渋谷で涙目になった夏。「かこさとし展」9/4まで!【東京都渋谷区】
渋谷Bunkamuraのザ・ミュージアムで7月から開催されている「かこさとし展 子どもたちに伝えたかったこと」が、いよいよ9/4(日)までに。もし、少年少女時代に1冊でもかこさとしさんの絵本に触れたことがあるなら、迷わずBunkamuraへ!
2018年に92歳でこの世を去るまで、約600冊の作品を残した かこさとし(加古里子 1926-2018)。
かこさとしは幼少期から芸術を愛し、画をたしなみつつ、東大工学部で科学者を志し、20代の時に終戦を迎えて呆然自失状態に…。戦後はボランティア(セツルメント活動)を通じて子どもたちの育成に尽力してきました。
個人的には絵本の世界でしかかこさとしを知らなかったのですが、今展で彼の若き日の絵画を目の当たりにして、画家としてのかこさとしの世界に邂逅。ほのぼのとした絵本とは異なるかこさとしの画の世界に引き込まれました。特に、創作の原点となった未公開紙芝居作品の上映は必見。マスクの下で声を潜めて爆泣きしました。。。
戦前・戦後に日本の教育方針が180度転換したことへのショックから「子どもたちは、ちゃんと自分の目で見て、自分の頭で考え、自分の力で判断し、行動する賢さを持つようになってほしい」と願って活動し続けたかこさとし。今展には 彼のそんな思いが隅々まで宿っています。
こちらは、1970年刊 絵本『とこちゃんはどこ』。
1990年代に大ヒットした『ウォーリーを探せ』に似ているなと思ったけれど、それよりも20年以上前に 同じコンセプトの絵本をつくっていたんですね!
今展の見どころでもある科学者かこさとしの科学絵本も必見です。こちらは最晩年に描かれた未完の大作『宇宙進化地球生命変遷放散総合図譜』(漢文みたい!)。
地球上の生きとし生けるものを網羅した緻密な手描きの生命図譜には、かこさとしの多様な生きものへの愛と探求心が 微に入り細に入り息づいています。
かこさとしの魅力は、やはりこの科学的な視点。単なる子どもだましの夢見るファンタジーではない、壮大な宇宙のリアルなドラマが、ミクロ&マクロの視点で丁寧に描写されていることに、あらためて感動しました。
今展の最後には、代表作「からすのパンやさん」シリーズの撮影スポットも。
からすとか、だるまとか、一般的にあまり愛されていない対象を絵本のキャラにしているのも素敵です。
今展は、かこさとしの絵本で育った方はもちろん、そうでない方にも深い啓示があるかと。非常に素晴らしいキュレーションなので、ぜひお見逃しなく! 最終日の9/4まで要予約なので、日時予約をどうぞお忘れなく。
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「かこさとし展 子どもたちに伝えたかったこと」
開催期間:2022/7/16(土)~9/4(日)
(8/29~9/4は要予約)
開館時間:10:00-18:00(入館は17:30まで)
毎週金・土は21:00まで(入館20:30まで)
※金・土の夜間開館は状況により変更になる場合あり
会場:Bunkamura ザ・ミュージアム
問合せ:050-5541-8600(ハローダイヤル)