『野菜を売らない農業』の可能性
自給的農業と商業的・工業的農業
自然農で農作物を育てていると
「常食する為の米や野菜は、販売する為に栽培しない」
というのが、もしかしたら正解なんじゃないか?と思ったりします。
もちろん、農業やる人全員がそうなれば良いとは考えていなくて、
業務用や飲食店用に販売する大量生産の野菜、
あるいはこだわりのある特殊で特別な野菜は、プロ農家の方が販売を目的として栽培をするのが良いと思います。
なぜこんなこと思ったかというと、以前うちの野菜買ってくださったうどん屋さんが、
「会社退職した人はなぜか野菜作り始める。そしてそれを近所に無料で配る」
という話をしていたんです。田舎あるあるですね。
そういった利益がでなくても栽培出来ちゃう野菜がたくさんあると、野菜の価格、特に道の駅とかの直売所の価格はとても安くなります。
となると、少量多品目、有機栽培などのこだわりの栽培方法で育てた野菜を、身近な直売所などで販売して生計を立てようとすると、仕事としては非常にやりにくくなります。
けど、これって物の見方で問題点や解決方法がまるで変わってくる話なんだと気づきました。
野菜栽培自体は楽しみでやる人も結構多い。
趣味の延長、生きがいとして野菜栽培する方はけっこういらっしゃる。
そして出来た野菜は近所に配ったりします。
お金を介さずに食糧が得られるというのは、とてもありがたいこと。
そして、栽培する側も
「売れないと困る野菜」を栽培するのではなく、
「自分が育てて楽しく、あげた人にも喜んでもらえる野菜」
を栽培するのなら、見た目や形を揃える為に薬だなんだのを多用する必要がなくなって、人にも土にも優しい食糧生産になるんじゃないか…?
インターネットや流通網の発達で、今やどこにいてもやろうと思えば仕事はできるし、創り出すことも可能(簡単ではないけど)で、都市部での生活、特に東京は生活コスパが最悪だとも言われてきています。
理想は自分たちが食べる分の食糧プラスアルファを育てて、余った分をシェアしたり、自分たちでは食糧生産出来ない人たちにおすそ分けする。
そういう仕組みが実現出来たら良いんじゃないかと思いました。
もちろん、最初に述べた通り、素人では簡単に栽培出来ない特殊な野菜や、業務用に大量に必要となる品質の揃った野菜を栽培する「プロ農家」さんは必要です。
今回の記事は、農家になりたいと考えている方向けに書いた記事でもあります。
そこで考えてみてほしいのが自分がやりたいのがなんなのかということ。
お金を稼ぐ為の手段としての野菜栽培なのか、
野菜を育てること自体や暮らしを楽しむための野菜栽培なのか。
私自身にこの問いかけをした時に、
私がやりたいのは野菜を生産販売することではなく、自然環境のことを伝えることであり、農業そのものをやりたかったわけではないという答えがでました。
なので、一時は野菜販売を頑張ろうとしていましたが、今では殆ど野菜は売らなくなりました。
では今は何を売っているのか?
それはまた別の記事書こうと思います。
30円のカボチャが10倍の値段になった話
↓これはうちの畑で育てた無農薬無肥料栽培の固定種の日本カボチャ。
この時はたくさん取れたので少し取引させてい頂いていた市場業者さんの所へ持っていったところ…
買い取り価格が1玉30円にもならないと言われてしまいました。理由は形の不揃いや見た目の悪さ。
業者の方も意地悪で言っているわけではなく、プロだからきちんとしたご意見を言ってくださってのこと。市場に野菜を出荷するということなのだと改めて気付かせてくれた出来事でした。
さすがにその値段では売りたくなかったのと、業者の方も買い取ったら買い取ったで販売に困ってしまいそうな感じだったので、そのまま持ち帰りました。
さすがにちょっとショックを受けて、このことをSNSに投稿したら知り合いの飲食店の方が全部買い取ると言って下さって、しかも買い取り価格が1玉300円!!
一気に10倍になりました。その時は、困っている私を助けるお気持ちもあったと思いますが、買い取ったカボチャはお店で使ったり、お客さんに販売したりして活用して下さいました。
無農薬の野菜を求めている方からすれば、自然農のカボチャが1玉数百円というのはとてもお値打ちな価格。必要としている人に直接アプローチ出来れば、ものの値段は同じものでも10倍、あるいはそれ以上にもなるということがわかった出来事でした。