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この選手がワールドシリーズに出場すれば、韓国人メジャーリーガーの何人目!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ハソン・キム(サンディエゴ・パドレス)Oct 19, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 サンディエゴ・パドレスは、リーグ・チャンピオンシップ・シリーズでフィラデルフィア・フィリーズと対戦している。ここまでは1勝1敗だ。パドレスは、第1戦に完封負けを喫したものの、第2戦は0対4から逆転に成功した。

 パドレスで遊撃を守っているのは、ハソン・キムだ(名前の表記は、ファーストネーム・ラストネームの順)。これまで、ワールドシリーズに出場した韓国人選手は4人。2001年のビョンヒョン・キム、2009年のチャンホ・パク、2018年のヒョンジン・リュ(現トロント・ブルージェイズ)、2020年のジマン・チェ(タンパベイ・レイズ)がそうだ。今年、キムは5人目となるかもしれない。パドレスは、あと3勝を挙げると――対戦相手のフィリーズも同じなので、まだ少し気が早いかもしれないが――ワールドシリーズへ進む。

 ちなみに、メジャーリーグで218本塁打を記録したシンス・チューのポストシーズン出場は、2013年のワイルドカード・ゲームと、2015年と2016年のディビジョン・シリーズだ。韓国で生まれ、数ヵ月後にアメリカ人夫婦の養子になったロブ・レフスナイダー(ボストン・レッドソックス)は、2015年のワイルドカード・ゲームしか出場していない。

 また、ワールドシリーズ優勝を経験した韓国人選手は、今から21年前のキムだけだ。この年、キムがいたアリゾナ・ダイヤモンドバックスは、ワールドシリーズ第7戦のサヨナラ勝ちにより、ニューヨーク・ヤンキースの4連覇を阻んだ。

 2001年のキムは、レギュラーシーズンの78試合に登板し、98.0イニングで防御率2.94を記録した。シーズン途中にセットアッパーからクローザーとなり、11ホールドと19セーブを挙げた。ディビジョン・シリーズとリーグ・チャンピオンシップ・シリーズの計4登板は、6.1イニングを投げて防御率0.00。前の投手が残していった走者5人のうち、1人に生還されたが、これは、無死満塁の場面で登板し、最初の打者を4-6-3の併殺打に仕留めた際に、三塁走者がホームインしたものだ。

 ただ、ワールドシリーズの2登板は、どちらも抑えることができなかった。続けてセーブに失敗した。第4戦は、9回裏、2死一塁からのホームランで同点とされ、10回裏にサヨナラ本塁打を打たれた。第5戦も、9回裏、2死二塁からのホームランで追いつかれ、そこでマウンドを降りた。ダイヤモンドバックスは、延長12回裏にサヨナラ負けを喫した。

 今年のキムは、故障と出場停止で全休のフェルナンド・タティースJr.に代わり、遊撃を守っている。守備に関しては、タティースJr.の不在を感じさせない。ゴールドグラブのファイナリストにもなっている。一方、打撃はタティースJr.に及ばないものの、ポストシーズンでは、打率.188と出塁率.297のスタッツ以上の働きをしているように見える。ここまでの出塁11度のうち、ホームインは8度を数える。そのうちの4度は、イニングの先頭打者として塁に出て、そこからホームまで戻ってきた。例えば、パドレスが1イニングに5点を挙げた、ディビジョン・シリーズ第2戦の5回裏は、キムのヒットから始まった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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