Yahoo!ニュース

昨年→今年の打撃成績アップ&ダウン。森友哉のOPSは184ポイント↑、青木宣親は262ポイント↓

宇根夏樹ベースボール・ライター
鈴木誠也 AUGUST 4, 2021(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

 今シーズン、森友哉(埼玉西武ライオンズ)が記録したOPS.889は、昨シーズンと比べて184ポイント高かった(.001を1ポイントとして表記)。

 昨シーズンも今シーズンも規定打席以上の33人中、各スタッツのアップが大きかった5人は以下のとおり。三振率だけは、ダウンが大きかった――全打席に占める三振の割合を減らした――5人だ。33人の内訳は、セ・リーグが18人、パ・リーグは15人。どの選手も、2シーズンとも同じチームでプレーした。

筆者作成
筆者作成

筆者作成
筆者作成

 OPSのアップが大きかった5人中、森と山田哲人(東京ヤクルト・スワローズ)は、不振から持ち直した。森の場合、昨シーズンのOPS.705はキャリア・ワースト。OPS.800未満のシーズンは、他にはない。山田のOPS.766も、ブレイクした2014年以降では最も低かった。ちなみに、2人とも、今シーズンのOPSはキャリア・ベストではない。過去には、さらに高いOPSを記録したこともある。

 鈴木誠也(広島東洋カープ)のOPSは、過去5シーズン(2016~2020年)も高く、1.015→.936→1.057→1.018→.953と推移してきた。それらを上回る今シーズンの1.072は、それまでの自己最多より8本多い38本塁打からもわかるとおり、パワーが著しくアップ。11.4打数に1本の割合でホームランを打ち、ISOは.322を記録した。昨シーズンは17.2打数/本とISO.244、30本塁打の2018年は14.1打数/本とISO.299だった。また、今シーズンの打数/本塁打とISOは、どちらも両リーグ・トップ。なかでも、ISOは他の選手とかなりの差がある。セ・リーグの2位は村上宗隆(東京ヤクルト)の.288、パ・リーグの1位はレオネス・マーティン(千葉ロッテ・マリーンズ)の.266だ。

 鈴木と同じく、島内宏明(東北楽天ゴールデンイーグルス)と中村奨吾(千葉ロッテ)も、自己最高のOPSを記録した。2人のうち、これまでと比べて突出しているのは、島内のほうだ。OPS.797の中村は、過去にも.750以上のシーズンがあるが、OPS.863の島内は、.810に達したことがなかった。島内の打率は.281→.257と下がったにもかかわらず、四球の増加により、出塁率は.363→.385。パワーも増し、21本塁打だけでなく、二塁打34本も自己最多を大幅に更新した。それぞれ、過去の自己最多からプラス7本とプラス13本だ。

 一方、各スタッツのダウンが大きかった5人は、以下のとおり。こちらも、三振率だけは、アップが大きかった5人だ。

筆者作成
筆者作成

筆者作成
筆者作成

 OPSが262ポイントもダウンした青木宣親(東京ヤクルト)は、昨シーズンの.981がキャリア・ベスト、今シーズンの.719はキャリア・ワーストの2011年と1ポイントしか違わない(出場10試合の2004年とメジャーリーグでプレーした2012~17年は除く)。年明け早々、青木は40歳の誕生日を迎える。

 浅村栄斗(東北楽天)は、パワーが半減した。ISOは.280→.153、打数/本塁打は13.5→26.8だ。柳田悠岐(福岡ソフトバンク・ホークス)のOPSは142ポイントのダウンながら、それでも、今シーズンも.929と高水準だった。

 鈴木の三振率は少しアップしたが、四球率も同じく2.3%のアップ。2シーズンとも、BB/Kは0.99を記録している。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

宇根夏樹の最近の記事