キッチンでできる【にんにくスプラウト】の育て方|菜園家がリボベジ感覚で栽培してみた|注意点・食べ方
にんにくよりも栄養が増える「にんにくスプラウト」をご存知ですか?にんにくスプラウトとは発芽させたにんにくのこと。スーパーフードとして注目されています。
少量なら家庭でも作ることができるので、早速試してみました。リボベジ感覚で試せる「にんにくスプラウト」(発芽にんにく)の育て方と注意点をご紹介します。
にんにくスプラウトは栄養価が高い
通常、ニンニクを料理に使うレシピでは、緑の芽の部分や芯を取り除きましょう、と言われますよね。でもこれはその部分が焦げやすく風味を損なうからで、食べられないからではありません。この芽の部分には栄養がぎゅっとつまっているので、本当は取り除くのはもったいないのです。
この栄養たっぷりなにんにくの芽を伸ばしたのが「にんにくスプラウト」。発芽にんにくとも呼ばれます。
もやしをはじめとするスプラウト野菜は栄養価が高いことで知られていますね。発芽直後の野菜は大きく成長するために必要な栄養を自ら作り出し、力を蓄えている状態だからです。
にんにくスプラウトも、芽が出る前のにんにくより鉄分は9倍、カルシウムは8倍になります。また亜鉛やマンガンなどの各種ミネラル、パワーの源アルギニンやストレス対策成分GABAが大きく増加することも特徴です。
(参考:乙村式にんにく・成分 / 新高farm・発芽にんにく )
このように、にんにくスプラウトは少量食べるだけでたくさんの栄養を摂取できるスーパーフードなのです。しかし現在はこだわりの農家や栽培家が比較的小規模に育てたものが流通するのみで、一般のスーパーではまだまだ手に入りにくい状況なのが残念。
しかし、少量なら家庭でも水栽培することができます。今の時期は家庭菜園作業がない筆者、リボベジ感覚でにんにくスプラウトを始めてみました。
芽が出てしまったにんにくを活用
にんにくを使いそびれていた結果、芽が出てきてしまったということはありませんか?そんなときはにんにくスプラウトとして育てましょう。
今回筆者は、青果店で芽が出そうだからと値下げになっていた国産にんにくを発見。芽が出ていないにんにくも、水につけると数日で芽や根が出てきて育てられます。
ちなみに、にんにくは収穫後2,3ヶ月は休眠しているのでなかなか芽が出ません。ほとんどの国産ニンニクは6月頃から8月までに収穫されています。収穫から3ヶ月以上経った秋から早春に購入する国産ニンニクは芽が出やすくなります。ですから冬から春にかけての時期、家庭でスプラウトにんにくにするのにはぴったりなんです。
※外国産にんにくの場合は収穫時期や保存方法が異なるため、発芽がばらつくことが予想されますがチャレンジしてみても。
にんにくスプラウト栽培のようす
買ってきたにんにくをバラにしてしばらく室内で保管したところ、芽が大きくなってきました。薄皮を丁寧に剥がし、水に浸かるようにして栽培スタートです。
毎日1,2回水換えをし、10日から2週間で収穫できます。液体肥料などを入れる必要はありません。水道水だけで栽培します。
にんにくの下の部分だけ水に浸かればどんな容器でも栽培できます。水換えしやすいようザルを使ったり、穴開き容器とトレイを重ねたりして工夫するとよいでしょう。
栽培容器の工夫
1週間後、だいぶ芽が伸びてきて倒れやすくなったので容器を変更しました。たまごケースを使って1個ずつ分けて並べてみるとそれぞれの成長具合がわかっていいですね。このくらい伸びたら、もういつでも収穫可能です。
幾つかの容器で試しましたが、一番使いやすいのは育苗用のトレイでした。にんにくスプラウト用に育苗トレイを使うと、それぞれ仕切ることができますし、色が黒いので根が伸びやすいというメリットが。下に水受け皿を重ねると水換えも簡単です。私はステンレスのミニバットを重ねています。
育苗トレイは「セルトレー」「プラグトレー」などの呼び名でホームセンターや園芸店にあります。72穴サイズがにんにくにぴったり。栽培個数に合わせた大きさにハサミでカットすると便利です。
菜園家のみなさんなら手持ちのものがあると思いますが、土汚れをきれいに洗い、消毒してから使ってください。
収穫します
今回は2週間とすこし栽培して15cm以上に伸びたにんにくスプラウト。根があまり伸びていないのでちょっと欲張って長く育ててみましたが、葉の先端が黄色みを帯びてきたところを見ると、栄養不足のサインが出ています。
にんにくの葉は大きくなりすぎると固くなりますし、なによりせっかくの発芽にんにくの栄養が葉の成長に取られてしまうかも。水栽培はこのへんで終了し、収穫としました。
にんにくスプラウトを育てる際は衛生面に注意
にんにくスプラウトを家庭で育てる際は、衛生面に注意しましょう。雑菌が繁殖しないために水換えをこまめに行うことが必要です。毎日少なくとも1回、できれば朝晩の2回水を交換すると安心。にんにくスプラウトには日光をたくさん当てる必要はないので、水換えのしやすいキッチンに置いておくのがおすすめです。
さらににんにくに傷がついているとそこから傷んできます。傷んだものをそのまま育てると水が腐りやすくなりますので、早めに取り除きましょう。傷んだ部分はピンク色になったり白くふやけてきます。残念ですがその個体の栽培は中止し、取り出します。傷んだ箇所を取り除いて料理に使うことはできますよ。
栽培開始時、にんにくの薄皮を取り除く作業で傷がつくことが多いようです。取りにくい薄皮は無理にはがさず、まるごと水につけておくと、少し経てばするっと皮がとれますのでお試しください。
にんにくスプラウトのおいしい食べ方
にんにくスプラウトは、芽から根まで全部を食べることができます。加熱して料理しましょう。ただし、芽とニンニク本体、根では火の通りやすさが異なるため、芽だけ焦げちゃった!という失敗も。別々に調理すると失敗がありません。
にんにくスプラウトの葉が甘い!
長く伸びた葉の部分だけを切り取って、軽く炒め、ラーメンにトッピングしてみました。にんにくの香りはほとんどしないのですが、とにかく甘い!これは美味しいですね。小ネギ代わりにリボベジ(再生野菜)として伸びてくる分を数回収穫するのも良さそうです。
にんにくスプラウトの天ぷらのコツ
さてにんにくスプラウトはまるごと揚げるのが美味しいということで、天ぷらにしました。
上手に火を通すコツは、硬さのある根の部分から先に油に入れ、緑の芽の部分は油に入れないようにして少しの間そのまま揚げることです。芽の部分が焦げやすいので、時間差をつけるわけです。大きいニンニクは半分に切って使います。
にんにくスプラウトをまるごと揚げると、根の部分はサクサク、本体はホクホクと食感の違いを楽しめました。熱々に塩を振っていただくと最高!
少量ずつ定期的に食べたいにんにくスプラウト
にんにくスプラウトは匂いがマイルドなのも特徴。ニンニク臭を気にしたくないときにも食べられますね。これで高栄養なのだから育てたかいがありました。
スプラウトにんにくは一日2個程度食べれば十分な栄養が摂れるため、一度に食べず少量ずつ定期的に、というほうが良さそうです。
まとめ
栄養価がアップするにんにくスプラウトは、家庭でも育てることができます。衛生的に栽培するのにはこまめな管理が必要ですが、試してみてはいかがでしょうか。家庭菜園やガーデニングをされる皆さんが、畑仕事が少ない時期の野菜づくりとして楽しむのにもおすすめです。
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