まるで鹿児島のような東京の3月、実に400キロも南下したような暖かさ
1月中旬から気温上昇、あまりにも暖かすぎる3月に
きょうで3月も終わりますが、東京では23.4度まで気温が上がり、3日連続で5月下旬並みの汗ばむ陽気となるなど、各地で季節外れの暖かさ(暑さ)が続いています。
またこの3月は各地で桜の開花や満開が平年より1週間から2週間以上も早くなっており、きょうは東北の仙台で実に平年より16日も早く、観測史上初めて3月の満開を迎えるなど、多くの所で観測史上1位の早さを更新しています。
振り返れば、昨年の12月以降は次々と強烈な寒波が流れ込み、1月上旬までは大雪や寒さの話題一色となっていました。
ところが上図にある通り、1月中旬以降はほぼ全国的に平年より高いことをあらわす赤一色となっており、特に3月に入ってからは沖縄・奄美で一時的に寒さが戻った他は、北日本から西日本にかけて、ほとんど寒の戻りもみられないまま、ずっと平年より高い状態が続いているのが分かります。
あまりにも暖かいため、3月って毎年こんな感じだったかなと勘違いしてしまいそうですが、違います。今年の3月はこれまでになかったような異常とも言える暖かさとなっているのです。
各地で300キロから400キロも南にずれたような暖かさ
上図は3月1日から30日までの30日間平均気温の平年差を示したものです。
一時的に低温状態のあった沖縄・奄美以外は、北海道から九州にかけて、ほぼ全国的に平年より2度以上高いことをあらわす赤一色となっています。
そして地点ごとの実際の平年差をみてみると、2度以上どころか3度以上高い所も続出しており、多くの所で観測史上最も暖かな3月となるのはもちろん、これまでの記録を逸脱して高くなる所も続出しそうです。
東京に関して言えば、12.6度で平年より4.0度も高く、過去の3月の高温記録2002年12.2度を大きく更新するのは間違いありません。さらにこの19年前の記録は大手町の気象庁で計っていた記録で、現在は高温の出づらい北の丸公園内で計っているため、実際はもっと大幅にこの記録を更新していると考えてもおかしくありません。
ここからは例え話ですが、日本付近の緯度1度は南北に約100キロで、これは平均気温1度の差に例えられることも多く、このため平年より4.0度高いということは、緯度にして南に約4度、約400キロもずれ込んだような計算となります。
東京と鹿児島の緯度は、それぞれ北緯35.7度と北緯31.6度で、その差は約4度、約400キロとなりますので、今年の東京の3月はまさに平年で言うところの鹿児島並みの暖かさだった言うことが出来るでしょう。
実際に鹿児島の3月の平年値は12.5度で、今年の東京の3月の値12.6度(30日まで)とほぼ一致しています。ただその鹿児島も今年の3月は記録的な高温で、15.5度と平年よりは約3度も高くなっています。
主な地点の3月の平均気温(30日まで)は以下の通りで、いずれも過去の記録を大幅に更新する見込みです。カッコ内は平年差です。
仙台8.4度(+3.5度)、水戸10.6度(+3.9度)、千葉13.1度(+4.2度)、横浜13.0度(+4.0度)、名古屋11.9度(+3.3度)、大阪12.1度(+2.7度)、松山12.7度(+3.3度)、高知13.8度(+3.1度)、福岡13.5度(+3.2度)など。
北からの寒気の南下が弱く
ではなぜこんなに暖かいのでしょうか?
上空5000メートル付近の流れをみると、1月上旬までは偏西風が南へ蛇行し、北からの寒気が流れ込みやすい場となっていましたが(日本付近の青色)、その後は一時的に寒気が南下しても長続きはせず、特に3月に入ってからは寒気らしい寒気はほとんど南下せずに、結果として日本付近は高度が高い(暖かい)ことをあらわす黄色やオレンジ色に覆われている状態です。
なぜ日本付近に寒気が流れ込まなかったのかなどの要因は、偏西風の流れに影響する太平洋や南シナ海、インド洋などの海水温や対流活動などが複雑に絡み合うため、簡単に答えは導き出せないと思いますが、ここまで寒気の影響を受けない3月は過去にほとんど例がなかったということは言えるかと思います。
あすからは4月となりますが、引き続き高温傾向が続く予想で、関東以西は20度以上の日が多いでしょう。来週は少し冷たい空気の影響を受けますが、下がっても平年並みか平年よりやや高い状態が続く見通しです。