「爆弾低気圧」となった元台風の影響で、ハワイでサーフィンイベント開催
往年のスターの今を探るテレビ番組「あの人は今」。有名人のその後が好奇心を掻き立てる人気番組でしたが、日本を直撃した台風がその後どうなったのか、そこには興味を抱く人は少ないように思えます。しかし、台風の経路をたどってみると、面白いことが見えてきたりもします。
台風22号の場合
29日(日)に日本に接近し、記録的な大雨をもたらした台風22号の場合は、温帯低気圧となった後、別の低気圧と合体して急速に発達し、中心気圧936hPaの「爆弾低気圧」となりました。その結果、西高東低の冬型の気圧配置をもたらし、師走並みの寒気が流入、北海道では旭川など平地でも雪が降りました。
(「爆弾低気圧」とは急速に発達する低気圧のことで、日本付近だと24時間で18hPa以上気圧が下がる低気圧のことを指します)
台風21号の場合
一方で、23日(月)に静岡県に上陸し、日本列島に大きな爪痕を残していった台風21号も、低気圧に変わった後に別の温帯低気圧と合体して「爆弾低気圧」に発達しました。その中心気圧はアリューシャン沖で、一時934hPaまで下がりました。
ハワイでサーフィンイベント
この元21号により、27日(金)ハワイに巨大なうねりを伴った大波が到達し、その結果、ごく限られた大波の時にしか開催されないサーフィンコンテストが行われました。
(今年のペアヒチャレンジのダイジェスト。波の巨大さに唖然とします。)
それは「ペアヒ・チャレンジ」と呼ばれる大会で、世界屈指のサーファーだけが参加を許される世界的なイベントです。その会場となったのが、マウイ島北部に位置するペアヒ。通称「ジョーズ」と呼ばれる伝説のサーフスポットで、ハワイの中で最も波の高い場所としても知られています。
アリューシャン低気圧とハワイのサーフスポットの関係
北半球の秋から冬にかけて、ハワイの北側の海岸が世界的なサーフスポットとなるのは、今回のように(ハワイのはるか北に位置する)アリューシャン付近で低気圧が発達して、そのうねりが届くためです。
特に10月や11月は、元台風がアリューシャン低気圧となって、ハワイにサーファー待望のコンディションをもたらすことがあるのです。
今回だけではなく2014年11月にも、台風20号が爆弾低気圧となり、同じくペアヒ・チャレンジが開催されています。この元20号の場合は、中心気圧がアリューシャン低気圧としては観測史上最低の920hPa(アメリカの気象局は924hPaと解析)まで下がり、前代未聞の発達をしました。
※一部情報を追加しました。