【河治良幸の視点】CL準々決勝 バイエルンxポルト、マドリー・ダービーの2ndレグ
UEFAチャンピオンズリーグは準々決勝の2ndレグを迎える。4試合から注目のバイエルン×ポルト、レアル・マドリー×アトレティコ・マドリーについて、「日本代表について議論するページ」のインタビューに答える形でまとめた。
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【バイエルン×ポルト】ポルトの守り方に注目
・1stレグは3−1と破れたバイエルンの勝ち上がり条件はポルトを無失点で抑え2点以上で勝つですよね。
非常に難しいタスクですが、これまでバイエルンやグアルディオラがやってきた偉業を考えれば決して不可能ではないですね。ただ、ポルトのルペテギ監督は"第二のモウリーニョ"とも評価されるほど気鋭の監督です。
1stレグはハイプレスをうまくはめてバイエルンの起点を封じ、ミスをさそって堅牢な守備を陥落させましたが、すでにリードしている状況で自陣に引くのか、高い位置からプレッシャーをかけるのか。攻撃の仕方も気になるところです。
・ポルトの攻撃を無失点で抑えるのは難しそうですが両SBが出場停止です。ベンチのレベルはどうなのでしょう?レギュラーとサブの差は少ないですか?
2人のブラジル人SBを欠くと攻撃面は間違いなく落ちますが、SB経験もあるCBのマルカーノをSBで起用するなど、守備的な戦い方をやり切る布陣は組めると思います。2点取られなければいいわけですしね。
・逆にバイエルンは負傷者が多く2ndに戻ってこれるのもシュバインシュタイガーぐらいだと思いますが守備的にされた場合得点できますか?
守備的といってもゴール前で守りを固められた時の方が、いつもの通りに攻め込みやすいかもしれません。確かにロッベンやリベリーなど個で打開できる選手はいませんが、常に高い位置でボールを持てればゲッツェやミュラーの特徴を活かしやすいと思います。
むしろ勇敢に高い位置で守備された方がバイエルンとしては嫌でしょうね。ポルトも1つのミスでレバントフスキなどにやられてしまうリスクは出て来るわけですが。
・河治さん予想では勝ち上がりはどちらになると思いますか?
バイエルンは全てが良い方にはまればポルトに2−0で勝利するだけの力はありますが、ルペテギという監督の采配次第でポルトが逃げ切れば、03−04のモウリーニョの様に大きく評価を高めるでしょうね。
状況はほぼ五分だと思いますが、55%バイエルンということにしてください。つまりポルトが第1レグを3−1で勝利したことにより、ようやく面白くなったなと思います。
【レアル・マドリー×アトレティコ・マドリー】勝負を決める選手は?
・1stレグがスコアレスドローだったマドリー・ダービーですが、会場がベルナベウに移るので、1−1以上の引き分けならアトレティコ勝利になりますね。
シメオネ監督が就任してからアトレティコは何度もレアル・マドリーに勝利してますし、ベルナベウと言っても苦手意識なく臨めるでしょう。ただ、一方のレアル・マドリーもスコアレスで延長狙いという気はさらさら無いでしょうし、中盤はボールを支配すると思うので、そこから自慢の攻撃陣が良い形でフィニッシュに持ち込み、新鋭のGKオブラクを破れるのか。
モヤの負傷でチャンスを掴んだ形ではありますが、シュートの対応力は驚くほど安定しているので、ロナウドもってしても遠目のシュートではちょっと難しいかもしれません。
・今季アトレティコはレアルに負けてないのも選手には自信になるのではないでしょうか?
シメオネ効果ですね。常に意識は高いですが、強豪との対戦をむしろ心待ちにしている雰囲気もありますし、それが宿敵レアル・マドリーとなればなおさらです。また戦術的な相性もいいですね。
CBのゴディンが守備の中心ではありますが、SBの安定感もチームを支えています。カウンターから左サイドをDFのヴァランにぶっちぎられたシーンはびっくりしましたが(笑)。
・ヴァランを見てレアルには足の速い選手しかいないのか!と思ってしまいました(笑)
基本的に身体能力の高い選手が揃ってはいますが、スピード的には十分にサイドアタッカーがつとまりますね。ペペもセルヒオ・ラモスも足は速いですし、怪物の軍団であることが改めて認識されたということで。
ただ、アトレティコも組織的にハードワークすることで十分に対抗していると思いますし、基本的にCKの裏をのぞいてカウンターをされるシチュエーションは作られないので、レアル・マドリーの身体能力がそのまま勝敗にはならないですね。
やはり中盤で起点を作りながら、アトレティコの守備に穴をあける一手を繰り出せるかどうか。その意味ではハメス・ロドリゲスがキーマンかなと思います。
・個人的にはトーレスの得点でアトレティコ勝利が見たかったりするんですが、河治さんの勝敗予想は?
得点の経過次第ですね。0−0はイーブンのスコアですが、得点を取れないまま後半に入るとクラブの性質上、レアル・マドリーの方が焦れて、守備も間延びしてきます。トーレスはそうした状況でDFラインの裏を突くのがうまいですし、スタメンかどうかは分かりませんが、接戦で終盤を迎えればレアル・マドリーにとって最も嫌なアタッカーでしょう。
ゴール前で絶好のラストパスを受ける簡単なシチュエーションでは外してしまうのに、厳しい流れの中で無類の決定力を発揮する不思議な選手ですからね。
昨シーズン決勝のリベンジもこめてアトレティコが後半の得点で1−0の勝利ですかね。トーレスだとサポーターも喜ぶでしょうが、後半の間延びしたところではグリーズマンのカットインがすごく効果的になるとは見ています。こういう大舞台をものにするメンタリティもありますからね。
ただ、レアル・マドリーはベイルとモドリッチが欠場するとはいえ、ロナウドを筆頭に全ての選手が常にスーパーゴールの可能性を秘めているので、それが決まって結果が逆になったらごめんなさいという感じです。あらかじめ謝っておきます(笑)。