シアトルの空気が世界でもっとも汚く 原因は?
♪これまでシアトルで見た中で一番青い空だね~♪
(♬The bluest skies you've ever seen in Seattle♬)
- 作曲者:Hugo Montenegro、作詞家:Jack Keller and Ernie Sheldon (筆者和訳)
一昔前、人気歌手が陽気にこう歌い、アメリカでヒットした曲がありました。タイトルはずばり「シアトル」です。ところがこのところのシアトルの空は、世界でもっとも薄汚れていたようです。
上は、20日(木)に撮影されたシアトルの空です。どんよりとした黄ばんだベールに包まれて、青空どころの騒ぎではありません。IQAirという大気汚染の指標によれば、20日のシアトルはニューデリーや北京を押しのけ、世界でもっとも大気汚染レベルが高い都市となりました。
シアトルに続いたのが、オレゴン州ポートランドです。オレゴン州では、19日(水)視界不良と霧が原因で65台の車が絡む玉突き事故が発生し、1人が死亡しています。
季節外れの山火事
一体、黄ばんだ空の原因は何だったのでしょうか。
それは、季節外れの山火事です。20日(木)時点で、アメリカ北西部には70以上の大規模な山火事が発生、そのうち10ほどがシアトルのあるワシントン州西部で起きていました。
中でもとりわけ取り沙汰されているのが、ポートランド周辺で起きているナキア・クリーク・ファイアーと呼ばれる火災です。今月上旬に発生し、いまや皇居3個分超に匹敵する8平方キロを焼失しています。
残念なことに、火の原因は花火ではないかと言われていて、スバル車に乗った疑わしき4人の男女の行方を警察が追っています。ちなみに、アメリカの山火事の9割は人が起こしたもので、雷など自然起因のケースは1割のみという統計があります。
山火事を広げた天候
シアトルなどアメリカ北西部は、夏季などは見事な青空が広がります。ところが、秋冬は気の毒なほど毎日雨に見舞われ、気が滅入ってしまうほどです。ですから、山火事は10月にはほとんど収まっていることが多いのです。
ところが今秋は雨が少なく、そのうえ何日も高温記録が塗り替えられました。
しかも夏も雨が少なく、3か月間に降った雨量はたったの12ミリ。これは平年の15%で、木も葉っぱも下草もカラカラに乾ききり、燃えやすくなっていました。こうしたことが原因で、いつもより長く山火事シーズンが続いています。
ではいつ頃、大気の状態が改善されるのでしょうか。実は寒冷前線が通り過ぎたために、シアトルでは雨が降り、風も強まり、21日(金)のIQAirのランキングは世界83位にまで下がりました。
今や、69位の京都、74位の東京よりも空気がきれいなようです。