ハワイに最接近したハリケーン・ホネ 台風11号か12号になる可能性
ホネは8月24日(土)にハワイ島に最接近し、最大700ミリ超の大雨を降らせました。ホネとは、ハワイ語で「甘く優しい」という意味があるそうです。
当初、ハワイを去ればどんどん弱まると予想されていました。ところが一転、再び強まって、しまいには日付変更線を越えて、台風11号または12号になる可能性が出てきました。
予測を困難にさせた理由は何か
なぜ、予想が変わってしまったのでしょうか。
中部太平洋ハリケーンセンターの気象官の方にうかがったところ、これは付近にある寒冷渦の影響のようです。寒冷渦とは、周囲よりも冷たい空気を伴った低気圧のことです。この影響を大きく受けたために、進路と勢力の予想がとても難しくなってしまったと言います。
この点、台風10号も同じで、予想が大きく変わったのは、この寒冷渦の影響があったためだと言われています。
越境台風は珍しいのか?
ホネのような、ハワイの方から進んできて、日付変更線をまたぐ越境台風は珍しいのでしょうか。
前回の越境台風は、昨年の台風8号(ドラ)でした。間接的ではありますが、ハワイに強風を吹かせ、マウイ島ラハイナに州史上最悪となる火災を起こしたハリケーンです。
その前は2018年の台風17号(ヘクター)、2015年台風12号(ハロラ)などがありました。つまりここ最近に限れば、越境台風は2~3年に1度くらいのペースで発生しています。
越境台風の中には、最終的に日本に上陸したものもありました。2015年のハロラや、1997年のオリーバから変わった台風19号もそうです。
また1994年の台風20号(ジョン)の場合は、総計30日間も太平洋を漂いました。これは観測史上、最も長寿な熱帯性の嵐として記録されてきました。
世界一の最長寿サイクロン
その世界一の長寿記録を破ったのが、2023年に南半球で発生したサイクロン・フレディでした。
フレディはオーストラリアの西の海上で発生した後、インド洋を一直線に西進し、マダガスカル島に上陸、その後アフリカ大陸のモザンビークに上陸しました。
通常ならば大陸を横断して消滅するところですが、フレディは180度方向を変えて再びマダガスカルに上陸し、さらに戻ってアフリカ大陸に再上陸するという異例の動きを見せました。そうして最終的に、計36日間も勢力を維持し続けました。
世界気象機関は今年7月に、フレディが世界最長寿の熱帯性の嵐であると認定しました。
温暖化で変わるハリケーンや台風
海水温の上昇で、台風が急速に発達しやすくなる。上陸前に強まったり、速度を落とす。さらに降雨量も増加するなど、迷惑千万な嵐が増えることが予測されています。どうやって対処したらいいでしょうか。
気象の専門家であるジェームズ・コシン氏は、次のように語ります。
「適応は非常に重要です。最終的には、それが最も重要になるかもしれません。気候変動を止めることはできず、すべてを元に戻すことはできませんから。だからこそ、適応が大きな鍵を握るのです。」
変化に対応して、生活様式やインフラ、政策などを柔軟に変えていく力が求められています。
※追記(9/1)
ホネは東経179度の地点で、風速が17メートル未満の熱帯低気圧へと弱まりました。東経180度線(日付変更線)まであと1度のところでした。台風は17メートル以上の風を伴う熱帯擾乱であるため、ホネは台風とはなりませんでした。