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ドラフト最下位指名はメジャーリーガーになれるのか。今年は1216番目に指名された高校生外野手が最後

宇根夏樹ベースボール・ライター
マット・ガランテ MARCH 7, 2006(写真:ロイター/アフロ)

6月に行われるドラフトにおいて、全体1位で指名された選手は注目を浴びる。スーパースターになった選手も少なくない。ダリル・ストロベリーケン・グリフィーJr.チッパー・ジョーンズアレックス・ロドリゲス(現ニューヨーク・ヤンキース)……。ワシントン・ナショナルズで投打の柱としてプレーしている、スティーブン・ストラスバーグブライス・ハーパーもそうだ。

それに対し、ドラフトの最後に指名された選手はどうなのか。最下位指名の全52人(1965~2016年)を調べてみた。

彼らのうち、約半数の選手はプロとしてプレーしなかった。これに、最下位指名を断り、翌年以降のドラフトで再び指名されてプロ入りした選手を加えると、全体の3分の2近くに達する。今年6月に40巡目・1216位でセントルイス・カーディナルスから指名された、高校生外野手のジェレミー・アイデンズもその一人だ。アイデンズはUCLAに進学する。

また、現役マイナーリーガーのデービス・ウォード(2014年40巡目・1215位/カーディナルス)とジェイク・マクデビッド(2015年40巡目・1215位/ロサンゼルス・エンジェルス)を含め、最下位指名で入団した選手のなかに、メジャーデビューを果たした選手はいない。

最下位指名の翌年以降に再指名された選手も、メジャーリーガーになれたのは、ドン・ワカマツ(1984年51巡目・839位)とデジ・ウィルソン(1989年87巡目・1490位)の2人だけだ。ワカマツのプロ入りは翌年の11巡目・266位指名で、ウィルソンは2年後の30巡目・794位指名。ワカマツは1991年、ウィルソンは1996年にメジャーデビューしたが、どちらも出場は50試合に満たず、この年以外にメジャーリーグでプレーすることはなかった。ウィルソンは1998年に在籍した阪神タイガースでも、デーブ・ハンセンアロンゾ・パウエルがいたこともあって、16試合の出場にとどまった。

ただ、ワカマツは2009年から翌年8月までシアトル・マリナーズの指揮を執り、現在はカンザスシティ・ロイヤルズでベンチコーチを務めている。1966年に63巡目・833位指名でプロ入りしたマット・ガランテも、メジャーリーグのチームで20年近くコーチを務め、1999年にはヒューストン・アストロズで約1ヵ月、監督代行として采配を揮った。ガランテは2006年のWBCで、イタリア・チームの監督も務めた。ドラフト全体1位のなかに、日本でプレーした選手――ダニー・グッドウィンフロイド・バニスターボブ・ホーナーブライアン・バリントン――は結構いるが、メジャーリーグの監督は一人もいない。

なお、ウィルソンは現在、シカゴ・カブス傘下のAA、テネシー・スモーキーズで打撃コーチをしている。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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