都市対抗王者・Hondaが強豪対決に勝利【第46回社会人野球日本選手権大会デイリー・リポート3】
第46回社会人野球日本選手権大会3日目は、時折、雨が降る曇り空の中、予定通りに3試合を行なうことができた。第3試合には、昨年の都市対抗で優勝を飾ったHondaが登場。5月の九州大会を制し、出場32チームで最多41回目出場のパナソニックと対戦した。
先発投手は、Hondaが3月の東京スポニチ大会で新人賞を獲得するなど、ロケットスタートで注目されるルーキー左腕の片山皓心。対するパナソニックは、抜群の安定感で投手陣を牽引する與座健人だ。
ともに立ち上がりから完璧と言っていい投球を見せたが、先にチャンスをつかんだのは3回裏のHondaだった。先頭の鈴木 薫がバットを折りながら中前に落とすと犠打で送り、中村将己のセーフティバントは内野安打となって一死一、三塁。ここで、トップの千野啓二郎が左犠飛を打ち上げて1点を先制する。
最少リードをもらってからも、片山は攻めの投球を貫く。2回は死球、3、6回は安打で先頭打者の出塁を許すも、キレのあるボールを低目に集めて後続を抑えていく。すると、7回裏一死二塁から檜村篤史がライト線へ三塁打を放って待望の2点目を挙げ、さらに千野の適時打で3点目。これでホッとしたのか、直後の8回表にはパナソニックのリードオフ・藤井 健にソロアーチを打たれたが、130球で4安打12奪三振の完投勝利をマーク。3回目の優勝を目指したパナソニックに、持ち味を発揮させなかった。
東芝は苦しみながらも逆転勝ち
第1試合では、東芝がバイタルネットと対戦した。若手がエースの座を競い合う中、平馬 淳監督は新人左腕の藤村哲之を先発に起用する。藤村は4月の四国大会で優勝の原動力になり、最高殊勲選手賞を手にするなど、着実に実績を積み重ねている。この試合でも2回からはピンチが続いたものの、冷静に緩急を駆使してタイムリーは許さない。
だが、5回表一死からバイタルネットの核弾頭・古谷勇斗に詰まりながらも中前に運ばれ、犠打で二死二塁とされると、嘉瀬 建にもゴロで三遊間を割られて1点を先制される。平馬監督は、二番手に櫻井義之介を投入する。
東芝の打線は、5回まで散発の3安打とバイタルネットの先発・佐々木竜次を打ちあぐねていたが、櫻井がテンポのいい投球で試合の流れを渡さない。ようやく7回裏に先頭の松本幸一郎が中前安打を放つと、平馬監督は勝負をかける。2安打をマークしている田中達朗には送らせず、左前安打でチャンスを広げる。大庭樹也の犠打で一死二、三塁とし、代打の福山 亮、岡部祐太が連打で一気に逆転した。
そして、8回から岡本拓也、最後は近藤凌太を注ぎ込んで逃げ切り。苦しみながらも東芝が二回戦に駒を進めた。惜しくも敗れたバイタルネットも、プロ経験者の加藤正樹監督が3年目を迎え、攻守に力をつけてきたという印象だ。都市対抗でも北信越代表の座をつかみたい。
ビッグイニング×2で東海理化がコールド勝ち
今大会は僅差の試合が続く。しかし、第2試合では東海理化の打線が爆発し、8回コールドの13対3でカナフレックスに大勝した。
東海理化は、4月の静岡大会で最高殊勲選手賞と最優秀新人賞に輝いたルーキー・金田悠太朗、カナフレックスは大西健太が先発。先手を取ったのはカナフレックスだ。3回表に先頭・田中慧樹のソロ本塁打で先制すると、さらに3安打で1点を追加。なお二死満塁と攻め立てると、東海理化は二番手の池田大将に継投する。東海理化も4回裏二死一塁から木村大輝の三塁打で1点を返し、前半は2対1とカナフレックスがリードして折り返す。
6回裏、東海理化は先頭の中野良紀が敵失で出塁すると、四番・井貝星良の右前安打で一、三塁。ここから大谷征輝、木村、武藤健司の3連続二塁打で、一気に5対2と逆転してリードを広げる。さらに二死後に1点を加え、試合の流れは東海理化に傾く。
カナフレックスも7回表に二死からの3連打で3点目を挙げたが、8回裏には東海理化が2度目のビッグイニングを築く。二塁打を放った水野雄平を進めようとバントをすると、カナフレックスの守備が乱れ、3者続けて失策。ここから大谷の2本目の二塁打など攻撃の手を緩めず、一挙7点を奪った時点で10点差となってコールドゲームが成立。東海理化は2大会ぶりの勝利を挙げ、カナフレックスは大会初勝利を逃した。
(写真提供/小学館グランドスラム)