サンウルブズ流大キャプテン、「落ち込んでいる暇があったら」次に勝つ。【ラグビー旬な一問一答】
勝ち続けてきたキャプテンが、黒星先行のチームで奮闘している。その渦中の心境やいかに。
国際リーグのスーパーラグビーに日本から参戦3季目のサンウルブズは、試合の組まれていないバイウィークを挟んで開幕6連敗中。共同キャプテンの1人であるスクラムハーフの流大は、4月14日の第9節での初勝利を目指す。
帝京大学ではキャプテンとして臨んだ2014年度に大学選手権6連覇を達成。2015年に入社したサントリーでも、2年目の2016年にキャプテンとなってからはトップリーグ、日本選手権と15人制のすべてのタイトルを制覇している。
しかしサンウルブズでは苦しい戦いを強いられており、4月7日の第8節(東京・秩父宮ラグビー場)ではワラターズに29-50で敗戦。直後の記者会見では「チーフス戦(※1)の後は悪いところから目をそらさずにレビュー(振り返り)して、コーチ陣からのレビューもあって、今週はどうやれば勝てるかを明確にしてすごくいい準備ができたという感覚があった。それが最後のところで結果に表れなかったけど、過程はいいものだった」と話しているが…。
4月12日、都内での練習後に思いを明かした。
以下、単独取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)
――ワラターズ戦後の会見中の発言、改めて振り返ってください。
「選手はミニユニットでレビューをしていて、ここへ加わったコーチ陣からのレビューも厳しいものがあった。少しシリアスな、変わらなきゃいけないという雰囲気がありました。変わっていこうという話を全体というより、それぞれでやった感じです」
――「シリアスな雰囲気」。ここから立ち上がるのは容易ではなさそうです。
「それはリーダーの仕事でもあるので。リーダー陣のパフォーマンスもよかったわけではないですし、受け止めて…という感じです」
――現在、スタッフとはどうコミュニケーションを取っていますか。
「リーダー陣が朝、早めにグラウンドへ来て、コーチ陣と前日のレビューとその日のフォーカスポイントを共有します。それを選手たちに促していくという仕組みです」
――キャプテンにとっては、試合に出られない選手など目配りすべき対象は多いような。
「あまりそこに関与しすぎないようにしています。それぞれ、チームに対しての役割をわかってやってくれているように見える。僕らは自分の仕事を全うするだけだと、割り切ってやっています」
――「自分の仕事」とは、出場選手と戦術などを共有していいプレーをすることでしょうか。
「そうです」
――防御システムについては、一部の選手が首脳陣と意見をすり合わせることで微修正を試みているようです。
「選手たちもコーチ陣たちとレビューをしたり、『こういうの(形)がいい』と話している。もっと、よくなっていけばいいと思います」
――次にぶつかるブルーズは、前年にサンウルブズが勝っている相手です。
「その時のサンウルブズは素晴らしい戦いをしていましたが、グラウンドも暑かったですし(※2)、僕も出ていませんでしたし、相手もベストメンバーではなかった。だから去年のことは全く、考えていません。ただ、(相手の)チーム状況はそれほど良くないように思います。先に仕掛けていく。リードして追わせる展開にして、『いつもと違う』と思わせるのが大事です」
――最後に。少なくとも大学以降、自分がキャプテンを務めるチームがここまで負け続けることは初めてではないでしょうか。このことをどう消化していますか。
「責任も感じますし、勝ちたい気持ちもあります。まだ終わったわけではないので、次がある。次を向いてやるだけという感じになっています。落ち込んでいる暇があったら次へのレビューをして、次のタスクをやるのが大事です」
くしくも、このチームの初代キャプテンである堀江翔太も言っていた。
「誰にめったくそ言われようが、次の試合は1週間後に来る。次に向けてどう動くかが大事なんじゃないですか」
※1 3月24日、秩父宮での第6節で10―61と大敗。第7節はバイウィーク。
※2 7月15日に秩父宮で48―21と勝利。各会場との連携から猛暑日の昼間に試合がおこなわれ、季節が真逆の南半球からやって来たブルーズはミスを連発。