業務をこなしながら 居心地のいい空間 をつくりあげるオペレーション担当と、それぞれの 得意 を持ち寄った3人のオーナーが共同で営むバー。DJブースとカウンターが一体となっていて、週末にはゲストDJを迎えて毎回コンセプトの異なる イベント を開催。ゲストシフトにも積極的で、メルボルンの バーカルチャーの発信拠点 として感度の高い人たちの 社交場 にもなっています。The World’s 50 Best Bars 2023 23位。
Wabi-Sabi(侘び寂び)マインドで楽しむアジアンフレーバー One or Two
オーストラリア最古 のチャイナタウンの路地裏にひっそりとオープンした小さなバー。そんな外観のイメージを鮮やかに裏切る クリエイティブ で 洗練 されたカクテルで、メルボルンのバーファンから今もっとも注目されている一軒がこちら。日本や韓国、タイなど アジアのフレーバー を、オーストラリアの視点を通して捉え直したようなオリジナルカクテルのほか、世界的に人気が高まっている ジャパニーズウィスキー をはじめ世界各国のウィスキーを揃えています。ミニマルな内観のコンセプトは コンテンポラリーな侘び寂び。香港で育ち日本料理店での経験を持つAndyさんは日本文化に親しみがあり、日本のバーにもよく足を運んでいたとか。店名の通りひとりか二人で、一杯か二杯のドリンクをゆったり楽しみたい。
オーストラリアの大地と季節をアートなカクテルとフードで表現する Byrdi
かけがえのない土地固有の テロワール と 季節 に寄り添い、生産者や食材との出合いに感謝を込めてドリンクやフードをつくりあげるという食への 本質的 なアプローチが印象的。オーストラリア人のライフスタイルに合わせて、多くのバーはドリンクメニューが中心でフードはあまり提供していませんが、ここは食事もしっかり味わえる ダイニング&バー。料理は 日本人女性シェフ のニシクラ アキさんがプロデュースしています。光を当てると青く輝きだすなど、ビジュアルも魅力的なアートのようなカクテルには、ビクトリア州 を中心にオーストラリアの 固有品種 の植物や厨房の一画で仕込んでいる自家製の 発酵食品 などを使っているとか。ショッピングセンターの中にあるため、女性ひとりや旅行者も気軽に立ち寄りやすい。
早朝から深夜まで 都市を旅する楽しみ をたっぷり享受できる メルボルン。東京をベースに生活している私には、さまざまな カルチャー に簡単にアクセスできる 都会型ライフスタイル はとても快適です。
でも、こんな風に 歩いて回れる街 は世界的に見るとあまり多くはないのですよね。公共交通機関 が整備されていて 安心 して移動でき、何より旅行者がひとりで歩いて路地のバーに入れるということは、治安が安定 していることを意味します。
また、メルボルンのカフェやバーは コミュニティ が円滑だそう。ひとつ訪れるとそこでまた次のおすすめを紹介してもらい、行ってみたいリストは もはやエンドレス。旅するたびに新しい発見がありそうです。
みなさんもぜひ、自分だけのとっておきのサードプレイス を見つけに、メルボルンを歩いてみてください。
special thanks to Visit Victoria