早慶戦は「ディフェンス」勝負? 早稲田大学・相良南海夫監督が展望。【ラグビー旬な一問一答】
創部100周年を迎える早稲田大学ラグビー部は、11月23日、東京・秩父宮ラグビー場で慶應義塾大学戦に臨む。早慶戦と呼ばれるクラシコを2日後に控えた21日、相良南海夫監督が意気込みを語った。
加盟する関東大学対抗戦Aではここまで4勝1敗。4日には大学選手権9連覇中の帝京大学に28―45と敗れている。防御の改善を誓う。
以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。
――帝京大学戦で28―45と敗戦。防御の修正点は。
「出足が鈍っていました。夏、帝京大といい試合をした時(28―14で勝利)はアグレッシブに前に上がれていたけど、(秋の)帝京大学戦ではそれが足りなかった。(防御ラインの)出る距離が、全然(夏の試合時と)違っていたので。それで、外まで回されていた。もう少しセンターのあたりで接点ができるように上がらないと。もう1回、いい時のイメージを思い出そうということで、この2週間、やってきました」
――帝京大学戦で思うような飛び出しができなかった背景は。
「何なんでしょうかね。ちょっとしたことだとは思います。あとから考えてみれば、相手の力量などの面で前の4試合に比べると…というところもあったかもしれません。それまで何となくうまくいっているような気がしていたところで、強い相手と戦った時に…というところも」
――山下大悟前監督時代の積み上げをどう生かし、どうマイナーチェンジを施しているか。
「山下は、帝京大学のような相手に勝つためフィジカル強化に取り組んでいた。それは絶対に間違えていない部分。フィジカルを作る、ブレイクダウンを強化するという部分は継承し、積み上げているつもりです。2年間の積み上げで、そういう素地はできてきた。ただ、私の印象としてはディフェンス面のもろさを感じていた。まずしっかりしたディフェンスを再整備したいという思いで取り組んできました。
昨年の大学選手権の東海大学戦では、フィジカルを強化してきた割には――少し矛盾した話かもしれませんが――外国人選手に(力勝負で)やられたところがあった。もう少し、組織的にやれないかと感じたところがあった。前に出て、相手のミスを誘うのがワセダのディフェンスではないのか。まぁ、僕も古い人間なのでそういうイメージがあって。
また、ディフェンスには嘘をつかないところがある。チームが意思統一をして、それぞれが責任を果たせばそんなに間違えないと思っている」
――選手が判断する自由度が増したという声もありますが。
「自由度、自主性というより、主体性ですね。結局、フィールドに立てば監督やコーチは指示できない。対戦相手のスカウティングをしていても、そうではないスペースが空いていることがある。そこで選手たち自ら判断していくのがラグビーの醍醐味でもあると思う。ペナルティーゴールを狙うにしてもキャプテンが判断するという部分においての主体性は、私も求めているところです。いま、ハドル(円陣)のなかで選手が話す内容も、質の高いものになってきていると思います」
――監督として初めて迎える早慶戦。
「伝統の試合なのでわくわくもしていますが、慶応はライバルというか、絶対に勝たなきゃいけない相手でもある。…いい試合をしたいな、とは思います」
――グラウンドの入り口、ウェイトトレーニングルームのドア横に毛筆の張り紙があります。それぞれ「緊張」「慶応」。
「去年まではやっていなかったのですが、それ以前はずっとやっていたこと。今年は選手がやりたいと言ってきたので、やれば、と」
――慶応義塾大学戦へのイメージ。
「ディフェンスにこだわる1年にしてきたつもりなので、そこにフォーカスして試合に臨みたい。(相手も)ディフェンスで圧力をかける、しつこいタフなチーム。どちらが自分たちの持ち味を出せるかが、勝負の分かれ目になるのかなとも思います」
――相手エースの丹治辰碩選手は、怪我から復帰してベンチスタートです。
「どういう意図があるかわかりませんが、出てくればインパクトがある。しっかりマークしたいな、とは思いますね。特に対策はしていませんが、キーマンがどこにいるのかはきちんとコミュニケーションを取って確認しようとは言っています。この間の帝京大学戦で言えば、竹山(晃暉)くんがどこにいるか(を確認し合う)、という意思統一はしてきました。そこ(の防御)を厚くするというのではなく、どこにいるかがわかっているということが重要」
この日の練習では、攻撃時の接点での各選手の役割分担もチェック。しぶとい相手選手を確実に球から引きはがし、テンポよくスペースを攻略したいところか。
――最後に、次男の相良昌彦選手がいる早稲田実業高校が今年の全国高校ラグビー大会(大阪・東大阪市花園ラグビー場)に出場します。
「嬉しいですよ。まさかとは思いましたが、自分と長男と3人で花園に(自身は早稲田学院高校で、長男で立教大学2年の隆太は桐蔭学園高校で)。それが叶う日がくればいいなと思っていたので、純粋に嬉しいです」