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袋麺を全国一食べているのは鳥取県民? 即席ラーメン記念日にちなんでデータの大検証(2023年公開版)

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
即席ラーメンはどれぐらい作られ、いつ食べられているのか。その秘密を大検証(写真:イメージマート)

1958年8月25日に日清食品から世界初となる即席ラーメン(インスタントラーメン)の「チキンラーメン」が発売されたことで、8月25日は即席ラーメン記念日に制定されている(【日清食品千歳工場「ラーメン記念日フェスタ」終了のお知らせ】)。そこで今回は少々遅れての話となるが、この記念日にちなんで、即席ラーメンは一体どれだけ食べられているのか、総務省統計局の家計調査などのデータを見ていきたい。

家計調査の対象品目をみると、即席ラーメンに該当するのは「即席麺」と「カップ麺」に分かれている。言葉の定義は次の通りとなる。

・即席麺…製造過程において調理味付けされ、保存可能の状態に加工されたもの(メンマ、あげ玉、わかめ程度を付加したものも含む。カップ麺は除く)。即席うどん、即席そば、即席ラーメン、インスタント焼きそば

・カップ麺…カップ状のものに麺や具材が入り、お湯を注ぐだけで飲食できるもの。主食的に食べるもの。カップラーメン、カップそば、カップうどん

この記事では「即席麺」のデータを見ていきたい。カップ麺ではない即席ラーメン、つまり「袋麺」の動向だ。

まずは日本における「即席麺」の生産量。これは家計調査ではなく、日本即席食品公共協会の公開データを基にしている。

↑ 即席麺(袋麺)の生産量(億食)
↑ 即席麺(袋麺)の生産量(億食)

もっとも古い値となる1958年は0.13億食。以降生産量は急増するが、1972年の37.0億食をピークにおおよそ漸減していく。これは1971年にカップ麺が登場したのが原因。需要をカップ麺に奪われ、生産量も減らす必要が生じたという次第である。もっともここ数年は生産量の減少も底を打つ形で止まり、増加の気配すら見られる。

直近の2022年では18.6億食で前年比はプラス1.3%。ちなみに別の機会で解説するカップ麺は、同時期にプラス2.4%の増加となっている。

支出金額に変化はあるのだろうか。家計調査で継続したデータを確認できる2005年以降の動向を表したのが次のグラフ。

↑ 即席麺への支出金額(総世帯、年額、円)
↑ 即席麺への支出金額(総世帯、年額、円)

生産量は1972年をピークにおおよそ漸減しているものの、世帯ベースでの支出金額は増加傾向にあった。もっともこれは商品単価が上昇しているのも一因だろう。2013年をピークに減少の動きに転じ、2018年で底打ちを見せ、そして2020年では大きな増加。これは新型コロナウイルスの流行による内食需要の増加によるもの。記録のある限りでは2013年の1750円を超え、1812円と過去最高金額を示した。直近の2022年は2020年よりも多少落ちたものの、引き続き高い値を維持している。

続いて月単位の即席麺への支出金額動向。家計調査で確認できる「二人以上世帯」について、最新分となる2022年の動向は次の通り。

↑ 即席麺への支出金額(二人以上世帯、月額、円)(2022年)
↑ 即席麺への支出金額(二人以上世帯、月額、円)(2022年)

一番支出金額が大きい月は12月。年末で忙しい時期に気軽に調理でき、温かい料理として楽しめる即席麺が好まれた可能性はある。1月も高い値を示していること、6月から8月までは低い値なこと、9月以降はおおよそ値が漸増していることも、その推測を補強する材料となる。

最後は即席麺への支出金額の地域別動向。こちらは家計調査の総世帯の値を基にしている。

↑ 年間即席麺支出金額トップ10(総世帯、都道府県別、円)(2022年)
↑ 年間即席麺支出金額トップ10(総世帯、都道府県別、円)(2022年)

↑ 即席麺の年間支出金額(総世帯、都道府県別、円)(2022年)
↑ 即席麺の年間支出金額(総世帯、都道府県別、円)(2022年)

↑ 年間即席麺支出金額(総世帯、都道府県別、円)(2022年)
↑ 年間即席麺支出金額(総世帯、都道府県別、円)(2022年)

直近の2022年で即席麺への一番支出金額が大きいのは鳥取県の2383円。次いで鹿児島県の2207円、高知県の2201円。ちなみに一番支出金額が小さいのは千葉県で1007円。トップの鳥取県と比べると4割程度でしかない。

実情を日本地図に反映させてみたが、地域別動向の類は見出しにくい。西日本が多めかな、という雰囲気が見られる程度。海が近いから即席麺をよく食べる、寒い地域では即席麺が好まれるという類の話はなさそうだ。

カップ麺の登場と技術進歩による多様化、高品質化で袋麺の立場は難しい立ち位置に追いやられたような雰囲気もあったが、新型コロナウイルスの流行による内食の需要拡大により、手を加えやすいベース的な主食としての価値が再認識され、多くの人に注目されるようになった。今後はカップ麺との住み分け的な付加価値を高めながら、即席ラーメンを盛り上げていくのだろう。

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グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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