史上5人目の4団体統一王者に王手 ロマチェンコの圧倒的な強さとは
10月17日、アメリカのラスベガスでライト級4冠戦が行われる。
WBAスーパー、WBCフランチャイズ、WBO王者ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)とIBF王者のテオフィモ・ロペス(アメリカ)が激突する。勝者は史上5人目の4団体統一王者となる。
当初この試合は4月に開催予定だったが、新型コロナウイルスの影響で度重なる延期。
途中、交渉が頓挫しそうになったが、ここにきて試合が正式に決定した。
アメリカの新鋭テオフィモ・ロペス
現役最強王者と呼ばれるロマチェンコに新鋭のロペスが挑む形となりそうだ。
ロペスは昨年7月、日本の中谷正義(31=井岡)との世界挑戦者決定戦で勝利し、
昨年12月、IBF王者リチャード・コミー(ガーナ)に挑み、2回1分13秒TKO勝利しタイトルを獲得した。
これまでの戦績は15戦15勝(12KO)のパーフェクトレコードで、強打を武器にここまで勝ち上がってきた。
150勝20敗と豊富なアマチュア経験を持ち、リオ五輪にも出場している。
まだ23歳と若く荒削りだが、勢いがあるファイターだ。
現役最強王者ワシル・ロマチェンコ
ロマチェンコは現役最強王者と呼ばれるボクサーだ。
北京、ロンドン2大会連続で金メダルを獲得しプロデビュー。
なんと、アマチュア戦績は397戦396勝1敗と驚異的なレコードを残している。
プロではデビューからわずか2戦目で世界挑戦、WBO世界フェザー級王者オルランド・サリド(メキシコ)と対戦した。
相手の体重超過により敗れたが、その次の試合で世界タイトルを獲得した。
その後は圧倒的な強さで、僅か12戦で世界3階級を制覇している。
全階級を合わせて誰が一番強いかをランク付けする、パウンド・フォー・パウンドランキングでも常に上位にランクされ、度々1位に選出されている。
ロマチェンコの強さ
ロマチェンコは、サウスポースタイルから変幻自在のコンビネーションを打ち、技で倒してきたボクサーだ。
その強さに戦意を喪失し、途中で棄権するボクサーもいるほどだ。
2018年5月にアメリカで行われたWBA世界ライト級タイトルマッチでホルヘ・リナレス(35=帝拳)との試合を現地観戦した。
試合ではダウンを奪われたロマチェンコが、10ラウンドにボディを決めて逆転KOした。
KOの決め手になるのはパンチの威力だけではなく、相手にパンチを悟らせないタイミングが重要だ。
ロマチェンコは多彩なコンビネーションに加え、的確に急所を捉える当て感を持ちKOを量産してきた。
小柄な体格のロマチェンコだが、体格差をカバーする高度なテクニックで勝ち続けてきた。
世界中のボクサーからの尊敬され、多くのファンを魅了する選手だ。
激戦のライト級
技のロマチェンコか、パワーのロペスか、非常に興味深い試合だ。
プロでのキャリアは共に15戦と同等だが、豊富なアマキャリアに加え、プロでも数々のビックマッチを経験してきたロマチェンコの方が経験は上回っているだろう。
これまでダウン経験は1度のみで、鉄壁のディフェンスを持つロマチェンコをロペスがどう崩しにかかるか気になるところだ。
ロマチェンコは身長170cmリーチ166cm、ロペスは身長173cmリーチ174cmと体格とパワーではロペスが上回っている。
前半にロペスのパンチが当たれば、勝負も分からなくなるだろう。
どちらが勝利しても史上5人目となる4団体統一王者となる注目の試合だ。
ライト級は正規王者以外にも、
WBAレギュラー王者 ガーボンタ・デービス(アメリカ)
WBA暫定王者 ローランド・ロメロ(アメリカ)
WBC暫定 デヴィン・ヘイニー(アメリカ)
と3人の王者が君臨している。
他にもスター候補のライアン・ガルシア(アメリカ)、王座返り咲きを目指すホルヘ・リナレスとタレント揃いだ。
全階級の中でもこれだけボクサーが集まっているのは珍しい。この試合の勝者が中量級を牽引することになりそうだ。