2階級王者の京口紘人 初防衛で強気のKO宣言「4Rまでに倒す」
WBA世界ライトフライ級スーパー王者京口紘人(25=ワタナベジム)が、元ムエタイ王者でWBAライトフライ級12位のタナワット・ナコーン(26=タイ)を迎え、6月19日幕張メッセで初防衛戦を行う。
前回の難敵ブドラーとの試合では、得意の左ボディブローで撃破。ライトフライ級のタイトルを獲得した。
今回は2階級制覇後の初防衛戦になるが、気負いはない。京口にとって、この試合は通過点であり、その先を見据えている。
フィリピンでの調整が刺激
京口は、海外の選手との対戦経験を積むため、フィリピンへ合宿に向かった。
現地での5日間は、バンタム級の世界ランカーや、国内のチャンピオンを相手に練習を積んだ。
厳しい環境でのトレーニングは、非常に身になったと話していた。
中でも、大きく影響されたのは「メンタル面」だったようだ。
貧しい環境の中、ボクシングで成り上がろうとする選手が多い。そのハングリー精神に刺激を受けたようだ。
フィリピンでは、ボクシングは人気スポーツである。
レジェンドのマニー・パッキャオを筆頭に、今度井上と対戦する5階級王者のノニト・ドネア、
井岡に勝った4階級王者のドニー・ニエテスなど、海外を股にかけて活躍する選手も多い。
環境を変える事で、気づいたことも多いだろう。
今後も積極的に、海外でのトレーニングを行なっていきたいと話していた。
試合のテーマは圧倒する
今回の相手は、タイ出身で、無敗のサウスポーである。加えて、ムエタイの経験が豊富な選手だ。
京口はアマチュア経験も豊富で、プロでもサウスポーとの対戦経験がある。そのため、左に対しての苦手意識はないようだ。
今回の試合も、コンディションさえ整えば、ワンサイドになると強気な発言も聞けた。
試合のテーマは「圧倒する」。4Rまでに倒すことを自分に課している。
プレッシャーはあるだろうが、自らを追い込んでいくことで、力を発揮できるタイプなのだろう。
今回は、新たなトレーニングとして、プールトレーニングを取り入れている。自分のボクシングスタイルの底上げを目指しているようだ。
実践練習については、所属しているワタナベジムに豊富にサウスポーがいるため、相手に苦労することはない。
取材に行った日も、世界ランカーの谷口将隆と実践練習で腕をならしていた。
日本人対決の統一戦への想い
対抗王者にはWBCライトフライ級王者拳四朗(27)がいる。
拳四朗は7月に、ジョナサン・タコニング(フィリピン)を相手に7度目の防衛戦に挑む。
ファンとしては、両者が勝てば、日本人対決での統一戦を期待してしまう。
しかし、京口にとっては、まだその時期ではないようだ。
統一戦となると、負けるリスクが高くなる。一度獲ったベルトを奪われると、再び王者に返り咲くのは難しい。
試合の注目度が高ければ、やる意味があるが、それがなかったら心は動かない。
京口自身は、「ライトフライ級では自分が一番強い」と、証明したい想いもある。
お互いが勝ち続ければ、近い将来、対戦することになるだろう。
ボクシングの人気
京口は積極的にSNSを活用して、自分の近況を伝えている。
最近では、世界戦のテレビ中継も減り、今回の京口の試合は、テレビの時間枠の関係で生放送されない。
世界2階級王者として、結果を残しているだけに、いたたまれないだろう。
京口も「ただボクシングやっているだけでは、有名になれない」と、もどかしい思いを吐露していた。
先日はWBSS準決勝で、井上尚弥が圧倒的な強さでロドリゲスに勝利した。この試合は、同世代の京口にとって大きな刺激になったようだ。
インタビューでも、井上について「レベルが高く全てにおいてパーフェクト」と絶賛していた。2人で食事に行く機会もあり、仲が良いようだ。
井上の活躍を見て、京口は「期待されるボクサーになりたい、世界チャンピオンの中でも評価されたい」と話していた。
ボクシング界は、厳しい時代になった。今は、世界チャンピオンになるだけでは有名になれない。
だからこそ、選手の魅力を伝える工夫や、ボクシングを知ってもらう機会が必要だ。
軽量級では、KO率が高く、魅力的な選手なので、多くの人に知ってもらいたい。