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大谷「50・50」を初達成 今年は京都などで初の「50・50」の「猛暑日日数・熱帯夜日数」を観測

饒村曜気象予報士
猛暑 熱中症で暑がる太陽のイラスト(提供:イメージマート)

 「50・50」という記録

 アメリカ大リーグ・ドジャーズの大谷祥平選手が、9月19日(日本時間9月20日)のマーリンズ戦で、史上初めてホームラン50本以上、盗塁50個以上の「50・50」という記録を達成しました。

 アメリカ大リーグ121年で初のできごとです。

 大谷選手は、この日は、6打数6安打10打点の大当たりで、ホームラン51本、盗塁51個まで記録をのばしています。

 今年、令和6年(2024年)の日本も、西日本を中心に記録的な猛暑となり、京都と福岡県・大宰府では、はじめて年間の猛暑日(最高気温が35度以上)が50日以上、熱帯夜(最低気温が25度以上)が50日以上の「50・50」という記録を観測しました(表)。

表 令和6年(2024年)の各地の熱帯夜日数と猛暑日日数
表 令和6年(2024年)の各地の熱帯夜日数と猛暑日日数

 令和6年(2024年)は、7月29日に栃木県・佐野で歴代3位となる41.0度を観測するなど、9地点で40度以上を観測しました。

 また、福岡県・大宰府では年間の猛暑日日数が62日(9月20日現在)となり、これまでの猛暑日日数の記録、群馬県・桐生の46日を大幅に更新しました。

 この暑さで、京都と大宰府で「50・50」を達したのですが、これまでは、超えられない高い壁でした。

 というのは、前述のように、猛暑日が一番多かったのが群馬県・桐生の46日ですので、猛暑日が50日を超えることがなかったからです。

 また、岐阜県・多治見など、内陸の都市では、猛暑日日数が増えて50日に迫ったとしても、夜になると気温が下がって25度未満になることから熱帯夜の日が大きく増えることはなかったからです。

京都の「50・50」

 京都で気象観測が始まったのは、明治13年(1880年)11月ですので、明治13年(1881年)以降、144年間の熱帯夜日数と猛暑日日数の観測があります。

【京都の熱帯夜と猛暑日】
明治13年(1881年) 熱帯夜1日 猛暑日2日
明治14年(1882年) 熱帯夜0日 猛暑日0日
明治15年(1883年) 熱帯夜0日 猛暑日10日
明治15年(1883年) 熱帯夜0日 猛暑日0日

昭和60年(1985年) 熱帯夜24日 猛暑日26日
昭和61年(1986年) 熱帯夜15日 猛暑日11日
昭和62年(1987年) 熱帯夜13日 猛暑日8日
昭和63年(1988年) 熱帯夜6日 猛暑日2日

令和3年(2021年) 熱帯夜29日 猛暑日18日
令和4年(2022年) 熱帯夜41日 猛暑日25日
令和5年(2023年) 熱帯夜57日 猛暑日43日
令和6年(2024年) 熱帯夜62日 猛暑日54日

 京都で気象観測が始まった頃は、熱帯夜はほとんど観測されず、まれに真夏日が10日ほどある年があった程度でした。

 その後、熱帯夜や猛暑日の観測が増え、近年は、特に熱帯夜の観測が増えており、昨年、令和5年(2023年)に熱帯夜が初めて50日を超え、猛暑日も初めて40日を超えました。

 そして、今年、初めて「50・50」を観測しました。

三連休初日(9月21日)の最高気温

 9月20日に一番気温が高かったのは、静岡県・静岡の39.2度、次いで京都府・舞鶴、福井県・小浜。兵庫県・豊岡の38.0度でした。

 そして、京都府・京都、福岡県太宰府を含め、猛暑日を観測したのは143地点(気温を観測している914地点の約16パーセント)、最高気温が30度以上の真夏日は554地点(約61パーセント)、最高気温が25度以上の夏日は729地点(約80パーセント)でした(図1)。

図1 猛暑日、真夏日、夏日の観測地点数の推移(9月21日以降は予想)
図1 猛暑日、真夏日、夏日の観測地点数の推移(9月21日以降は予想)

 ただ、9月21日に猛暑日を予想しているのは、南関東地方を中心とした19地点(約2パーセント)だけで、西日本を中心とした記録的な残暑は、収まりそうです(図2)。

図2 最高気温の分布予報(9月21日の予報)
図2 最高気温の分布予報(9月21日の予報)

 ただ、東京都心では、9月20日に一番遅い猛暑日の記録を作ったばかりですが、その遅い記録を更新するかもしれません。

「暑さ寒さも彼岸の中日まで」

 「暑さ寒さも彼岸まで」という慣用句があります。

 冬の寒さ(余寒)は春の彼岸の入りの頃(3月20日前後)まで、夏の暑さ(残暑)は秋の彼岸の入りの頃(9月20日前後)までには和らぐという意味です。

 今年の秋の彼岸の期間は、9月19日から25日までですので、彼岸の入りが9月19日、彼岸の中日(ちゅうにち)が9月22日で(秋分の日)ということになります。

 多くの地方では、彼岸の入りのあとに秋雨前線が南下して気温が下がりますので、「暑さも彼岸の中日まで」ということにはなりそうです。

大雨に警戒

 記録的な残暑が収まっても、三連休は大雨に警戒が必要です。

 現在、本州上には秋雨前線が停滞しており、9月20日朝には秋田県では線状降水帯が発生して大雨になりました。

 この秋雨前線は、ゆっくり南下しており、この前線に向かって、中国大陸に上陸した台風14号が向きを東に変えて接近中する見込みです(図3)。

図3 地上天気図と衛星画像(9月20日21時)
図3 地上天気図と衛星画像(9月20日21時)

 また、沖縄県先島諸島に熱帯低気圧が接近中です。

 台風14号は、まもなく温帯低気圧に変わる見込みですが。多量の水蒸気を持っています。

 また、沖縄県・先島諸島へ熱帯低気圧が接近しており、こちらも多量の水蒸気を持っており、これらの水蒸気は、太平洋高気圧の縁辺をまわるように秋雨前線に向かっています。

 秋分の日を含む三連休は、季節の変わり目となっています。

 最新の気象情報を入手し、長く続いた暑さに警戒から、今度は秋雨による大雨に警戒してください。

図1の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図2、図3の出典:ウェザーマップ提供。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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