イタリアで南北差 北は大雨と巨大ひょう、南は史上最悪の山火事
美しきコモ湖
「世界一美しい湖」とも称されるイタリアのコモ湖は、スター・ウォーズの舞台ともなった、ヨーロッパ有数のリゾート地です。「人」のような形をした細長い湖で、別荘や高級ホテルが立ち並ぶ、きらびやかでありながらも、牧歌的な雰囲気が味わえる素敵な場所です。
コモ湖の洪水、土砂災害
そのコモ湖周辺で、27日(火)大規模な洪水と土砂災害が発生しました。
下がその時の動画です。小道が滝と化し、流された車が積み重なっているのが見えます。流された土砂は道をふさぎ、家々も飲み込んで、閉じ込められた高齢の女性を含む60人以上が救助されたもようです。幸い死者はいないようですが、復旧にはかなりの時間が見込まれます。
嵐の原因
どうしてこんなことになってしまったのでしょうか。
上空に冷たい空気を伴った「寒冷渦」と呼ばれる低気圧が、イギリスからヨーロッパ南部にかけての広範囲を覆い、停滞していました。寒冷渦の南東の部分に当たったイタリアでは、暖気の流入により特に天候が激しくなりました。
27日(火)には、8時間で192ミリを超える大雨が記録されています。
巨大なひょう
26日(月)にはコモ湖の少し南の地域で、下の写真のような10センチ大のひょうが降りました。ソフトボールよりもやや大きいサイズです。ミラノとボローニャを結ぶ国道では、100台近い車両に被害が出たもようです。
イタリアのひょうは珍しいことではないようですが、今年のひょう害の規模と頻度は異様だといいます。イタリア北部のポー川の平地では2018年には92回、2019年は218回ひょうが降ったそうなのですが、今年はすでに318回に及んでいるようです。
南イタリアでは史上最悪の山火事
反対にイタリア南部の観光地サルディニア島では、史上最悪クラスの山火事が発生しています。
島の西部では、ラグビーの競技場2万個分に匹敵する、2万ヘクタールが焼失し、小屋に取り残された豚や羊、牛やヤギといった多数の家畜が焼死しました。また樹齢1000年の有名なオリーブの木も、残念ながら焼けてしまったそうです。
消防士やボランティア7,000人が消火活動を行っていますが、高温と強風に阻まれて燃え広がっている状態です。
サルディニア島では、夏に山火事がしばしば発生するようですが、今回の規模は1983年と1994年に匹敵するか、それ以上とのことです。New York Timesによれば今年イタリアでは、昨年より13,000件も多く山火事が発生しているのだそうです。
異常が続く2021年
今夏はヨーロッパでは、歴史に刻まれるほどの悪天が続いています。2週間前にはドイツやベルギーで死者210人以上に上る大洪水が発生、先週はイギリスで記録的な熱波が襲い、同時に大洪水も起きて、大きな被害が出たばかりでした。