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A級昇級2枠は藤井聡太竜王、稲葉陽八段、千田翔太七段による争いへ 佐々木勇気七段は無念の脱落

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 2月3日。東京・将棋会館、大阪・関西将棋会館においてB級1組6回戦・全6局がおこなわれました。結果は以下の通りです。

藤井 聡太竜王(9勝2敗)○-●阿久津主税八段(3勝8敗)

稲葉  陽八段(8勝3敗)○-●松尾  歩八段(2勝9敗)

佐々木勇気七段(7勝4敗)●-○郷田 真隆九段(6勝5敗)

三浦 弘行九段(6勝5敗)○-●久保 利明九段(3勝8敗)

屋敷 伸之九段(6勝5敗)○-●横山 泰明七段(6勝6敗)

近藤 誠也七段(5勝6敗)○-●木村 一基九段(3勝8敗)

千田 翔太七段(8勝3敗)空き番

 昇級争い1番手の藤井竜王は横歩取りで阿久津八段に快勝しました。

 A級復帰を目指す稲葉八段は松尾八段と対戦。角換わりから激しい戦いとなり、途中は稲葉八段が苦戦に陥ったかに見えましたが、最後は逆転。稲葉八段が勝って昇級争い自力の立場をキープしました。稲葉八段は最終戦、郷田九段に勝てば1期でのA級復帰が決まります。

 B級1組に13期在籍し「番人」とも呼ばれた松尾八段。残念ながらB級2組への降級が決まりました。

 他力ながら昇級の可能性を残していた佐々木七段は郷田九段と対戦。相矢倉から後手番の佐々木七段が動き、戦いが始まりました。郷田九段リードで迎えた終盤。佐々木七段もタダで取られるところに金を打ちつける受けの鬼手などをおりまぜ、手段を尽くしてあきらめません。互いに時間が切迫し、深夜のドラマが起こりそうな雰囲気もありました。しかし最後は郷田九段が踏みとどまり、日付が変わった0時18分、117手で熱戦を制しました。

 佐々木七段は7連勝からの4連敗で失速。A級昇級の可能性はここでなくなりました。しかし最終戦では藤井竜王との対戦が残されています。今期順位戦の組み合わせが発表された時点で、白眉の一局と目された好カード。佐々木七段は藤井竜王の快進撃を止められるでしょうか。

 12回戦で空き番だった千田七段は最終戦、昇級他力の立場です。対戦相手は残留を目指す木村九段。千田七段は勝たなければ昇級はなく、また木村九段も勝たなければ残留はありません。

 また最終戦、3勝8敗同士の久保九段-阿久津八段戦は、負けた方は即降級が決まる、しびれるような一番です。

 日付が変わって本日2月4日は、A級8回戦がおこなわれます。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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