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【菊花賞】当日単勝オッズは1番人気皐月賞馬vs2番人気ダービー馬で変わらず 10番人気馬が気になる!

花岡貴子ライター、脚本&漫画原作、競馬評論家
日本ダービーのゴール前、優勝したタスティエーラ(撮影:青山一俊)

 22日、京都競馬場で第84回菊花賞が行われる。

 まずはJRA発表の前日オッズから当日午前11時現在の単勝オッズの流れを考察する。

 1番人気は皐月賞馬・ソールオリエンスで前日、当日ともに2.9倍と、安定した人気をキープしている。2番人気はダービー馬・タスティエーラで前日4.3倍から当日11時現在5.0倍と少し離れた2番人気をキープしている。3番人気は前哨戦の神戸新聞杯を制したサトノグランツで前日5.5倍から当日11時現在5.3倍と人気を上げている。続く4番人気は4連勝のドゥレッツァで前日8.2倍から当日11時現在7.3倍とこちらも人気がより集まっている。5番人気は前日は11.3倍だったハーツコンチェルト。当日11時現在9.6倍と10倍を切る上位人気馬に仲間入りだ。そして、6番人気は武豊騎手騎乗のファントムシーフで前日が15.9倍、当日11時現在16.0倍となっている。

2000年以来、皐月賞馬vsダービー馬の対決

 今年のみどころは、なんといっても皐月賞馬とダービー馬の直接対決だ。2000年に皐月賞馬・エアシャカールと日本ダービー馬・アグネスフライトが直接対決した。この年の菊花賞はアグネスフライトで初のダービー制覇を果たした河内洋騎手と続々とあらゆる記録を更新し続ける武豊騎手が武田作十郎師に師事する兄弟弟子だったことも話題を呼んだ。結果はアグネスフライトが直線では思うように伸びず、最終コーナー過ぎに内からスルスルを抜け出して末脚を爆発させたエアシャカールが堂々優勝し、ダービーの雪辱を果たしてクラシック二冠馬となった。一方、アグネスフライトは直線では他馬と同じ脚色で5着という結果だった。

■2000年菊花賞(GI) 優勝馬 エアシャカール

 実にそれ以来、23年ぶりのクラシック馬同士の顔合わせとなる。なお、過去この組み合わせでは皐月賞馬が12勝4敗と有利な結果を出している。エアシャカールは日本ダービーで7センチのハナ差で2着に敗れたが、今年のソールオリエンスは日本ダービーで僅かクビ差で敗れている。ここまで5戦3勝2着2回と成績には抜群の安定感があるし、父は菊花賞馬のキタサンブラック。母系も長距離に対応できる血統なので、今年の菊花賞では信頼できる、と筆者はみている。

■2023年 皐月賞(GI) 優勝馬 ソールオリエンス

■2015年 菊花賞(GI) 優勝馬 キタサンブラック

 一方、ダービー馬のタスティエーラは日本ダービー以来の出走となり、ぶっつけ本番となる。調整過程は順調そうだし、長くいい脚が使えるタイプ。初の長距離輸送とモレイラ騎手が初騎乗という点が気になるが、そのあたりは陣営も承知の上で十分対策を練っているはずだ。現地でのスクーリングも順調に終えたし、過去5戦で4人の騎手が乗り、そのうち2人は外国人騎手。秋緒戦に菊花賞を選んだのは夏の暑さと放牧先で疲れた出た影響とのことだが、その後にジャパンカップや外国のレースなどローテーションへの考慮も考えられる。その点からも筆者はこの一戦に関してはソールオリエンスのほうが勝負度合いが高いとみている。

■2023年日本ダービー(GI) 優勝馬 タスティエーラ

メジロマックイーンを思い出させるドゥレッツァ

 注目したいのは条件戦を4連勝中のドゥレッツァだ。父はドゥラメンテで先日牝馬三冠を達成したリバティアイランドと同じ。3歳11月に未勝利戦を勝ち、その後は条件戦を順に勝ち上がっての4連勝。勢いはある。

 かつてダービー時期はまだ未完成だったメジロマックイーンが500万下(現在の1勝クラス相当)、900万下(現在の2勝クラス相当)と条件戦を順に勝ち上がり、菊花賞と同じ京都・芝3000mと長距離の嵐山S(1500万下、現在の3勝クラス相当)で2着にきたあと、菊花賞で重賞初挑戦にして完勝した。

 ただし、ドゥレッツァはマックイーンのように長距離戦に強い血統ではなく、ステップレースも2000~2200mだけという点は物足りない。しかし、鞍上にルメール騎手を確保したことや折り合いがつきやすい性格であるというのは強みだ。メジロマックイーンのようなステップはレアケースではあるが、今年のドゥレッツァにはそれを彷彿させるし、マックイーンと同じように「やれるのではないか」という期待感がある。

■1990年 菊花賞(GI) 優勝馬 メジロマックイーン

3番人気サトノグランツは距離適性の高さが魅力

 血統的に期待が高まるという点でサトノグランツも外せない。父は2016年の菊花賞馬サトノダイヤモンド。「ストライドが大きく、距離への適性能力も高い」(大江助手)と厩舎サイドは長距離戦は望むところだ、という姿勢だ。母系は欧州でクラシックホースを輩出しており、クラシック馬2頭に続いて人気を集めている点も納得だ。

■2023年 神戸新聞杯(GII) 優勝馬 サトノグランツ

■2016年 菊花賞(GI) 優勝馬 サトノダイヤモンド

日本ダービー5着、10番人気のノッキングポイントに注目!

 成績の割に人気が低い中では当日11時現在、単勝34.0倍で10番人気のノッキングポイントに注目している。夏は新潟記念(GIII)で古馬相手に重賞を制覇。日本ダービーではクビ→ハナ→ハナ→1馬身差の5着でタイム的には上位4頭からコンマ2秒差の負けだった。関西への輸送競馬は毎日杯で経験済み。人気上位馬とは大きく差のない競馬をしているわりに人気がないので、紐の中心として狙ってみたい。

2023年菊花賞枠順(筆者作成)
2023年菊花賞枠順(筆者作成)

※記事内容は個人の見解です。

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ライター、脚本&漫画原作、競馬評論家

競馬の主役は競走馬ですが、彼らは言葉を話せない。だからこそ、競走馬の知られぬ努力、ふと見せる優しさ、そして並外れた心身の強靭さなどの素晴らしさを伝えてたいです。ディープインパクト、ブエナビスタ、アグネスタキオン等数々の名馬に密着。栗東・美浦トレセン、海外等にいます。競艇・オートレースも含めた執筆歴:Number/夕刊フジ/週刊競馬ブック等。ライターの前職は汎用機SEだった縁で「Evernoteを使いこなす」等IT単行本を執筆。創作はドラマ脚本「史上最悪のデート(NTV)」、漫画原作「おっぱいジョッキー(PN:チャーリー☆正)」等も書くマルチライター。グッズのデザインやプロデュースもしてます。

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