投打以外にも課題満載の阪神。浮上の兆しが見えない。
セリーグ唯一のベストメンバーでの最下位
チーム打率.227(6位)
チーム防御率4.06(6位)
得失点差−52(6位)
打てない、抑えられない。投打共にいいところが無い阪神、リーグ最速で20敗を喫した。5月8日からの広島3連戦は藤浪、能見、メッセンジャーと表ローテをぶつけながら裏ローテの広島に3戦とも完敗。最下位に転落した。10試合以上を消化しての単独最下位は1431日ぶり、和田監督就任後は初のことだ。優勝争いには天敵を作らないことが重要だが今季は巨人のポレダ、高木勇など開幕から2ヶ月弱ですでに何人もの虎キラーが誕生している。他球団に目を向ければ
巨人 内海、阿部、坂本、西村、相川
中日 和田、森野、岩瀬
ヤクルト ミレッジ、バレンティン、大引、
広島 エルドレッド、黒田
DeNA モスコーソ、三上、岡島
など主力を欠く中、阪神だけは目立った故障者は今成だけ。セリーグで唯一ベストメンバーと言える布陣が揃う。また、開幕前には梅野を正捕手として起用する方針を固めながら、4月18日以降メッセンジャーと能見が先発する試合ではスタメンマスクを藤井で固定。藤井に代打を送った後、梅野を起用する時も投手の打順ではなく遠い打順に置くなど目先の勝利を求めた結果の最下位だから事態は深刻だ。
投打以外にも課題は満載
開幕前の100盗塁構想はどこへやら盗塁数11、盗塁成功率52.4%はもちろんどちらもリーグワースト。盗塁に関しては守っても5月10日の広島戦の2回、先頭打者の松山に安打を許すとメッセンジャーが投球モーションを起こす前にスタートを切る盗塁を決められた。メッセンジャーは本来クイックが速い投手であり、松山は決して俊足の選手ではない。「ノーアウトからあそこら辺が走ってくるということは、走られるだけの根拠があるということ」5回に重盗を決められた場面と並んで和田監督は反省材料に挙げた。
この3連戦中、勝ちパターンの一角が期待された松田、育成の星・島本は不安定な投球が続き2軍降格。代わって昇格した渡辺、榎田も結果を残せず。1試合で決めつけるのは酷だが、競った終盤に信頼して送り出すには心もとない。2軍も得失点差は−40で借金7。若手の台頭も乏しく、いつまでも2軍にいてもらっては困るが1軍にはまだ及ばないという選手が鳴尾浜にひしめく。対照的に素材型の選手を自前で鍛える方針が一貫している広島は菊池、丸と侍ジャパンのメンバーを育て上げ、遊撃手の田中は開幕からフル出場していればシーズン558補殺数ペースと1948年に杉浦清が記録した日本記録の502補殺を大きく更新する勢いでアウトを量産している。一方、阪神不動の遊撃手・鳥谷の補殺数は年間約400個ペース。昨季の363個よりは多いが2005〜2013年は平均456個の補殺数を記録していただけに守備範囲には陰りが見える。打撃不振の大和に代わって若手が中堅を守った際には緩慢な動きの隙を突かれて余分に進塁を許すなど、センターラインの守備力に不安が残る。
打てない、抑えられないの他にも走れない、走られる、守れない、代わる選手がいない。浮上の兆しが見えないまま昨季9勝15敗と失速した交流戦まであと2週間。このままの状態が続けば「自力優勝消滅」の文字を目にする日はそう遠くない。