支援物資のラストワンマイル【熊本地震】
熊本、そして大分を中心に九州地方全域にわたる今回の地震に関する被害に対してお見舞い申し上げます。余震が続き、不安な日々がまだ続いていますが、まずは被災されている人々への支援については当初の混乱が少しづつ収束し、落ち着きつつあります。しかしながら支援する方々と支援を必要とする人々の間には幾分のミスマッチが生じているようです。上記の記事のように支援物資の種類については、近年の震災被害でも言われていることですが、配送のミスマッチが指摘されています。
支援物資が被災者に届かないのです。正確には被災者が頼りにしている避難所、もしくは支援物資を配給する集会所等に、必要とする支援物資が届かないのです。被災地全体に対しては、必要とする支援物資が十分でないとはいえ、ほぼ届いているようです。過去の震災の教訓があり、何が必要となるかという情報が行きわたっているからです。従来のメディアだけでなく、ネット上の各種メディアや個人が主体となったSNS等で十分な情報が行きわたり、それを受け入れる体制がかなり整ってきたからです。しかし、その支援物資が県庁等の拠点1カ所に集まっているだけで、必ずしも必要な場所に届いていません。それは配送手段の問題ではなく、例えばすべての避難所がすべて同じ支援物資を欲しているかというとそうではないからです。避難所毎に必要な物、不足している物資が異なるのです。現在、盛んにSNS等を使って、各避難所等が個別に不足物資を主張していますが、それも個人が発信している情報であり、重複等もあって、必ずしも正確な情報ではありません。
上記のような個人の「声」をまとめるシステムも存在しますが、そこに注意書きされているように必ずしも信ぴょう性を保証するものではありません。
現在では通信手段は早期に回復することが可能であり、衛星通信も比較的容易に利用することが可能です。これらの通信基盤の上でICT技術を使って、信頼性の高い情報共有を行うことは難しいことではありません。しかも震災時の配送手段を考慮したシミュレーション、およびそれを利用した実演習も容易に行うことが可能です。現実に全国展開しているコンビニや大型小売店では物流を介した個々の商品の綿密な配送、陳列(ディスプレイ)が行われています。災害対策としてのICTを利用した、支援元あるいは集積所と避難所等の間での、支援物資の信頼性の高いマッチングが望まれます。
県庁等の支援物資集積所には大量の支援物資が届いており、それをいかに必要な場所に効率よく届けるかという、いわば支援物資のラストワンマイル問題を解決することが重要です。