赤羽がトップ、シニアは大泉学園。「本当に住みやすい街大賞2019」の裏側を解説
住宅ローン専門金融機関「ARUHI」が主催する「本当に住みやすい街大賞 2019」が発表された。第1位になったのは、東京都北区の「赤羽」、第10位の「矢向(やこう)」まで、聞き慣れない街の名が並ぶ。
そして、シニアにとって住みやすい街として第1位になったのは大泉学園。それぞれの選定理由を、審査委員長を務めた私から説明したい。
激シブから軽シブの地名が並ぶランキング
「本当に住みやすい街大賞 」は、昨年から始まった表彰で、今回は第2回。その特徴は、「住みたいけれど、住めない街」ではなく、実際に家を新築したり、マイホームを購入する人が多い場所で、長く住み続けたい要素を備える街を選ぶこと。憧れの住宅地を選ぶ人気投票ではないし、いわゆる「資産性」を重視しすぎることもない。
住宅ローン専門金融機関「ARUHI」の住宅ローン利用者データをベースに、フラット35の利用者が多い街を選ぶことから街のノミネートが始まる。マイホームを新築した人、購入した人の多発エリアを、まず候補地としたわけだ。
これまで、吉祥寺や自由が丘に代表される“住みたい街”常連エリアは、現実的には住めない場所が多かった。分譲価格が高くなっているし、第一、新築分譲住宅の売り出しも少ない。それに対して、「本当に住みやすい街」では、現実的に手が届く価格帯であり、新築物件も多いことなどを重視し、住環境や交通利便、発展性などを審査して、首都圏の街からトップ10を選出した。
たとえば、第10位は川崎に近い矢向(やこう)。これには、川崎市出身のアルコ&ピース・酒井健太さんも思わず「激シブ!」。実際、ランキングした地名には“激シブ”から“軽シブ”まで渋い印象の地名が多い。それは、前回から変わらぬ、この賞の特徴だ。
10位から順に記すと、
10位 矢向
9位 小岩
8位 千葉ニュータウン
7位 南千住
6位 勝どき
5位 柏の葉キャンパス
4位 川口
3位 日暮里
2位 南阿佐谷
そして、
第1位 赤羽
だった。
赤羽は、家を購入したり、新築する人が多かった
昨年、第1回「本当に住みやすい街大賞」で大賞に輝いたのは南阿佐谷で、赤羽は第3位。今回、赤羽が南阿佐谷を抑えて大躍進したわけだ。
といっても、南阿佐谷の魅力が落ちたのではない。
「本当に住みやすい街大賞」は、住宅ローン専門金融機関「ARUHI」の住宅ローン利用者データを基に、実際に家を新築したり、マイホームを購入した人が多い場所から選定を行っている。今回、赤羽は、住宅ローンを組んで家を買ったり、建てた人が多かった。その結果、1位に躍進したわけだ。
赤羽は、東京都北区に位置し、JR赤羽駅では湘南新宿ライン・京浜東北線・宇都宮線・赤羽線・埼京線・高崎線の6路線利用可能となる、利便性の高い街。大型スーパーに加えて、赤羽一番街商店街・赤羽スズラン通り商店街の2つの商店街があり、生活に必要なお店が充実しているなどの特徴がある。
JRの駅前から活気ある商店街が始まっている様子は、JR中央線の人気駅・吉祥寺を彷彿とさせる。しかし、不動産の価格相場は吉祥寺ほど高くはなってはいない。そのため、昨年の「本当に住みやすい街大賞」では、「NEXT吉祥寺」の評価が生まれた。その「NEXT吉祥寺」には移り住む人が多く、今年、トップの座に就いたのである。
赤羽エリアは、東京23区内の穴場とみられていた時期がある。便利な場所なのに、不動産価格が抑えられていたからだ。しかし、近年、赤羽駅周辺は不動産価格が上昇している、その点も含めて、まさにNEXT吉祥寺である。
シニアにとって住みやすいのは、落ち着きと活気
今年の「本当に住みやすい街大賞」では、シニア部門が新設された。シニアにとって、「本当に住みやすい街」を選ぶもので、フラット35利用者の多い街から3地区が選定された。
1位 大泉学園
2位 神田
3位 印西牧の原
だ。
大泉学園は、西武池袋線で一戸建ての住宅地が広がる場所。その住環境のよさと、駅周辺が再開発で大きく生まれ変わる活力がシニアにとっても暮らしやすいと判定された。
神田は、千代田区神田で、都心の便利さと、1人暮らし2人暮らし用のコンパクトマンションが増えていることが高評価のポイント。印西牧の原は千葉ニュータウンの一画で、整備された歩道や駅近くから住宅地が始まる便利さが評価された。
シニアにとって暮らしやすいのは、ただ落ち着いているだけでは不十分。便利さや活気も備わっていることが大切なのである。