今年の世界最強「スーパー台風」19号、フィリピン上陸へ
フィリピンに今年世界最強の台風が接近しています。19号は比較的小さな台風でありながら、今年世界で発生したどの台風やハリケーンよりも強い勢力に発達しています。
その背景には、高い海水温があります。フィリピン沖の海面水温は30℃以上と、例年よりも1℃以上高くなっています。このため19号は急激な発達を遂げ、中心気圧は24時間で71hPaも下降したもようです。
現在の強さはというと、中心気圧915hPa、最大風速60m/sの、台風のランクではもっとも強い「猛烈な」勢力に達しています(日本時間31日21時時点)。
一方で米軍の解析では、もっとも強いランクである「カテゴリー5」の、いわゆる「スーパー台風」に相当しています。アメリカの統計では、19号は太平洋西部においては2016年の台風22号以来の最強勢力とのことです。
フィリピンへの影響
気象庁によると、19号は今後やや勢力を弱めながら西進し、1日(日)朝にもフィリピン北部~中部に上陸する見込みです。その後2,400万人が住む世界一の過密都市マニラを通過する可能性があります。
今月3つ目の上陸
フィリピンは1週間前に台風18号の被害に遭ったばかりです。25日(日)に「強い台風」で上陸した18号は、22人の犠牲者を出しています。またその5日前には台風17号が上陸して、大きな被害を出したばかりでした。
こうした中で、19号が今年最強の勢力で上陸するため、被害がより拡大することが心配されます。
フィリピンにとって今一番必要のないものが台風でしょうが、残念ながら先日発生した台風20号も、5日(木)にかけてフィリピン北部に近づく可能性が出ています。
フィリピンは秋台風に注意
フィリピンは、「Typhoon Alley(台風街道)」と呼ばれるほどの世界的な台風常襲地帯です。年間の台風上陸数は6~7個もあり、中国に次いで、世界で2番目に上陸数が多い国です。
このようにしばしば台風の直撃にあうフィリピンですが、これまでに大きな人的被害を出した原因には、ある共通点があります。
それは、秋台風が多いことです。1980年以降の人的被害が大きかった台風のほとんどは、11月~12月に発生しています。この時期台風がフィリピンやインドシナ半島に向かって進むことが多い上に、インフラのあまり整っていないフィリピン南部に進むことが多いためです。
これからフィリピンは、台風への厳重警戒が必要な時期に突入します。
追記(11/2): 台風19号は1日(日)朝フィリピン・カタンドゥアネス州に上陸した。上陸時の勢力は「猛烈」、中心気圧は905hPa。少なくとも16人が死亡。直撃を受けたビラックは8~9割の建物が損壊した。