【日本ファッション史】洋服が取り入れられていった!明治以降のファッションの進化について
かつて、和服を身にまとい、時代の流れの中で静かに佇む日本人たちの姿がありました。
しかし、その穏やかな景色に変化の風が吹き込んだのは、江戸幕府が陸・海軍の制服を洋装に定めた1866年のこと。
この「異国風」なる装いが日本の地で根を下ろす契機となりました。
当時の浮世絵や写真には、外国人の洋装姿とともに、ひそやかに洋服を取り入れる日本人の様子が映し出されています。
ただし、一般庶民の衣服は依然として着物が主流であり、特に女性たちはその美しい布地の中に暮らしていました。
明治の鹿鳴館時代には、日本独自のバスル・スタイルが登場します。
輸入ドレスに頼るだけでなく、和服地を活用して独自のドレスを作り出す創意工夫が光り、植物や幾何学模様をあしらったデザインが浮世絵にも描かれました。
洋装化はやがて戦後の混乱と復興の中で加速します。
特に1950年代、アメリカン・スタイルが大流行し、女性たちが広がりのあるスカート姿で街を彩るようになります。
映画スターの影響も大きく、ヘップバーン・カットは若者たちの憧れとなりました。
1960年代にはアイビー・ルックやミニスカートといったファッションが登場し、女性の社会的自己表現が衣服を通じて語られます。
一方、ビートルズ来日やヒッピー文化の波がモッズファッションやジーンズをもたらし、多様性が花開いたのです。
さらに、1980年代には女性の社会進出を象徴するボディコンスーツが現れ、ファッションは「戦闘服」へと進化を遂げました。
そして1990年代、茶髪にルーズソックスのコギャルが現れ、その大胆な姿は一大ムーブメントを引き起こしたのです。
かくして、洋装化は時代の影響を受けながら、文化の潮流として日本人の生活を彩り続けています。
その変遷は、一枚の布地に紡がれた国民の物語そのものなのです。
参考文献
シリンガル・レイハン(2013)『衣服から見る日本』広島大学国際センター日本語・日本文化研修プログラム研修レポート集 , 28期 : p1-19