【若者の視点】日本酒を世界に吹き込む若い風「若きサムライたちは日本酒の世界を切り開けるか」
日本酒での乾杯をすすめる条例の施行が相次いでいます。2013年1月の京都市を皮切りに、佐賀県など他の自治体にも広がってきています。日本酒離れと言われていますが、東北の蔵元復興で国内消費量は持ち直し、海外での人気も高まってきています。
「日本酒で乾杯推進会議」の会員に
実は私は日本酒が大好きで「日本酒で乾杯推進会議」の会員になりました。もちろん、日本酒以外のお酒も好きですが、特に日本酒には日本人としての思い入れがあります。
日本の伝統的な食文化や伝統芸能、伝承していくべき作法や風習は、グローバル化や高度情報化社会によって次第に失われていこうとしています。しかし、一方で、和食や日本酒は海外で人気が高まってきています。とくに欧米では和食や日本酒の評価は年々高まりつつありますが、これは日本酒や和食を通して日本文化の良いところが認められているからだと思います。
日本文化の良いところを広く啓蒙していく活動を進めていくことが今こそ求められています。「日本酒で乾杯!」を通じて、私は日本文化のルネッサンスを広げていきたいと考えています。
「日本酒で乾杯推進会議」の会員三ヶ条
・日本文化を愛すること
・日本酒を愛すること
・率先して日本酒で乾杯すること
日本酒で「乾杯条例」の広がり
「乾杯条例」は、地元の酒を普及促進するために自治体と酒造業者、住民が協力するという内容で、従わなくても罰則はありません。日本酒造組合中央会の集計では101自治体(2015年2月現在)が「乾杯条例」を制定しています。
もともとは京都市議会が2012年12月に可決した議員提案の「清酒の普及の促進に関する条例」がはじまりでした。それから2年あまりで、条例は各地に急速に広がっています。後発組には日本酒だけではなく「ワイン」(北海道富良野市など)や「焼酎」(宮崎県日南市など)、「乾杯する器も特産の焼き物で」(愛知県常滑市など)と地酒に組み合わせたりと、バリエーションが広がってきています。
資料:「乾杯条例」のブーム化
日本酒を世界に誇れる文化へ―若者たちの取り組み―
日本酒を世界に広めるために活動している若者たちのグループWAKAZEを取材しました。
「WAKAZE」は酒蔵の若手従業員を指す「若勢」と、「和の風」の意味をかけ、若者の視点から日本酒文化に風を吹き込み、日本酒を世界に誇れる文化と育てることを目指す若者グループです。
Facebookページ:WAKAZE
WAKAZEの若者たちは、日本酒に大きな魅力・可能性を感じています。日本酒という日本の発酵技術が生み出した最高の文化を、世界に誇り、世界に売り出せる商品とするために、商品企画・流通・マーケティング様々なアプローチから、「若者の視点」で日本酒文化に貢献する方法を検討しています。
クラウドファンデイングを開始
第一弾の企画としてWAKAZEはオリジナルの日本酒飲み比べセットをプロデュースし、この4月からクラウドファンデイングを開始しました。
「日本酒の楽しみ方がよくわからない」という初心者の方でも日本酒の魅力を見つけられるように、いろいろな味・香を取り揃えて飲み比べができる、日本酒5本のセットを企画し、実現に向けて取り組んでいます。
『日本酒をめいいっぱい楽しむ!WAKAZEプロデュース飲み比べセット』
(目標金額は800,000円。2015年5月15日23:59まで)
WAKAZEメンバーの石崎優さんにインタビュー
明智 それでは、まず自己紹介をお願いします。
石崎 石崎優、27歳です。現在は企業でコンサルティングをしています。学生時代は農学部で「発酵」について学んでいました。今は都内に住んでいますが、京都市出身なので幼い頃から日本酒は身近な存在でした。
私の目標は2020年の東京オリンピック。世界が日本を向くこの素晴らしい機会に、日本酒の魅力が皆に伝わるようにしたいと考えています。
私以外にWAKAZEのメンバーは全部で5人います。酒造の息子、フランスで日本酒を売ることを夢としているメンバー、地域コミュニティ活性化に活躍するデザイナーなど参加の動機はいろいろですね。
明智 日本酒を美味しく飲むコツなどあったら教えてください。
石崎 私がお奨めする日本酒の楽しみ方は2つ気をつけることがあります。
1.和らぎ水(チェイサー)と一緒に飲む
日本酒は度数が高いわりに飲みやすいので、つい深酒してしまいがちです。
「氷無しのお冷」を和らぎ水(チェイサー)として一緒に飲むようにし、日本酒(1):水(2)くらいは飲んだほうがいいですね
2.少しずつ飲み比べて自分好みの味を見つける
日本酒を一つだけ飲んでみても、楽しみ方はなかなか分からないと思います。いろいろなお酒をいろいろなシチュエーションで試してみて、好みの日本酒と巡り合って欲しいです。
ちなみに僕と一緒に飲めば手っ取り早く日本酒を好きにさせる自信がありますよ(笑)
日本酒の情報はインターネットで調べればいくらでも出てくるんですが、やっぱり体験しないとわからないですよね。初心者がもっと日本酒を気軽に楽しめる入り口があった方がいいということで私たちは「飲み比べセット」の企画にいたりました。
明智 それは大変心強いですね。実は私は長野県出身ですが、信州産の日本酒やワインは甘口が多いです。なので、私は日本酒やワインというと甘口が大好きでけっこう飲んでいますよ。では、気になる「飲み比べセット」の味について教えてください。
石崎 「飲み比べセット」は日本酒5本のセットです。「甘×泡」「甘×香」「辛×香」「甘×爽」「辛×爽」の味があります。
〇「甘×泡」
酵母が生きているので管理が大変で売るのが難しい、市場では珍しい日本酒です。甘くて、爽やかな味わいで、少しカルピスソーダみたいに感じるかも。
〇「甘×香」
バナナのような芳醇な香りで、日本酒が舌を覆う、トロッとした印象。
〇「辛×香」
りんごのような爽やかな香りで、後味が少なくて、すっと抜けるかんじ。
〇「甘×爽」
味を楽しめるように甘み・コクが強く残るような味。
〇「辛×爽」
ぐっと喉にくるようないわゆる辛口酒。つまみがすすみます。
この「飲み比べセット」は、日本酒を飲んだことがないような人にぜひ飲んで欲しいと考えています。私たちは日本酒を友達と一緒に楽しく飲むための一つのツールだと思っています。今回の企画商品によってみんなが楽しい時間を過ごせるようになってもらえれば嬉しいです。
明智 お話を伺ってみて私もぜひ「飲み比べセット」を飲んでみたくなりました。みなさんの取り組みによって日本酒の良さが世界中に広がることを期待しています。今日はありがとうございました。
--------------------------------
WAKAZE
業界横断的に集まった5人の20代メンバーによる、日本酒ワーキンググループ。日本酒の文化伝承・市場拡大に向けビジネス視点からの貢献方法を検討している。第一弾として群馬県聖酒造とのコラボ企画「オリジナル飲み比べセット」を提案。