頭を悩ますお父さん、お母さんへ ~ 夏休み終了まであとわずか。自由研究ならここへ行こう! 首都圏編
お盆も終わり、夏休みもいよいよ残りわずか。小学生のお子さんを持つお父さん、お母さんたちと話をすると、頭を悩ましているのは「自由研究」。
筆者のところにも、テレビ局や新聞社から、自由研究に絡めて、工場見学やものづくりや産業系の資料館について情報が欲しいという要請が毎年寄せられる。
もう夏休みも残り少なく、工場見学もすでに申し込みが締め切られているところも多い。今回は、地域経済が専門で、各地の工場見学や資料館、博物館を数多く見て回った筆者から、困っているお父さん、お母さんに、首都圏の穴場というべきところを三か所ご紹介します。
いずれにしても、短い時間で自由研究を完成させるためには、見学に出かける前にテーマを決めておく方がよいでしょう。そして、ある程度の事前の下調べをネットなどを通じて済ませておく方が良さそうです。
1.新札発行目前の今がタイムリー 紙の博物館とお札と切手の博物館(東京都北区・JR王子駅)
自由研究のテーマとして、ちょうど時期的にぴったりなのが「新しいお札」。2024年7月前半を目途に、一万円、五千円、千円の3券種が新しいデザインに変わります。
1万円札は渋沢栄一、5千円札は津田梅子、そして千円札は北里柴三郎の肖像が描かれ、最新の偽造防止策が盛り込まれた新紙幣は、すでに印刷され始めています。
この新札を印刷しているのが、東京都北区の国立印刷局東京工場で行われています。この工場も見学ができますが、残念ながら8月中の見学はすでに満員です。
さて、この1万円札の肖像として選ばれた渋沢栄一の邸宅があったのが、東京都北区の飛鳥山でした。そして、渋沢栄一が近代産業振興の一つとして取り組んだのが製紙でした。1873(明治6)年には、日本初の洋紙製造工場「抄紙会社」が、この王子の地に設立されたのです。そんな歴史を学ぶことも自由研究にはぴったりです。
飛鳥山には、製紙産業の歴史を学べる世界でも珍しい紙の博物館があります。まずは、製紙の歴史と技術をここで学びましょう。飛鳥山には、飛鳥山3つの博物館と呼ばれる、この紙の博物館のほかに、北区飛鳥山博物館、そして渋沢栄一の功績を学べる渋沢史料館の三つです。
飛鳥山公園には、北区のお土産や物産を販売する渋沢×北区飛鳥山おみやげ館、さらに今年の3月にはカフェレストラン「APRON MARK(エプロンマーク)」と「おやつ屋 my me mine」もオープンにしているので、ここで一休みできます。
JR王子駅から飛鳥山公園の往復には、子供にも大人にも人気の飛鳥山モノレール(あすかパークレール)が便利。高低差約18メートルを約2分で往復します。冷房完備で車イス・ベビーカーにも対応。暑い中の移動にもばっちりです。
王子駅まで戻ったら、JRの高架をくぐり、明治通りを北に数分行ったところにあるお札と切手の博物館に向かいましょう。印刷局の工場見学はできなくても、この博物館でも自由研究の情報は充分に集められます。お札と切手の博物館では、2023年8月27日まで「お札が変わる!なぜ変わる?お札の知られざる歴史を探ろう」展を開催しています。このように、新しいお札の発行を前に、自由研究にはぴったりです。
⇒紙の博物館 〒114-0002 東京都北区王子1丁目1−3 飛鳥山公園内
⇒お札と切手の博物館 〒114-0002 東京都北区王子1丁目6−1
2.身近なところから考える環境問題 小平市ふれあい下水道館(東京都小平市)
上水道に関しては、身近に感じていますが、意外と使い終わった水が、どのように流れていくかというのは、あまり意識していないのではないでしょうか。
下水道に関する資料館や博物館は各地にありますが、地下の奥深くを流れる下水管の中に入ることができる小平市ふれあい下水道館は、非常に珍しいのです。
この小平市ふれあい下水道館は、1階から入り、階段を地下に降りていきます。地下2階、地下3階、地下4階には、江戸時代からの下水道の歴史などがジオラマや模型などを使ってわかりやすく展示されています。降りていく階段室には、地中の様子が展示されています。
さて、いよいよ地下5階に到着すると、地下25メートルの実際に使われている下水道管の内部に入って見学です。実際に使用されている下水道管ですから、大雨などの際には閉鎖されて入ることはできなくなります。こんな巨大な水の流れが、私たちが毎日歩いている道路の地下奥深くにあることに、大人もきっとびっくりするでしょう。
私たちが毎日、使っている上水道も大切ですが、使った後の下水道もどうなっていっているのかを考えることも大切です。自由研究では、家庭から出て行った下水がどのようになっていくのかを調べても良いでしょうし、私達の生活に直結する環境問題、SDGsの視点から考えてもよいでしょう。展示品から江戸時代の下水処理もおもしろいテーマになるはずです。
小平市ふれあい下水道館は、ホームページで様々な動画を公開していますから、見学の前後に見るのも大切でしょう。
さて、この下水道館のある周辺は、近郊農業が盛んな地域でもあります。車で約2分ほどのところには、農産物直売所のJA東京むさし国分寺ファーマーズ・マーケット・ムーちゃん広場があります。自由研究のための見学が終わったら、国分寺産の野菜「こくベジ」などを買って帰るのも楽しみもあります。
⇒小平市ふれあい下水道館 〒187-0022 東京都小平市上水本町1丁目25−31
3.みんな大好き、バスとトラック 日野自動車21世紀センター・日野オートプラザ(東京都八王子市)
最後は、子供たちが大好きな自動車です。それもトラックやバスについて、勉強してみましょう。
館内に入る前から、トラックやバス、消防車などが並べられており、わくわく感が高まるのは、日野自動車21世紀センター・日野オートプラザです。
住宅街が広がる八王子市南部にあります。最寄り駅は、横浜線八王子みなみ野駅で、歩くと20分程度かかりますので、暑い季節に行くには、路線バスの利用がお勧めです。車の場合は、八王子ICより国道16号にて約30分です。
エントランスホールに展示されているのは、1917年に東京瓦斯電気工業(現・日野自動車)が製作した日本初の純国産トラックのレプリカが展示されています。ここから歴史が始まります。
2階に上がると、模型や写真を使ったトラックやバスの歴史の展示が判りやすくされています。「ドライバー異常時対応システム(EDSS)」は、シミュレーション体験ができます。
2階から、スロープを降りていくと、その壁面に日本の自動車の歴史が書かれており、ここの年表は自由研究のネタになります。お父さんやお母さんも、懐かしく見ることができるでしょう。
1階には、ボンネットバスや1960年代に日野自動車で生産販売していた乗用車、そして、今話題になっている電気自動車なども展示されています。
屋外には、1991年、世界で最初のハイブリッドエンジンを搭載したバスも展示されています。ハイブリッドエンジンというと、最近の物のようですが、すでに30年の歴史があることには驚かされます。
バスやトラックの歴史というテーマでも、環境に配慮したバスやトラックというテーマでも自由研究になりそうです。車の実物や、ミニカー、模型などが沢山あり、うっかりするとはしゃいで、自由研究のことを忘れそうになりますので、お父さんもお母さんも注意が必要です。
⇒ 日野自動車21世紀センター・日野オートプラザ 〒192-0916 東京都八王子市みなみ野5丁目28−5
《今回、ご紹介した施設のうち、この日野自動車21世紀センター・日野オートプラザのみ、前日までの予約が必要です。また、2023年9月9日(土)より10月1日(日)まで休館となっています。必ずホームページで最新の情報をご確認ください。》