極上のサウンドの“響き”、ダンスと映像美、全てが“アンサンブル”となって感動を生む『神韻芸術団』
「神韻2023日本公演」の初日公演を、12月26日J:COMホール八王子で観た。初見だったが、舞踊と音楽の繊細で大胆、多種多様な技巧とその表現力に圧倒された。神韻芸術団は「中国伝統文化の復興」をテーマに、古典舞踊や民族・民間舞踊をメインに世界中で公演を行う、舞踊と音楽の芸術団だ。2006年にニューヨークで発足し、以来米国、カナダ、ドイツ、フランス、オーストラリア、日本、韓国、台湾などの主要都市で公演を行ない、絶賛されてきたエンターテインメントだ。8つの舞踏団と専属のオーケストラが、毎年一新される演目を引っ提げ、世界各国の観客を熱狂させてきた。
数千年の歴史を持つ中国古典舞踊を学んだ、選りすぐりのダンサー達一人ひとりの高度なテクニックには驚かされる。思わず息をのむ跳躍、目にも留まらぬ速さのスピン、それらがひとつになる圧巻のシンクロ率の高さとオーケストラとのアンサンブルが熱狂を生み出す。隅々にまで“血が通っている”ことを感じさせてくれる、人間ワザの圧倒的な力強さと“熱さ”。神韻を見て素直に感じたことだ。
さらにエンターテインメント性を高めているのが、革新的な3D背景幕だ。パフォーマーがステージと背景幕の間を往来することを可能にする、神韻だけのシステムに驚かされる。背景幕の臨場感あふれる動的表現が、物語をよりわかりやすく、より膨らませ、数千年の歴史の全ての場所や瞬間をステージに甦らせ、時空を超える時間旅行体験を提供してくれる。今回は古の物語の数々を19演目楽しませてくれる。誰もが知る「西遊記」から、空を自在に飛び回る孫悟空が登場、清の時代の紫禁城に集う、宮廷の淑女たちによる満州族の舞、魏・呉・蜀三国時代の劉備と武将・趙雲の奮闘、玄宗皇帝と楊貴妃の物語、「水滸伝」の豪傑で出家し僧侶になった魯智深、詩集「蘭亭序」をしたためた書聖・王羲之など、中国五千年の歴史を賑わせてきたおなじみの人物たちが、神韻の舞台に“いきいきと”登場し、物語を紡ぐ。そのいきいきとした空気感を作りだしているのが、鮮やかな背景幕だ。
目にも鮮やかな美しい衣装の数々も見逃せない。伝統的な審美眼に基づき作られた衣装の色、形、その衣装が舞踊と共に“揺れる”様子は、各演目の大きなポイントになっている。そしてなんといってもオーケストラと、琵琶や二胡などの中国楽器とのコラボによる演奏の素晴らしさが、この公演の芸術性をさらに高めている。神韻交響楽団は、アメリカ・カーネギーホールでオーケストラとして単独デビューを果たすほど評価されており、新鮮なサウンドの“響き”とダンスと映像美、視覚と聴覚が劇的に刺激され、全てが“アンサンブル”となって、観客の心を高揚させる。
今回の日本公演は12月26日の八王子公演を皮切りに、福岡、広島、兵庫、京都、神奈川、埼玉、栃木、再び東京、そして愛知と、過去最多となる10都市をまわる。