大相撲名古屋場所は4年ぶり通常開催に戻り初日から盛況 会場の親方衆のTシャツは岩友親方の新発想!
大相撲名古屋場所が、7月9日にドルフィンズアリーナで初日を迎えた。悪天候のなか、4年ぶりに通常開催に戻った会場には朝から多くの人が列を作っていた。「本当にうれしいしありがたいですね」と笑顔で話すのは、今回お話を聞いた名古屋場所担当の岩友親方(元幕内・木村山)。久しぶりの通常開催に、運営側も「忘れていることも多かった」という。今回の場所の見どころや工夫について話を伺った。
短冊にちゃんこ 運営の工夫とは
15日間のうち、すでに90%ほどのチケットが売れており、札止め(売り切れ)の日もあるという盛況ぶり。岩友親方が力を入れているのは、名古屋場所恒例の「力士の短冊」の展示だ。
「今年から関取衆の写真を入れて、お客さんがわかりやすいように工夫しました。日が経つと笹が枯れてしまうので、おそらく前半戦のみの展示です。撤去される前にぜひ見に来てください」
また、地方場所3か所で唯一ちゃんこが食べられるのも名古屋場所ならでは。15日間通して食べられる「冷やしちゃんこ」に加え、3種類の味が1日ごとに変わるようにしたという。なぜか。
「地方場所は連日来られるリピーターの方も多いので。作ってくれる業者さんも、快くOKしてくれました。土俵上では現役力士に頑張ってもらいますが、運営のほうでもいかにお客さんに満足してもらえるかを追求しています」
あらゆるサービスの随所に、岩友親方ら運営側の工夫や気遣いが垣間見られる。
新しいものを取り入れることも伝統を守ること
協会公式グッズを販売する売店に行くと、会計を担当する親方衆のTシャツに目が奪われた。普段、協会員が着用している「協会ジャンパー」がデザインされたTシャツなのだ。
これも岩友親方に聞いた。
「名古屋は暑いので、クールビズから着想を得たんです。ほしい?そうでしょう?そう思ってもらうことがミソなんです。そのうちファンの皆さんも買えるようになるかもしれませんよ(笑)」
いつも「お客さんに喜んでもらうために」と、アイデアマンとして奔走する岩友親方。その裏にはどんな思いがあるのか。あらためて伺った。
「新しいものを取り入れていくことも、ひいては伝統を守ることだと思うんです。いいものを取り入れながら伝統を大きくしていく。その点については、協会がだいぶ変わってきたと思うし、コロナもマイナスばかりじゃなかったんです。例えば、コロナを機に、職員さんたちが地方場所を手伝いに来てくれるようになりました。地方場所開催の大変さをわかってもらえただけでなく、自分たちも職員さんたちのありがたみを感じられて相乗効果が生まれた。コロナを乗り切るために、みんなで一緒に考える時間が増えたので、いいこともいっぱいあったなと思っています」
初日は横綱・照ノ富士が圧巻の強さを見せつけ、大関取りの豊昇龍、大栄翔、若元春もそろって白星スタート。土俵を沸かせる力士たちの姿に注目しつつ、観戦の際には土俵外の楽しみにも目を向けて、暑い名古屋場所観戦をさらに熱い思い出にしていただけたら筆者も本望である。