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ジャイアンツ一筋の遊撃手は37歳の来シーズンも現役続行を希望し、ポジション変更も厭わず

宇根夏樹ベースボール・ライター
ブランドン・クロフォード Oct 1, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今オフ、ブランドン・クロフォードは、サンフランシスコ・ジャイアンツからFAになった。

 これまで、ジャイアンツ以外の球団に在籍したことはない。2008年のドラフトで、4巡目・全体117位を受けて入団。2011年にメジャーデビューし、翌年から遊撃のレギュラーを務め、2015~17年と2021年にゴールドグラブを受賞した。

 クロフォードのジャイアンツに対する気持ちは、入団の前まで遡る。

 1992年のシーズン終盤、サンフランシスコ・クロニクルは、一枚の写真を掲載した。当時、ジャイアンツが本拠地としていたキャンドルスティック・パークで撮影されたものだ。

「ミスター・ホワイト 正しいことをして! ジャイアンツをサンフランシスコに残して」と書いたボードの横には、5歳のクロフォードが写っている。ホワイトは、ナ・リーグ会長のビル・ホワイトのことだ。この頃、ジャイアンツには、フロリダへ移転する話が浮上していた。フロリダ・マーリンズ(現マイアミ・マーリンズ)は、1993年に誕生した。

 だが、今オフ、ジャイアンツは、クロフォードをジャイアンツに残すことはしないだろう。来シーズンの遊撃は、7月にメジャーデビューした、22歳のマルコ・ルシアーノに守らせると思われる。クロフォードは、来年1月に37歳となる。

 年齢だけではない。クロフォードは、2021年に打率.298と出塁率.373、24本塁打、OPS.895を記録したが、ここ2シーズンのOPSは.652と.587だ。今シーズンは、それぞれ異なる箇所の怪我により、4度も故障者リストに入った。

 だが、今月7日にサンフランシスコ・クロニクルのジョン・シェイが発表した記事によると、まだ引退する気はないらしい。クロフォードの代理人を務めるジョエル・ウルフは、いくつかの球団がブランドンに興味を抱いている、と語ったという。また、今年6月の1登板を除くと、メジャーリーグで遊撃以外の守備についたことはないが、ポジション変更も厭わないらしい。

 とはいえ、どのポジションでも、レギュラーとして迎え入れようとする球団はないかもしれない。シーズン15本塁打以上は2015年(21本)と2021年(24本)の2度しかなく、OPS.800以上は2021年(.895)だけだ。ここ2シーズンの守備スタッツは、OAAこそ+7と+6だが、DRSは-6と-14。UZRも2シーズン続けてマイナスを記録している。

 なお、クロフォードの通算出場1655試合――登板のみの1試合を含む――は、1958年のサンフランシスコ移転後に限ると、ジャイアンツで4番目に多い。2256試合のウィリー・マッコビーと2095試合のウィリー・メイズ、1976試合のバリー・ボンズに次ぐ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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