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韓国世論が真っ二つ。「ピンクの膝上丈ワンピース」で国会に出席、最年少の女性議員はいったい何者? 

韓国国会の風景。写真はイメージ(今年7月の文在寅大統領演説時)(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

少数左派政党所属。”ゲーマー”としての顔も

27歳議員、国会の本会議にピンクの膝上ワンピース姿で颯爽と出席――。

  • リュ・ホジョン議員の様子を報じる「JTBC」

5日の出来事が、韓国世論を真っ二つにしている。

「場所をわきまえろ」

「国会に制服があるの?」

6日の午前、韓国最大のポータルサイト「NAVER」の政治部門リアルタイム検索でトップ10のうちじつに6つを占めた。トップニュースこそ「文在寅大統領の私有地に疑惑」というスクープだったが……。

当事者はリュ・ホジョン(柳好貞)議員。事が起きたのは第380回臨時国会の本会議だった。

1992年8月9日生まれの27歳。現在の韓国国会では最年少だ。慶尚南道の昌原市の女子校から梨花女子大に進み、社会学を学んだ。

  • 会見での様子を報じる韓国メディア。

左派・革新系の「正義党」所属。今年4月の総選挙で同党の比例代表候補1位として当選した。

正義党は2012年に「進歩正義党」として設立され、2013年7月に現党名に変更。現在、韓国国会の全議席300のうち、6議席を有する。2020年4月の国会総選挙では選挙区から1人当選、比例代表からはリュ議員を含め5人が当選した。

韓国で本人のプロフィールには「労働運動家出身の政治家」とあるから、色濃い左翼系議員といえる。

また大学時代から全国の学生eスポーツ組織のトップを務め、大学卒業(2015年)後にはゲーム会社「スマイルゲート」に入社。制作、マーケティング、ストリーミング技術管理などを担当した。この経歴もあり、党内ではIT関連政策のポストも任された。

いっぽうで同社在籍時に労働運動家へと転身するきっかけがあった。後輩が社内での性暴力を被害を訴えた際、証人として懲罰委員会で発言。ここから労使運動に関わるようになり、会社側と対立した。

退社後、2018年から労働運動家として活動した。ここで注目を集めたのが、「SNS戦略」だった。労働運動という華やかなイメージとは少し離れたテーマのなか、フェイスブックページのフォロワー数を7800まで伸ばした。当時のインタビューで「労働運動といえば、40代のおじさんのイメージがあったのではないか。固定観念を壊したかった」としている。

韓国メディアの反応。はっきり言って「セクハラ」も

彼女のアクションが大きな話題になっている。「世界日報」はその様子をこう報じた。

「批判を超え、嫌悪・セクハラまで…甲論乙駁(決着のつかない議論が行われている)」

与党「ともに民主党」の支持者が集まるSNSページと極右趣向のインターネットコミュニティ「日刊ベスト貯蔵所(イルベ)」などで批判、当てつけ、セクハラまで出ている反面、リュ議員を応援する声も相次いでいる。

「ともに民主党」からの批判とは「左派が極左を批判」といった構造だ。

こんな声が飛んでいる。

「本会議場に飲み代をもらいに来たのか?」

TPOをわきまえていない、という点を接待を伴う飲食業に比喩して批判した。

また、極右サイトの「イルベ」ではこういった言葉が飛んだ(掲載に耐えるものを抜粋)。

「彼氏でも紹介してもらいに行くのか?」

「もっとエロいのを着ろ」

リュ議員がパフォーマンスをやりすぎだ、という主旨での批判が目立つ。リュ議員は今年7月にセクハラ疑惑を苦に自殺したと見られるパク・ウォンスン元ソウル市長の弔問に「訪れない」と早々に宣言。この点でもネットを賑わせていた。また4月の総選挙前にはかつてeスポーツ大会で「替え玉出場」疑惑が取り沙汰され、党からの候補取り消しが報じられたことも極右からの「攻撃の余地」となっている。

いっぽうで絶賛の声も上がっている。同じく若い世代の女性議員、コ・ミンジョン議員はTwitterでこう発信した。

「彼女とすべての考えは同じではないが、国会の過度な厳粛さと権威主義を壊してくれたことに感謝する」

この称賛、上記の通り「左派と極左」の関係(つまり、これまた敵対)にある「ともに民主党」所属議員からのものだった。

また賛同を報じる韓国メディアは17年前に「白いズボンにノーネクタイ」で国会に出席し、猛批判を浴びた若手男性議員の存在を報じた。「韓国社会は何も変化できていないどころか、彼女によりひどい言葉を浴びせている」とする。

革新系の「女性新聞」は当然のごとくはっきりと賛同を表明。「我々にはもっとリュ・ホジョンが必要」と論じた。

  • リュ・ホジョン議員の様子を報じる「女性新聞」

当の本人は行動の理由を、韓国メディアにこう話している。

「国会の権威はスーツで作られるものではない。これからも多様な服を着ていきたい」

つまりは固定観念を変えたかった、と。

ちなみにこの日のワンピースは若手議員のフォーラムでも着用し、「これを本会議でも着る」と宣言したところ、拍手が巻き起こったという。若手議員との約束を守るため、という意味もあったようだ。

吉崎エイジーニョ ニュースコラム&ノンフィクション。専門は「朝鮮半島地域研究」。よって時事問題からK-POP、スポーツまで幅広く書きます。大阪外大(現阪大外国語学部)地域文化学科朝鮮語専攻卒。20代より日韓両国の媒体で「日韓サッカーニュースコラム」を執筆。「どのジャンルよりも正面衝突する日韓関係」を見てきました。サッカー専門のつもりが人生ままならず。ペンネームはそのままでやっています。本名英治。「Yahoo! 個人」月間MVAを2度受賞。北九州市小倉北区出身。仕事ご依頼はXのDMまでお願いいたします。

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