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「今江さん西岡さん覚えてますか?」 12年前に千葉ロッテキャンプ参加の若手が32歳でサムスンの4番に

室井昌也韓国プロ野球の伝え手/ストライク・ゾーン代表
千葉ロッテのキャンプに派遣された頃のイ・ウォンソク(写真:ストライク・ゾーン)

サムスンライオンズは昨季まで2年連続3割30本120打点を記録した主砲のダリン・ラフが、左太もも内側の筋肉の損傷で先月25日に登録を抹消。ラフが復帰するまでの間、4番にはプロ15年目の三塁手イ・ウォンソクが座っている。

(関連記事:2年連続3割30本のラフ、来季もサムスンでプレー

イ・ウォンソクは現在、打率3割2厘、25打点、ホームランはリーグ2位タイの7本を記録。初の打率3割、20本塁打をマークした昨年を境に、32歳にして全盛期を迎えている。ゆったりとした構えから鋭いスイングを見せ、相手投手の低めへの決め球を数多く仕留めている右のスラッガーだ。

現在のイ・ウォンソク(写真:サムスンライオンズ)
現在のイ・ウォンソク(写真:サムスンライオンズ)

イ・ウォンソクは2017年にFA権を行使してトゥサンベアーズからサムスンに移籍。FA移籍というとチームの主軸という印象があるが、トゥサンでのイ・ウォンソクは選手層が厚いチームで内野の複数のポジションをこなすマルチプレーヤーとして起用された。サムスン入り以前の12年間(軍入隊期間を含む)で規定打席に到達したのは07、09年の2度だけだった。

その最初の規定打席到達を果たした07年。当時、ロッテジャイアンツに所属していたイ・ウォンソクは20歳で迎えた春季キャンプをチームメイトとは別の場所で過ごした。千葉ロッテのキャンプへの1ヶ月間の派遣だ。

韓国のロッテと千葉ロッテは以前、定期的な選手の交流を行い、1998年から毎年、韓国側の有望な若手選手が千葉ロッテのキャンプに参加していた。07年はイ・ウォンソクと外野手のイ・スンファ(のちに改名しイ・ウミン。現2軍コーチ)が千葉ロッテのオーストラリア・ジーロングでのキャンプに派遣された。

千葉ロッテのキャンプに派遣された頃、20歳のイ・ウォンソク(写真:ストライク・ゾーン)
千葉ロッテのキャンプに派遣された頃、20歳のイ・ウォンソク(写真:ストライク・ゾーン)

先日、イ・ウォンソクとその12年前の話になった。

「懐かしいですね。今江(年晶。当時は敏晃)選手にはとてもよく気を遣ってもらいました。今は楽天ですよね。西岡(剛)選手はスターのオーラがすごくて、気軽に声を掛けられなかったのを思い出します」

イ・ウォンソクにとって今江は3つ、西岡は2つ年上。30代となった今ではその差は大きく感じないが、当時の今江と西岡は既にWBCで活躍するなど、日本を代表する内野手として確固たる地位を築いていた。

一方のイ・ウォンソクは高卒2年目の前年に初めて年間通して1軍に定着。これからレギュラーをつかもうかというイ・ウォンソクにとって、今江と西岡はまぶしい存在だった。

「西岡選手に会いたいです。もし西岡選手に会うことがあったら、会いたいと言っていたと伝えてください」

イ・ウォンソクは目を輝かせながらそう言った。チームの中心打者となり風格も出てきたイ・ウォンソク。今なら物おじせずに西岡と話が出来る。ただイ・ウォンソクは西岡が昨秋阪神を自由契約となり、独立リーグのルートインBCリーグ・栃木でプレーしていることを知らなかった。

「またどこかのチームに戻って、そこで会えますかね」

そう言った後、イ・ウォンソクは少し不安そうにこう口にした。

「あっ、でも僕の事覚えているかな?」

その表情は20歳の頃のようにあどけなかった。

今江選手、西岡選手、彼のこと覚えていますか?イ・ウォンソク選手は30代になって主軸としてチームを引っ張っています。

韓国プロ野球の伝え手/ストライク・ゾーン代表

2002年から韓国プロ野球の取材を行う「韓国プロ野球の伝え手」。編著書『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』(韓国野球委員会、韓国プロ野球選手協会承認)を04年から毎年発行し、取材成果や韓国球界とのつながりは日本の各球団や放送局でも反映されている。その活動範囲は番組出演、コーディネートと多岐に渡る。スポニチアネックスで連載、韓国では06年からスポーツ朝鮮で韓国語コラムを連載。ラジオ「室井昌也 ボクとあなたの好奇心」(FM那覇)出演中。新刊「沖縄のスーパー お買い物ガイドブック」。72年東京生まれ、日本大学芸術学部演劇学科中退。ストライク・ゾーン代表。KBOリーグ取材記者(スポーツ朝鮮所属)。

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