パ6球団がタッグ!阿蘇被災地を訪問。オリックス伊藤光「普段はライバルだけど、協力して」
各球団7選手が南阿蘇村を2日間訪問
そのあまりに残酷な景色に、屈強なプロ野球選手たちですらも足がすくみ言葉を失った。
12月18日と19日の両日、パ・リーグ全6球団の計7選手が、今年4月に発生した熊本地震の大きな爪痕がいまだに残る南阿蘇村を訪れた。
参加選手は日本ハムの新垣勇人、ソフトバンクの高谷裕亮と牧原大成、ロッテの二木康太、西武の岩尾利弘、楽天の安楽智大、オリックスの伊藤光。
パ・リーグマーケが主導する社会貢献活動
主催したのはパシフィックリーグマーケティング株式会社(以下PLM)。PLMはパ・リーグ6球団によって‘07年に設立された。‘11年より野球を通じた社会貢献活動を象徴化する「POWER OF BASEBALL」の活動を開始し、これまでも東日本大震災の被災地訪問なども行ってきた。
今オフは熊本地震復興応援をテーマに南阿蘇村へ。18日は阿蘇ファームランドでのふれあい交流会で炊き出しやストラックアウトなどのイベントを開催。地元少年野球チーム200名を対象とした野球教室も行われた。
19日はまず阿蘇大橋の崩落現場に足を運んだ。全員が現地を訪れたのはもちろん初めて。「言葉で言い表せない状況。バスの車窓から見た景色でも、まだブルーシートがかけられた家などもたくさんあり、本当に大変な状況なのだと改めて知りました」(高谷)。選手たちは黙とうを行った。
南阿蘇西小へ。パ選手たち「ぐっと来た」
その後は南阿蘇西小学校で野球の実技を交えた交流会を行い、その後は児童たちを給食を一緒に食べて交流した。
最後のセレモニーでは全校生徒が、選手たちへの御礼の気持ちも込めて「思いやりの歌」を合唱。ピュアな歌声と歌詞の内容に「泣きそうになりました」と新垣が話すと、周りの選手たちも同調。学校の先生たちは実際に涙を流していた。
<参加各選手のコメント>
日本ハム・新垣
「阿蘇大橋崩落の現場を見て、大変な災害だったのだと改めて実感しました。ただ、子どもたちがみんな元気に接してくれたり、日本ハムのユニフォームを着てくれた子もいたりして嬉しかった。これまで復興支援イベントなどに参加する機会はあまりなかった。来季は結果を残し、活躍する姿を届けたい」
ソフトバンク・高谷
「阿蘇の被災状況や現状は想像以上でした。でも、子どもたちはキラキラした目で接してくれて、僕自身もすごく力をもらいました。来年5月は熊本で試合があります。どんなプレーをいうよりも、一生懸命やってる姿を見てほしい。そして活躍して、南阿蘇村の方々、子どもたちに『あの時に来た選手だ』と認識してもらえるように頑張りたい」
ソフトバンク・牧原
「テレビ報道などで見るのと全然違いました。阿蘇には少年野球時代に試合で来たことがあります。子どもたちはものすごく純粋に楽しんでくれたのが良かった。最後の歌はぐっと来るものがありました。来季は一軍でバリバリ活躍して、この子どもたちを球場へ招待できるくらい頑張りたい」
ロッテ・二木
「鹿児島出身なので阿蘇には子供のころ家族旅行で来て、ファームランドを訪れたこともありました。阿蘇の状況は想像以上だったし、今でも大変な思いをしている方がたくさんいることも知りました。でも、子どもたちは元気。僕自身も元気をもらいました。来季、僕らが活躍することでみんなが喜んでくれると思う。たくさん活躍して、九州でもたくさんメディアで取り上げてもらえるように頑張ります」
西武・岩尾
「僕は大分出身なので熊本に知り合いも多いし、阿蘇ファームランドや大観峰など何度も訪れたことがあります。本拠地の埼玉は遠いですが、九州にも活躍が届くような投球ができるように頑張ります」
楽天・安楽
「仙台に住んでいることもあり、熊本の地震はずっと気にかけていました。阿蘇大橋の現場では僕と変わらない年齢の学生の方がお亡くなりになっている。胸が苦しくなりました。東北の復興も時間がかかっています。また、協力し合えることが出来ればいい」
オリックス・伊藤
「阿蘇大橋の現場は言葉が出なかった。熊本復興への取り組みはソフトバンクが中心となって活動しているのは話を聞いていましたが、僕らも些細なことかもしれないが出来ることはある。支え合うのが大切。普段はライバルだけど、こうやって協力し合うのはすごくいい取り組みだと思います」