「あせらず自分のペースで、最終的な目標を達成できればいい」添田栞菜 16歳の挑戦【ジュニアテニス】
元プロテニスプレーヤーの伊達公子さんが、生涯契約を締結しているヨネックス株式会社と組み、2019年1月に発足させた、日本女子ジュニア選手を対象とした育成プロジェクト「伊達公子×ヨネックスプロジェクト~Go for the GRAND SLAM~」は、2期生の約2年間におよんだ全8回のジュニアキャンプを終え、4月12日に卒業セレモニーが、北とぴあ(東京・王子)で開催された。
卒業を迎えたのは8名で、そのうちの1人が添田栞菜(かんな)だ。セレモニーでは、2期生を代表して添田が感謝の言葉を述べた。そして、2年間を次のように振り返った。
「まず、この2年間、すごく早かったと感じています。最初受かった時、周りは強い人ばかりで、自分はついていけるのかな、置いていかれる不安が大きかったです。(最後のキャンプを終え)2年間で自信をつけられた。後半のキャンプはのびのびできたというか、ちゃんと自分らしさを出してプレーできたので、すごい成長できたのかなと思います」
添田栞菜の叔父は添田豪さんで、グランドスラムの本戦や男子国別対抗戦デビスカップに出場したことのある日本を代表する選手だった。そんな背景がありながらキャンプに参加した。2期生のキャンプが始まった当時、実績がなかった添田は、自分がメンバーに選ばれたことを驚いていたほどだった。全8回のキャンプをとおして、さまざまなことを学んだ添田は、双眸を輝かせながら自分が手にしたものを語る。
「いろんなコーチとコミュニケーションをとれたことも財産ですし、いちばんはセミナーで、いろんな方と話したことで、自分の経験値が上がって、それを試合で活かせたことが、いちばんの財産かな」
ジュニアプロジェクトの目標は、ジュニア選手をグランドスラム・ジュニアの部に出場させることだが、新型コロナウィルスのパンデミックが続いていた中ではあったものの、2期生の活動中に、プロジェクトとして初めて目標を達成する選手が出現した。
添田と同じ2006年生まれの木下晴結(ITFジュニアランキング29位、4月17日付け、以下同)が、グランドスラムのジュニアの部で、5大会連続で本戦出場を成し遂げ、グランドスラム4大会すべてに出場した。そして、添田(376位)は、2023年オーストラリアンオープンのジュニアの部で初めて予選に出場した。
オーストラリアンオープンのジュニアの部の予選は、トララルゴンという場所で行われるのだが、添田は、本戦が開催されるメルボルンパークで試合を観戦することができたという。
「オーストラリアの会場に行って、試合ができたことが自分の自信にもなったし、他のトップの選手を実際に見て、それが自分にとってすごくいい経験になった。いろんな選手の試合を見た。(ココ・)ガウフを目の前で見れて、印象に残っています」
今後は、「フットワークをもっと鍛えていかないといけないと感じています。来年の全豪オープン(のジュニア部)の本戦に出場することを目標にしています」と語る添田は、さらにその先に、プロテニスプレーヤーになることを見据えている。
「高校を卒業してからなのか、高校生のうちにか、まだわからないですけど、プロとして活動することは目標の1つです。あせらず自分のペースで、最終的な目標を達成できればいいと思っています。最終的な目標は、シニアの方の(プロが出場する)グランドスラムで優勝することなので、それを達成できるよう頑張りたい」
16歳の添田の挑戦は、これからも続いていく。道は決して平坦ではないが、持ち前の強い意志で自分の道を切り開いていくに違いない。