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井上尚弥を迎え撃つWBC/WBOスーパーバンタム級チャンピオン

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
Esther Lin/SHOWTIME

 WBC/WBOスーパーバンタム級チャンピオン、ステファン・フルトン・ジュニアに井上尚弥が挑む日が近付いてきた。

 『BOXING SCENE』のキース・アイデック記者は、同ファイトが延期される前、「今回の122パウンド・タイトルマッチを占う際、フルトン本人はファンやメディアがイノウエのKO率を深読みし過ぎだ、と感じている」と書いた。

 そして、「WBC/WBOスーパーバンタム級王者の戦績は21戦全勝8KOだが、フルトンはかつてSHOWTIMEのブライアン・カスターのインタビューを受けた折、『8KOの数字以上に俺はハードヒットしている』と主張した。無敗のフルトンは、3階級制覇王者の母国で挑戦者を征服するには、自分の知性と技術があれば十二分だと感じている」と続けた。

写真:REX/アフロ

 フルトンは、カスターに語った。

 「イノウエを圧倒するつもりだ。パワーは関係ない。ファンは記録を見るから、KO率を重視するかもしれない。でも、彼は俺ほど価値のある選手、このようなスタイルの選手と戦ったことがあるかい? 皆、彼の前でプレッシャーをかけたが故に、破壊力のあるショットを打たれた。イノウエを相手にするなら、俺のように柔軟に動きを変えねばならない。そんなタイプの選手は見たことがないだろう。俺はどんなファイターにも対応できる。

 パワーだけじゃ試合には勝てない。俺は賢い。スキル、閃き、スピード、巧みさを持ち合わせている。俺にはパンチ力が無いという声も耳にするが、8オンスのグローブでクリーンヒットすれば、誰にだって効くさ」

Amanda Westcott/SHOWTIME
Amanda Westcott/SHOWTIME

 井上尚弥は24戦全勝21KO。確かにノックアウトの仕方をフルトンより理解している。また、WBC/WBOスーパーバンタム級チャンピオンは、ペンシルバニア州フィラデルフィアというボクシングがかなり盛んな土地の出身だが、故郷から誕生したこれまでの拳豪と比較し、さほど注目されていないのも事実だ。

 筆者は井上尚弥のKO勝ちを予想する。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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