世界の半導体装置市場、24・25年に過去最高更新へ
半導体の国際団体SEMIは、2024年における世界半導体製造装置の販売額が前年比3.4%増の1090億米ドル(約16兆6500億円)に達し、過去最高を更新するとの予測を発表した。世界の半導体製造装置市場は、その後も成長が続き、25年はそれを上回る1280億米ドル(約19兆5500億円)規模に達するとみている。
SEMIプレジデント兼CEO(最高経営責任者)のアジット・マノチャ氏は、「今年から進行している半導体製造装置市場の拡大は、25年には約17%という力強い成長へと進む。世界の半導体産業は、AI(人工知能)技術が生み出す多様な革新的アプリケーションを支え、その強固な基盤と成長の可能性を示している」と述べた。
GLOBAL TOTAL SEMICONDUCTOR EQUIPMENT SALES FORECAST TO REACH RECORD $109 BILLION IN 2024, SEMI REPORTS
https://www.semi.org/en/semi-press-releases/global-total-semiconductor-equipment-sales-forecast-to-reach-record
前工程、25年に14.7%増の1130億米ドル
セグメント別にみると、前工程向け装置(ウエハーファブ装置)の販売額は23年に約960億米ドル(約14兆6600億円)と、過去最高を更新した。24年は前年比2.8%増の約980億米ドル(約14兆9700億円)を見込む(図1)。中国の好調な設備投資の継続、AIコンピューティングにけん引されるDRAMやHBM(広帯域メモリー)への投資がその要因になるという。
ウエハーファブ装置の販売は、その後も大きく伸びるようだ。25年は前年比14.7%増の1130億米ドル(約17兆2600億円)になると予測する。先端ロジック及びメモリーアプリケーションの需要が増える見通しだ。ウエハーファブ装置は、ウエハープロセス処理装置、ファブ設備、マスク/レチクル製造装置で構成される。
後工程装置、24年後半から回復
後工程装置の販売は過去2年にわたって減少したが、24年後半から回復する見通し。特に半導体テスト装置の24年における販売額は前年比7.4%増の67億米ドル(約1兆200億円)、組み立て及びパッケージング装置は10.0%増の44億米ドル(約6700億円)になると予測する。
後工程分野の成長は、25年にさらに加速する見通しだ。テスト装置は前年比30.3%、組み立て及びパッケージング装置は34.9%の増加が見込まれる。HPC(高性能コンピューティング)向け半導体デバイスの複雑化に加え、車載、産業用、消費者向け電子機器の需要回復がその要因になるという。
メモリー分野の設備投資が大きく増加
アプリケーション別では、ファウンドリー及びロジック分野向けウエハーファブ装置の販売額が、前年比2.9%減少する見通しだ。だが、同分野は25年に前年比10.3%増の630億米ドル(約9兆6200億円)に成長すると予測される。最先端技術に対する需要の増加、新デバイス・アーキテクチャの導入、生産能力拡大のための投資増が見込まれる。
メモリーは設備投資が最も大きく増加する分野で、25年も成長が続くとSEMIはみる。NAND製造用装置は24年に前年比1.5%増と比較的穏やかに推移するものの、25年は55.5%増の146億米ドル(約2兆2300億円)になるという。一方、DRAM製造装置は、AIや新技術への移行に向けたHBM需要の急増で、24年に24.1%増、25年に12.3%増の成長が見込まれる。
筆者からの補足コメント:
地域別に見ると、2025年まで中国、台湾、韓国が装置投資額のトップ3であり続けると、SEMIはみています。中国への装置出荷額は、2024年に過去最高の350億米ドル(約5兆3500億円)超となる見通しで、「他の地域に対するリードを確固たるものにする」(SEMI)といいます。中国は2025年もトップを維持するとみられます。ですが、同国は2024年までの3年間で大規模投資を進めており、2025年はその反動が出る可能性もあるとしています。
- (本コラム記事は「JBpress」2024年8月8日号に掲載された記事を基にその後の最新情報を加えて再編集したものです)