「R-1」を失っての新型コロナ禍。それでも、小森園ひろしを前進させるおいでやす小田の言葉
「R-1ぐらんぷり2014」ファイナリストの小森園ひろしさん(39)。20年の「R-1」のルール改正により芸歴が出場資格を超えてしまいましたが、2月20日には単独ライブ「1人コントの単独ライブ」(ヨシモト∞ドームⅠ)を開催するなど前進を続けます。「R-1」を失ったことと新型コロナ禍で一時期は芸人を辞めることも考えましたが、河野太郎さんのモノマネなど独創性あふれるネタを生み出し、TBSテレビ「ザ・ベストワン」などでも注目を集めています。どんな状況でも、その背中を押すのは先輩・おいでやす小田さんからの言葉でした。
今が一番モチベーションが高い
2020年に「R-1」のルール改正があって、芸歴的に出場できなくなってしまいました。
新ネタを作って、ライブで磨きをかけて「R-1」を目指す。これまでの基本的な流れがなくなってしまった。その上、ほぼ同時期に新型コロナ禍もやってきた。この中でどうしたらいいのか。ここは本当に悩みました。
芸人を辞めるという選択肢もあったんですけど、じゃ、芸人以外で何をするのか。そして、もう本当に辞めていいのか。そこを今一度考えた時に、芸人としてまだやりたいことがある。この思いが湧きあがってきたんです。
もう「R-1」にも出られなくなったし、良い意味で幅が広がったというか「『R-1』で勝つためのネタ」だけでなく、自分がやってみようと思うものは何にでもチャレンジしてみようと。
その思いから河野太郎さんのモノマネを始めたら、タイミング良くいろいろな番組からお声がけをいただくようにもなったんです。そして、そのまま辞めることを止めた。それが今の状況でもあるんです。
「R-1」もなくなった。コロナ禍で仕事も厳しくなった。でも、実は今が芸人人生でモチベーションが一番高くなっていると思います。
先輩・おいでやす小田の存在
ここ2年ほど本当にいろいろあった中でも、今も前を向いていられる。その状況を作ってくださっているのは昔からお世話になってきた先輩・おいでやす小田さんの存在があるからだと思っています。
大阪時代から一緒にライブに出ていて、ご飯にもよく連れて行ってくださいました。そんな中で「お前は一人コント(が武器)やからな」という表現でいつも、いつも誉めてくださっていて、達者な小田さんがそう言ってくださるんだったら、自分はやっぱり一人コントなんやろうなと思って続けてきたんです。
あと、僕に直接というよりも、小田さんがいろいろなところで言ってくださっていることがありまして。それが「ピン芸人のライバルは小森園ひろし」という言葉なんです。
本当にうれしいし、ありがたいし、恐れ多くもあるんですけど、小田さんに恥をかかせるわけにはいかないので、その言葉に相応しい自分でいないといけない。そこの思いは常にありますし、それが止まってられないという気にもつながっているんだと思います。
恩返しなんてことはおこがましいことですけど、とにかく一人コントを続ける。そして、お客さんも、芸人仲間も見に来たいと思うようなネタを作る。その結果、世に出る。目指すところはこれしかないと思っているので、なんとか、そこに近づきたいですね。
よく考えたら、原稿になるんでしたね…。あんまりこんなことばっかり言うてるのも、なんとも気恥ずかしい感じがしてきましたけど(笑)。
(撮影・中西正男)
■小森園ひろし(こもりぞの・ひろし)
1982年9月6日生まれ。大阪府出身。2007年、松竹タレントスクールを経て松竹芸能に入る。11年に吉本興業へ移籍。16年から拠点を大阪から東京に移す。「R-1ぐらんぷり2014」で決勝に進出する。2月20日に単独ライブ「1人コントの単独ライブ」(ヨシモト∞ドームⅠ)を開催する。