コンビニ宅配サービスの進化。ナチュラルローソンとウォルトの親和性
コンビニは2020年の年間来店客数は全店ベース159億173万人。日本人のコンビニ好きが分かる数字だが、コロナ禍で人流が止まり緊急購買の需要が少なくなり、年間で約15億人の来店客が減り大きな曲がり角になった。
アフターコロナでも日本は人口減となり、コンビニは店舗を構えてお客を待っているだけのビジネスでは厳しく、外に向けての宅配などで攻めていくビジネスが求めれていきそうだ。
セブン-イレブンでは西濃運輸と組み都内や北海道・広島の一部店舗で宅配展開をスタートしている。
ローソンは、ウーバーイーツと組み2020年8月に本格的にスタートし、28都道府県、1562店舗(2021年4月27日現在)で既に展開している。2022年2月期までには3000店舗の展開を予定している。
国内のフードデリバリー市場規模は2020年6000億円。ローソンの吉田新規サービス部長によると、
「海外の環境を鑑みると日本のフードデリバリー市場は今後3倍に伸張する余地がある」との事。
筆者が都内の住宅街のコンビニで休日の午後にアルバイトしていた時、ウーバーイーツでの利用が1時間に数件あった。22時以降の深夜帯の需要もが多いようで、3回目の緊急事態宣言で利用もさらに増え、認知が広がれば都市エリアを中心にまだまだ需要が広がっていきそうだ。
コンビニのデリバリーは食べ物や飲料だけでなく、日用品・医薬品・雑誌コミックなども
宅配してくれるのが消費者にとっては大きなメリットだ。
今後はクリスマスケーキやおせち料理や恵方巻きなどのコンビニ予約商材のフードデリバリーサービスでの自宅への配送などのサービスも今後も検討されるのだろう。
コンビニのサービスは宅配便など、各コンビニごとにヤマト運輸と日本郵便のどちらかの展開で消費者の選択肢が無かった。
今回のローソンのフードデリバリーは、ウーバーイーツ・フードパンダ・Woltとエリア限定などがあるものの、顧客にとって選択肢のある展開になっている。
Woltに関してはブランディングとして宅配パートナーのレストランもサスティナブルを重んじるなど提携先の数を追い求めるだけでは無い戦略をとっている。
コンビニでは、地域一番店の広島のポプラ、北海道のセイコーマートからの展開。東京では、Woltが女性の顧客から支持されているため、コンビニでは女性客から圧倒的に人気のナチュラルローソンからスタートしている。
また、顧客にとっては選択肢が多い事は素晴らしいが、サービス業者が増えると電子マネーと同じくサービス端末が多くなったり、商品リストがバラバラだとただでさえ難しい商品のピックアップの難易度があがり、店舗での作業負荷が増えるため、店舗のオペレーションを簡易化・効率化する事が今後の課題かもしれない。
フードデリバリー業者のギグワーカーを使ったビジネスのため、事業の拡大は配達員の有無に左右される側面がある。
コロナ禍で飲食店が閉まり、飲食のアルバイトがコンビニに流れたため、アルバイト不足から一転買い手市場の状況にあるものの、少子高齢化の人口減を考えると、中長期的には人手不足が慢性化する事は間違いない。
コンビニとギグワーカーとの協業はフードデリバリーから始まったが、今後は清掃や商品の品出し・陳列などの作業も今後ギグワーカーの活用などが検討されていくのかもしれない。