ウクライナで北朝鮮製KN-23弾道ミサイルの破片発見の報告が相次ぐ、ただし具体的な証拠提示は無し
2月7日と8日に、ウクライナのハルキウ地方警察とドネツク地方検察庁から「北朝鮮製KN-23弾道ミサイルの破片を発見した」という報告が相次いでいます。ただし具体的な証拠は提示されていません。
2月7日報告:ハルキウ地方警察セルヒー・ボロヴィノフ捜査部長
※「HVASON 11GA」は綴りミスで、正しくは「Hwasong-11Ga」。朝鮮語では「화성-11가」、日本語では「火星11カ」になる。「가(Ga、カ)」は朝鮮語の「カナダラ…」の先頭の文字で、英語でいうと「ABCD…」のAに相当し、つまり火星11Aくらいの意味合い。
※KN-23はアメリカ軍のコードネームで、北朝鮮での正式名称は火星11カ。
- 写真は提示されているが、ただしKN-23と特定できる破片は見当たらない。
- 2月7日は合計64発のロシア軍のミサイル攻撃が行われており、うち高速ミサイル系はイスカンデルM弾道ミサイル×3発、Kh-22超音速巡航ミサイル×4発、S-300地対空ミサイル対地運用×5発がウクライナ空軍司令部の報告に記録されている。
2月8日報告:ドネツク地方検察庁
- 写真は提示されているが、ただしKN-23と特定できる破片は見当たらない。
- 2月8日はウクライナ空軍司令部の報告ではシャヘド136自爆無人機17機の飛来が報告されているだけで、弾道ミサイルの飛来報告は無い。
- ただしドネツク州のセリドヴェは前線から僅か20kmと直ぐ目の前であり、長距離ミサイル攻撃と認識していなかった(防空部隊が付近に配置されておらずレーダーで探知できていなかった)可能性がある。
最近の2月7日~8日の報告での写真の破片を筆者が見た限りでは、幾つかS-300らしき破片は特定できますが、KN-23らしき破片は特定できませんでした。ウクライナ当局は他に特定できる材料を確保しているのでしょうか、現状の公開されている範囲ではKN-23であると信じる証拠が見当たりません。
これまで「北朝鮮製KN-23弾道ミサイルの残骸を発見した」というウクライナ公式発表は以下の3例です。
- 1月5日:ハルキウ地方検察庁(推定1月2日飛来分、KN-23と確定)
- 2月7日:ハルキウ地方警察(推定当日飛来分、KN-23の証拠提示無し)
- 2月8日:ドネツク地方検察庁(推定当日飛来分、KN-23の証拠提示無し)
気になるのは全て前線に近い場所からの報告という点です。KN-23の射程は北朝鮮の発射試験で600~800km飛べることが確認されているのに、ウクライナでは何故か遠くの位置では破片の発見報告がまだありません、