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「なんとなく」を取り除く。子宮内膜症を公表した宮島咲良の思い

中西正男芸能記者
子宮内膜症を公表したフリーアナウンサーの宮島咲良さん

 スーパー戦隊ものの熱烈なファンでテレビ朝日「アメトーーク!スーパー戦隊大好き芸人」にも出演するフリーアナウンサーの宮島咲良さん(37)。長年悩まされた子宮内膜症の手術を今年受けたことを公表しました。センシティブな話でもありますが「センシティブな話だからこそ、私はお話をしようと思ったんです」と語る根っこにある思いとは。

人生で一番の痛み

 明らかに「おかしい」と思ったのは2018年11月でした。

 スポーツ関連のロケをしていたんですけど、急に激しい痛みがありまして。

 もともと、生理痛には悩まされていたんですけど「あ、生理がきた」と感じたところで、胃のあたりから下腹部までをグチャグチャにかき回されているような激痛。

 意識はギリギリあったんですけど、立ち上がれない。人の声も遠くに聞こえるというか、視界にも白くもやがかかるというか…。そんな状況になってしまったんです。

 普段の生理痛とは、確実に違う痛み。なんとか最後までロケはやりきったんですけど、人生で一番の痛みだったので、その後、病院に行ったんです。そこで子宮内膜症と診断を受けました。

 我慢を重ねたことで、損傷というか、少し破れているところもあり、これがもう少し大きくなっていたら、即手術の状況だったと。そこで、恐さが一気に込み上げてきました。

 そこから定期的に診断を受けつつ、セカンドオピニオン的な流れもあり、様子を見てきたんですけど、今年に入ったところでかなり患部が大きくなってきたので手術をしました。

手術を経ての変化

 手術は腹腔鏡を使って、本当に負担なく私の場合はできたんですけど、手術を経て、体だけでなく、意識もいろいろと変わりました。

 手術前は、痛みが当たり前。そして、我慢するのも当たり前。その流れが普通だと思っていました。

 でも、当然と言えば当然なんですけど、痛みを感じるということは決して普通ではない。体が「助けてほしい」となっているから、痛みが出るのであって、そのサインを我慢という無理を重ねて無視するのは決して良いことではない。

 そして、子宮内膜症は生理痛というところともリンクしてくるので、女性は基本的に常にその痛みと向き合っています。

 なので「そういうものだ」というか、それでお仕事に迷惑をかけたりすることに、大きな抵抗がある。私は完全にそうだったんです。

 しかも、腕が痛いとか、肩が痛いということよりも、すごくセンシティブな部分でもありますし、男性の方にとっては体感できないことでもありますし、多くの人にとって「なんとなく」言いにくい領域の痛みでもあると思うんです。

 さらに、病院の婦人科に行くことに抵抗がある女性も事実として多い。まず内診もあるし、診てくださる先生が男性なのか、女性なのかというところもあるし、周りの目みたいなこともありますし。

 あえてストレートに言うと、婦人科に行くだけで「あの人、遊んでるんじゃないの」とか、変な目で見られかねないという心配をする人もいる。

 この前も、子宮内膜症でネット検索してみたら、関連ワードとして「やりすぎ」という言葉が出てくるんです。そのワードが出てくるということは、全然関係なくても、そう調べる人が多いということでもある。となると、そう見られるんじゃないかと思う方もいらっしゃる。

 そういう「なんとなく」の心のハードルがあるために、さらに体が傷んでしまっているところもある。これって、本当に残念というか、歯がゆいというか。

「なんとなく」を取り除く

 その「なんとなく」が生まれる背景にはセンシティブな感覚もあるし、ある種のタブー感もあると思うんです。でも、それを少しでも取り除く。その意味でも、私は自分の病名も、手術を受けたことも明かしたんです。

 自分の体験をお伝えするというと、すごく上からで横柄なことになりますけど…、皆さんと共有するというか。

 それによって「なんとなく」が、それこそなんとなく少なくなる。それによって、背負わなくてもいい負担を背負っている人が少なくなったらなと。

 もちろん、私はたまたま手術の負担も軽く、うまくいったので、こんなことが言えているところはあると思います。

 病気のことですし、センシティブな領域があることも間違いないので、みんながみんなオープンにする必要は全くない。

 でも、私はこういうお仕事もさせてもらっていますし、一人の体験者として「私の場合は、こんな感じでした」ということを出していく。そう思っているんです。

 これも、あくまでも私の場合ですけど、病気や手術を公表してからは、例えば、男性のスタッフさんとでも体のことが普通に話せるんです。向こうも、変に気を使わないで済むというか、ありがたいことに気にかけてくださる時でも、その気にかけてくださり方がナチュラルになるというか。

 今までヒソヒソ話で言っていたことを普通に話せる。そんな感覚を味わってはいます。もし、また激痛が仮に来たとしても、ストレートに話せると思いますし「また痛みがきたら、どうしよう」と思う、心配の総量みたいなところが減ったのも間違いないです。

 ただ、繰り返しになりますが、病気のことですし、考え方は十人十色。それでも言いにくい人も当然いらっしゃいます。

 でも、この「なんとなく」で要らない負担があるならば、そこだけはなんとかしたい。どこまでも繰り返しみたいになってしまいますけど(笑)、でも、自分が体験して、それだけ強く思っていることですし、少しでも発信、そして、共有を続けていきたいと思っています。

(撮影・中西正男)

■宮島咲良(みやじま・さくら)

1983年11月9日生まれ。東京都出身。ワタナベエンターテインメント所属。共立女子大学卒業後の2007年、アナウンサーとして九州朝日放送に入社。10年に同社を退社し、ワタナベエンターテインメントに所属。11年に「ザ・デッド・エンド」で舞台初出演。14年には、テレビアニメ「くつだる。」のテーマ曲で歌手デビュー。ファンを公言しているスーパー戦隊シリーズ「手裏剣戦隊ニンニンジャー」の挿入歌なども担当した。BS11競馬中継、ニッポン放送「ルート930」、MBSラジオ「ますまるラジオ」などに出演中。子宮内膜症、そして、手術を受けていたことを公表し、同じ病気で悩む人たちと情報を共有する活動にも力を入れている。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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