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青春18きっぷで東京から小倉まで一日で行けた時代があった!13本の列車を乗り継いで19時間27分

清水要鉄道・旅行ライター
小倉に到着した5233M

令和6(2024)年7月20日現在、東京駅から青春18きっぷ一日分で普通・快速列車を乗り継いで行くことができる一番遠い駅は山口県の新山口駅である。東京駅を5時20分に出発し、三島・静岡・浜松・大垣・米原・姫路・相生・岡山・三原・岩国で乗り継いで、日付が変わった直後の0時02分に到着する。

だが、令和4(2022)年3月12日ダイヤ改正まではさらに遠く、関門海峡を越えた福岡県の小倉駅まで行くことができた。この記事では、まだ一日で小倉まで行くことができた令和元(2019)年7月27日(土曜日)の旅の様子をお届けしよう。ほんの5年前の旅だが、当時の写真を見返してみると引退してもう乗れない車両も多いのに気が付く。

山手線内回り360G→460G
山手線内回り360G→460G

旅の出発地点は筆者の当時の最寄り駅だった山手線の高田馬場駅。内回りの始発である4時48分発360Gの最後尾車両(クハE230‐552)に乗車した。当時、山手線ではE231系500番台からE235系への車両置き換えが進んでおり、E231系が日に日に数を減らしているところだった。

東海道線小田原行き725M
東海道線小田原行き725M

品川で山手線を下車し、8分で東海道線に乗り換え。5時10分発小田原行き725Mの先頭車両(クハE230-8067)に乗車した。

東海道線熱海行き723M
東海道線熱海行き723M

終点の小田原で6時22分発普通熱海行き723M(クハE232-3526)に乗り換え。乗り換え時間はわずか1分で、発車メロディの「おさるのかごや」に急かされながらホームを小走りに歩く。15両編成から短い5両編成への乗換えとなるため、車内は結構混雑していた。

普通浜松行き425M
普通浜松行き425M

熱海からはJR東海の区間に入る。6時49分発普通浜松行き425M(クハ312-2315)に乗車。2時間半と長い乗車時間で静岡県を駆け抜けるが、ちょうど朝の通勤時間帯にかかるため車内も三島・沼津辺りでは混雑を見せた。ロングシートの車両が多い静岡地区は一部の鉄道ファンから「ロング静岡」と呼ばれ、「苦行」との声も聞かれるが、沿線が都市として発展していることを思えば、ロングシートの車両ばかりなのも当然だろう。

普通豊橋行き925M(右)
普通豊橋行き925M(右)

浜松で9時24分発普通豊橋行き925M(クハ312-2316)に乗り換える。編成が3両と短いため、車内はラッシュ時並みの混雑を見せた。車両は熱海から浜松で乗ってきたものの連番だった。この列車で早くも静岡県を脱出し、愛知県へと入る。

新快速大垣行き5317F(右)
新快速大垣行き5317F(右)

豊橋で10時02分発東海道本線新快速大垣行き5317F(クハ312-313)に乗り換える。乗り換え時間はわずか5分、ホームも隣で実にスムーズな乗り換えだ。列車本数が多いゆえにスムーズに乗り継いでいくことができるのもまた東海道本線の特徴で、これが東北本線を北上する場合だと、時間帯によっては郡山・福島・仙台などで30分くらい待たされることが多い。

普通米原行き3213F
普通米原行き3213F

中京圏をあっという間に抜け、岐阜県の大垣で11時42分発普通米原行き3213F(クハ312-10)に乗り換え。大垣駅は今は亡き夜行快速「ムーンライトながら」の終点として18きっぱーにその名を知られる駅だが、日本でも屈指の乗り換えが煩わしい駅だろう。ホームや通路が狭いにも関わらず、ほとんどの列車が対面乗り換えではなく、混雑した階段やエスカレーターに辟易させられる。18きっぷシーズンの混雑はかなりのもので、地元住民にとってはたまったものではないだろう。

新快速姫路行き3263M
新快速姫路行き3263M

滋賀県に入り、米原で12時20分発新快速姫路行き3263M(クハ222-2059)に乗り換え。ここからJR西日本の区間に入る。心情的には米原で駅弁を買いたかったのだがたったの3分ではそれも無理だ。

速さで知られる新快速だが、滋賀県内ではこまめに停まっていくため、その真価が発揮されるのは京都から先の区間になる。あっという間に京阪神間を通り過ぎ、東海道本線の終点・神戸からは山陽本線に入った。

普通播州赤穂行き975M
普通播州赤穂行き975M

兵庫県播州の中心都市・姫路で15時03分発普通播州赤穂行き975M(クハ222-2002)に乗り換える。ここにきて16分という比較的長い乗り換え時間なので、コンコースのセブンイレブンで食料を調達した。

姫路の次の英賀保で、停止位置の手前に列車が停止したため一旦動いてから扉を開けるというトラブルはあったものの、遅延は発生しなかった。

普通糸崎行き1323M
普通糸崎行き1323M

相生で15時25分発普通糸崎行き1323M(クハ115-1150)に乗り換える。乗り換え時間はわずか2分で、着席できなかったものの岡山県に入ってから和気で座ることができた。

岡山で乗客の大半が入れ替わり、倉敷辺りからは浴衣姿の乗客が増えてくる。この日は笠岡港まつりの開催日で、笠岡で祭りに向かう人々が降りて一気に空いた。もっとも、土曜日だけあって祭りが行われていたのは笠岡だけではなく、松永から尾道までのわずか2駅間でもラッシュ並みの混雑を見せた。おのみち住吉花火まつりの開催日だったらしい。こうした乗客の入れ替わりから現地の祭りの開催を知るというのもまた旅の楽しみの一つだろう。

糸崎駅
糸崎駅

2時間40分乗り続けて終点の糸崎に到着。混雑などの影響で4分遅れの到着となったが、糸崎では20分以上の待ち時間が元々あったため、行程には影響は出なかった。

普通徳山行き373M
普通徳山行き373M

糸崎からは18時29分発普通徳山行き373M(クモハ226-46)に乗車。徳山までの乗車時間は3時間28分と長く、遠くまで行く旅人にはありがたい存在だ。

西条を過ぎて寺家に差し掛かる辺りで日が暮れ、広島には19時53分着。遠くに来たという感慨を抱くが、行程はまだ4時間以上も残っている。

広島都市圏を抜け、山口県に突入。岩国からは初めて乗る区間だったが、真っ暗で何も見えない。ちなみに岩国までは高校時代に宝塚から18きっぷで日帰りで来たことがあるが、思い返してみると、無茶な行程だと思う。橋上化で消える岩国駅の駅舎を見るための旅だった。

この日は光でも花火大会が開かれており、酔っぱらった祭り帰りの集団が乗ってきて車内が一気に騒がしくなった。その乗車が手間取ったこともあって、終点・徳山には6分遅れで到着。

普通下関行き3365M
普通下関行き3365M

徳山では21時59分発普通下関行き3365M(クハ115-3020)に乗り換え。こちらも乗り換え待ちの影響で6分遅れで発車。祭り帰りの乗客は次の新南陽で降りてしまい、車内は一気に静かになった。終点の下関までに遅れを完全に取り戻すことはできず、4分遅れで到着。

下関で普通小倉行き5233M(左)に乗り換え
下関で普通小倉行き5233M(左)に乗り換え

下関からはこの日最後の列車となる23時51分発普通小倉行き5233M(クハ411-223)に乗車。1分乗り換えだったこちらも4分遅れで発車し、23時56分ごろに関門トンネルに突入。23時59分、日付が変わる直前にトンネルを出て、九州に上陸。

小倉に到着した5233M
小倉に到着した5233M

小倉に到着したのは日付が変わった0時08分。定刻より3分遅れての到着だった。列車の遅延により所要時間は3分伸びてしまったものの、定刻であれば所要時間は19時間27分、乗り継いだ列車は13本、移動距離は1,135.9キロにも及んだ。

熊本電鉄200形
熊本電鉄200形

ちなみにこの時の旅の最終目的地は北熊本で、引退する熊本電鉄200形の撮影会に参加するためだった。ネカフェで夜を明かし、翌7月28日の始発で小倉を出発して熊本に向かい、撮影会に参加。7月30日はバイトがあったためトンボ返りで、28日は岡山まで戻ってネカフェに泊まり、29日もひたすら乗り継いで高田馬場に帰り着いたのは19時だった。文字通りの強行軍だが、もう一度やりたいかと聞かれると、「やりたくない」というのが本音だ。18きっぷでの乗り継ぎ旅は楽しいけれども、身体は疲れるので、時には一本遅らせて休息をとることも大切だろう。

筆者が旅した頃と比べると、一日で行ける範囲が一気に縮まってしまった東海道・山陽本線。18きっぷの限界に挑戦してみたい方は一度試してみるのはいかがだろうか。

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鉄道・旅行ライター

駅に降りることが好きな「降り鉄」で、全駅訪問目指して全国の駅を巡る日々。

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