JR東海・静岡エリアに「転換クロスシート」登場!「青春18きっぷ」の旅がより快適に
JR東海といえば「青春18きっぷ」のユーザーからはよく言われない会社であった。その最大の理由として、静岡エリアの東海道線の一部(211系)にトイレがないことが挙げられる。また313系はトイレこそあるものの、一部を除き多くの車両がロングシートで、これまた評判が悪い。
そんな「青春18きっぷ」利用者の声が届いたのだろうか、中央本線でこれまで運用されてきた313系8000番台、もと「セントラルライナー」使用車両が、最近静岡エリアにやってくることになった。
中央本線からの転属の理由は?
このダイヤ改正で、JR東海は中央本線名古屋~中津川間での使用車両を、8両編成に統一することになった。そのために、315系という新しい車両が導入されることになった。なおこの車両は、全車両ロングシートである。
この新車導入と8両編成への統一により、どうしても余剰となる車両が神領車両区に現れる。多くが大垣車両区へと移籍したが、313系の8000番台6編成が静岡車両区へと移籍することになった。
315系が来ることにより、車両が余ったからである。
静岡エリアでは、大垣車両区からやってくる313系が転換クロスシートであることはありうるものの、一部はセミクロスシート、多くがロングシートとなっており、普通列車を長距離利用する層からの不満は大きかった。
それが、今回の313系8000番台の移籍で解消するのだ。トイレ設備もしっかりとしている。報道によると、211系への「トイレがない」という不満を解消する目的もあったという。ロングシートはがまんすれば済む話かもしれないが、トイレはそうはいかない。
期せずして静岡エリアの輸送改善へ
この移籍により、静岡エリアにはセミクロスシートのほかに、転換クロスシートが普段から入るようになった。転換クロスシートは、背もたれを前後に移動させることができ、進行方向に向かって座りやすいということで、人気が高い。とくに長距離の利用者からは、評判のいいものである。
静岡エリアでは、これまで211系と313系を連結させてトイレのない編成を減らしたり、あるいはロングシートとセミクロスシートの車両を連結させたりして長距離利用者と短距離利用者それぞれの便を図っていたものの、いかにせんロングシート車が多く、長距離利用者にはつらいものがあった。それが、この313系8000番台6編成の導入で大きく改善されるのだ。
たとえば、ロングシート車とこの313系8000番台を併結させることで、長距離利用者にも短距離利用者にも便利な編成となるのではないだろうか。併結させる組み合わせをよく考えるだけで、輸送状況の改善につながる。
あるいは、併結はしなくても211系は短距離列車にのみ使用することにし、長距離は313系にするだけでも、トイレの有無でだいぶ違うのではないだろうか。
快適になる「青春18きっぷ」の旅
東海道本線の静岡エリアは、ロングシートの多さゆえ「青春18きっぷ」利用者からはよく言われていなかったエリアである。しかし、313系8000番台が移籍してきたことにより、関東から関西まで、進行方向向きでの座席に座り通すことが、よりやりやすくなったのだ。
JR東日本エリアでは、「青春18きっぷ」で普通列車グリーン車に乗ることができる(なお別途グリーン券が必要)。また、E231系やE233系のセミクロスシート車に乗れば、進行方向に向かって座ることができる(ただしちょっと狭い)。
JR東海の静岡支社管内に入ると、313系8000番台の転換クロスシート車や、一部の313系のセミクロスシート車が利用可能だ。
豊橋から先は、快速・新快速・特快を使用する。これは転換クロスシート車両となっている。
米原からはJR西日本となり、新快速。
これまでよりも進行方向向きに座って移動することができるようになり、快適な旅となることであろう。
今回の313系8000番台の移籍で、静岡支社管内はポジティブな変化となることになった。コロナ禍が終わったら、静岡の在来線に乗りに行きたいと思ってしまうほどである。